カタカタ…タイプライターに向かう。
「まだぼくを愛してる?」。
スヌーピーはラブレターを書いている最中。
スヌーピーが登場するマンガ『ピーナッツ』の作者、チャールズ M.シュルツさん。彼が長年暮らしたサンフランシスコ、サンタローザの街に、スヌーピーの聖地ともいえる美術館「シュルツ・ミュージアム」があります。そのサテライトとして2016年春、「スヌーピーミュージアム」が六本木に開館しました。
「スヌーピーミュージアム」には、このタイプするスヌーピーをはじめ、シュルツさんがその手で描いた原画などが展示されています。開館記念展「愛しのピーナッツ。」では、シュルツ夫人のジーンさんが厳選した原画60点が並びます。
新聞の連載漫画だった『ピーナッツ』には、作者の日常や家族への想いがさりげなく盛り込まれています。この原画は1985年2月14日に掲載され、その後、シュルツさんが色をつけ、ハートを描き、ジーンさんにプレゼントしたもの。ふたりのバレンタインの想い出が詰まった作品は、シュルツ家を出て、今回、世界初公開されました。
よく見るとスヌーピーを描く線はわずかに揺れています。原画を前にすると、作者が思いを込めて、ていねいに線を引いた様子が伝わってきます。もはや知らない人はいないスヌーピーだけれど、長い時間をかけて、作者や家族、そして読者たちが愛を注いで育んだキャラクターなんだと、実感することができます。かわいくって温かなスヌーピーの世界。原画の素晴らしさと、ぎゅっと詰まった想い、どちらもしっかり受け止めたいですね。
問い合わせ先
- スヌーピーミュージアム TEL:03-6328-1960
- 原画の展示ほか、日米の文化人が自分の「愛しのピーナッツ」を披露。「BROWN’S STORE」ではオリジナルグッズが充実。テラス席もある「Cafe Blanket」なども。入館は日時指定の予約制。当日券は、前売券の販売状況に応じて。
- 住所:東京都港区六本木5-6-20
- TEXT :
- 林 綾野さん キュレイター・アートライター
- クレジット :
- 文/林 綾野