北欧スウェーデン発祥のオートバイメーカー「ハスクバーナモータース」は、特にオフロードバイクが人気のブランドだ。その中で街乗りにも通用するほどのファッション性とクレバーさが両立したファッショナブルなオフロードバイクが、「黒い矢」と名付けられた「スヴァルトピレン401」。これまでのバイクにはない魅力とはいったいどんなものか、確かめてきた。
オフロード専用にしておくのはもったいない!
オートバイの好きの世界では知られているとはいえ、ごく一般的な認知度からするとスウェーデン由来のブランドは、かなり希有な存在である。ところが、その存在を知り、実車を目で確認し、エンジンをスタートさせ、走り出し、持てる強烈な個性を味わってしまうと、これまで知らずに過ごしてきたことを、少なからず後悔するはずだ。
現在、ハスクバーナはミシンや芝刈り機、チェーンソーなどを製造。325年の歴史がある。オートバイの製造に関しては1903年、日本では明治36年から始まったというから、118年にもなる。だが1986年にはオートバイ部門が売却され、その後は紆余曲折を経て、2013年にオーストリアのオートバイや自動車、自転車のメーカーであるKTMの傘下となり、現在に至っている。ハスクバーナというブランドのオートバイを作り続けてはいるが、本家とは直接の関係はない。
日本でもKTMジャパンの取り扱いで販売され、オフロードマシンが人気となっている。そんな中で最近、注目度が上がってきているのが街乗りにも使えそうな「スヴァルトピレン401」である。ちなみにスウェーデン語でスヴァルト(黒い)ピレン(矢)という意味である。
細く軽い車体で乗りやすさ抜群!
このマシンに搭載されるエンジンは水冷4ストロークの単気筒4気筒OHCで、排気量は373cc。日本の二輪免許区分でいえば、400cc以下に乗れる普通二輪免許があればいい。海外のビックバイクなら限定解除は必須、というハードルを気にしなくても楽しめるわけだ。
実際に走り出してみると、本当に乗りやすい。とくに気を使う信号待ちについては、シート高が835mmと少し高めではあっても、ボディが細く軽いため、足つき性に大きな不安を感じなかった。さらにマシンを押しながら行う取り回しは、車両重量が152kgと比較的軽量であることがいい方向に働いている。国産の同クラスには200kg前後が多くなることを考えれば、かなり軽い部類に入る。参考までに、2クラス下のレジャーバイクとして人気のホンダハンターカブCT125のシート高は800mm、車両重量は120kg。実際に跨がってみると感覚的にはちょっぴりシートが高く、少々重いという感覚で、扱いにくさはなかった。
輸入バイクは大型ばかりと諦めかけていたリターン派の人にとって、この扱いやすさはストレスの軽減に役立ち、うれしい限り。そして走り出してしまえば、スリムなマシンのお陰もあり、どのような場面でもヒラリヒラリという感覚でオートバイならではの走りを楽しむことができる。
洗練されたデザインも行動意欲を駆り立てる重要なポイント。北欧家具が持つクリーンなイメージを表現したようなスタイリングは、オフロードといいながらも埃や汗臭さをあまり感じさせない。もしファッションバイクという言葉があるとすれば、まさにこのバイクにこそ似合う表現だ。このデザインならば、フォーマルなシーンにも乗り付けられそうだ、というのは無理があるだろうか? いや、十分にその任をこなしてくれるだろう。
【HUSQVARNA SVARTPILEN 401】
ボディサイズ:未公表
車両重量:152kg
駆動方式:チェーン
トランスミッション:リターン式6速
エンジン:単気筒 373cc
最高出力:32kw(44PS)/9,000
最大トルク:37 Nm/7,000 rpm
価格:¥759,000
問い合わせ先
- TEXT :
- 佐藤篤司 自動車ライター