自由に、肩肘張らずに、好きなネタを好きなだけ…。今、鮨がおもしろい!『Precious』7月号では、「多様化する『鮨』が楽しい!」と題して、住宅街の一角にあって個室も完備、ドリンクとのペアリングや、程よい価格で本格鮨を好きなように楽しめる、などのこだわりをもつ鮨店に注目。

フードジャーナリスト 森脇慶子さんとともに、「気兼ねない日常使い」が叶う2021年の名店をご紹介しています。「あぁ、おいしいお鮨が食べたい」。そう思ったときに気軽に行けるお気に入りの一軒、見つけませんか?

森脇 慶子さん
フードジャーナリスト
(もりわき・けいこ) 料理専門誌から女性誌まで、幅広く活躍するフードジャーナリスト。著書に『フランスで料理修業』『行列レストランのまかないレシピ』など。『東京最高のレストラン』採点者のひとり。

[東京・人形町]㐂寿司

大正12年創業、本格江戸前鮨ひと筋、約100年。下町の文化とお客が育んだ「町鮨」の老舗

㐂寿司のお品書き

「鮨屋の主導権は当然ながらお客さんにあります。腹具合や気分に合わせて、好きな鮨を好きなように食べていただく。鮨屋って元来そういうもんですよ」と笑うのは四代目・油井一浩さん。

風格ある日本家屋の暖簾をくぐると、歴史を感じる檜のカウンターに昔ながらのネタケース。見上げると鮨ダネが書かれた木札がずらり。一見すると敷居が高いようでいて、一歩店内に足を踏み入れれば「いらっしゃい。お茶になさいますか、それともお酒?」と笑顔で迎え入れてくれます。

「緊張感をしいられることなく、ふらりと立ち寄って、気ままに鮨やつまみを楽しめる昔ながらの町の鮨屋さんこそ、実は今行きたい鮨店の代表格。こちらはおこのみが定番ですが、しっかりいろいろ食べたいときは、おまかせもおすすめ。旬のネタを楽しめます」と森脇さん。 

また、「鮨はネタが8割。いいネタがあるなら、昔ながらの仕事をきちんとやるだけで十分です。よけいなことをせず、手を掛けすぎず、複雑にすることなく、シンプルに。昔から変わらないスタイルです」と油井さんが言うとおり、奇をてらうことなく、しみじみうまい鮨を堪能するなら、こちらの名店へぜひ。

㐂寿司の店主

ネタケースごしに油井さんの技を堪能。いわゆる代表的な江戸前鮨を握る職人がいる鮨屋は少ない。

㐂寿司の巻き寿司

かつて人形町が花街だったころ、そのお座敷で食べられていたという「手綱巻き」(¥2,750)。酢締めのコハダとエビを交互に重ねて手綱のように見えるため、その名がついた。エビの下にはおぼろがあってほんのり甘い。

㐂寿司の外観

風格と歴史を感じる店の外観。

㐂寿司の握り寿司

昼のおまかせ¥5,500。この日は初ガツオ、シマアジ、赤身、スミイカ、玉子、ホタテ、才巻エビ(おぼろをかませた唐子づけ)、穴子と、かんぴょう巻き。ネタが大きく、食べ応えあり。

※営業日や営業時間に変更の可能性があるため、お出かけの際は最新情報をご確認ください。
//////////////////////////////////////////////////
※新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下では一部情報が変更となる可能性があります。公式HPなどでご確認ください。
//////////////////////////////////////////////////

問い合わせ先

  • 㐂寿司
  • 営業時間/11:45~14:30、17:00〜21:30
    定休日/日曜、祝日 
    メニュー/握り1人前¥5,500 おまかせ握り¥13,200
    住所/東京都中央区日本橋人形町2-7-13
  • TEL:03-3666-1682

PHOTO :
篠原宏明、長谷川 潤
EDIT&WRITING :
田中美保、佐藤友貴絵(Precious)