フォルクスワーゲンの代名詞、ゴルフが8世代目に。フルモデルチェンジした新型が、ついに2021年6月15日、日本にも上陸した。話題の中心は、エンジンのマイルドハイブリッド化と、進んだデジタル技術。全長4.3メートル弱のコンパクトな車体でありながら、中身は濃い。
マイルドハイブリッドを初めてゴルフに搭載
日本にまず導入されるのは、999cc3気筒の「eTSI Active Basic 」と「eTSI Active」。加えて、1497cc4気筒の「eTSI Style」それに同じ4気筒エンジンで、かつ専用のスポーティな足まわりやステアリングシステムをそなえた「eTSI R-Line」だ。
感心させられるのは、1リッターモデルの走りのよさ。最高出力81kW(110ps)と最大トルク200Nmと数値上も悪くないうえに、じっさいに予想いじょうにパワフルだし、高速走行性能の高さにはおどろかされた。
従来はコストゆえ高価格車専用のように扱われてきた、小さな電気モーターがトルクを補うマイルドハイブリッドシステムを、あえて200万円台からはじまるモデルに採用。はたして、操縦性が高く、運転が楽しいクルマに仕上がっている。
1.5リッターのR-Lineは、足まわりがスポーティな設定であるうえに、ステアリングのダイレクト感もさらに増しているので、もっと積極的に走りが楽しみたいひとむけ。シートも専用のバケットタイプだ。今回、快適性志向からスポーティ志向まで、明確にキャラクター分けした設定が印象的だ。
デジタル&通信技術も積極的に採用
もうひとつ、シリーズ全体の特徴は、デジタル化が進んだこと。10インチのモニターがダッシュボードにそなわり、そこからインフォテイメントシステムを操作する。室内照明が30色から選べるアンビエントライトまで使えるのも、情緒的であるものの、うれしい。
さらにフォルクスワーゲンの日本法人では、「We Connect」および「We Connect Plus」という通信モジュールを一定期間無償提供。これにオプションの「Discover Pro」と「Wireless App Connect」を組み合わせることで、ストリーミングをはじめ、離れたところのスマートフォンでも空調やナビゲーションの設定ができる。
フォルクスワーゲン本社のラルフ・ブランドシュテッターCEOは「デジタル化はこれからの自動車にとってもっとも大事な要素」としているぐらいで、本国といちぶ欧州で販売開始されたピュアEVの「ID.」シリーズに準じたデジタルおよび通信技術がゴルフ8にも搭載されたのだ。
200万円台でも味わえるモダンな使い心地
スタイリングは、太いリアクォーターピラーのボディデザインをあえて継承。1974年の初代いらい続くゴルフのデザインアイデンティティが守られている。クルマは服飾とちがい工業製品なので、つねにある種の“進化”が期待される。
ゴルフ8では、スタイリングのイメージを守りつつ、デジタル技術や通信技術や運転支援技術を“進化”させている。いっぽうで、「ゴルフはつねに先端技術を“民主化”する役目をになってきました」(フォルクスワーゲン本社で技術担当のトマス・ウルブリッヒ氏)と言うだけあって、今回、200万円台のモデルでも、さまざまなシステムの恩恵にあずかれる。
日本のゴルフ8は、1リッターの「eTSI Active Basic」(291万6000円)にはじまり、「eTSI Active」(312万5000円)、1.5リッターは「eTSI Style」(370万5000円)とそのうえに「eTSI R-Line」(375万5000円)がラインナップされている。
燃費は、1リッターがリッター18.6キロ、1.5リッターが17.3キロ(ともにWLTC)。高速道路では20キロ台に乗る。ここでもゴルフは着実に省エネの未来へと歩を進めているといえるではないか。
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- TEXT :
- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト