「済済」ってなんと読む?…「さいさい」?「せいせい」?正解の背景もおさらい!

明日、7月8日は、世界100都市以上に支局を構える国際的経済新聞『The Wall Street Journal』が創刊された日です。

1889(明治22)年の7月8日に創刊されたので、なんと130年以上の歴史を持っているのですね。

『The Wall Street Journal』は、専門的な分析記事のみでなく、一般的な経済ニュースも網羅しているので、情報ソースとして親しんでいらっしゃる方も多いでしょう。

…という事で、本日は「経済」の「」という字が入った難読クイズに挑戦していただきます。

【問題1】「済済」ってなんと読む?

「済済」という日本語の読み方をお答えください。

ヒント:「多くて盛んなさま」などの意味を持つ言葉です。

<使用例>

「先日の勉強会は、多くのエキスパートが一堂に会し、多士済済の貴重な機会であった、とお聞きしました!」

読み仮名4文字です。
読み仮名4文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 済済(せいせい)です。

さいさい、でも不正解ではないのですが…解説をご覧ください。
さいさい、でも不正解ではないのですが…解説をご覧ください。

「済済」や、四字熟語「多士済済=すぐれた人物が多いこと」は、どちらも本来「済済(せいせい)」と読みます。

しかし、言葉というものは一般的に、「共通の誤読例が世間に広く浸透してくると、本来は誤読であった読み方も、正解の範疇に変化させる」という歴史をたどることがあります。

「済済(さいさい)」という読み方、現在では「せいせい」と並ぶ正解の一つとしている辞書も複数ありますが、本来は誤読であった読み方が、前述のような理由で「もう、そう読む人が多すぎるので、正解の一つとしましょうか」というニュアンスで正解になった、本来はNGな読み方でした。

放送などでは「済済(せいせい)」を使用することが常ですので、大人としては、本来の正解である「済済(せいせい)」で覚えておきたいものです。

特に、言葉を大切になさるご年配の方の前で「多士済済(たしさいさい)」と言うと、教養を疑われる事もありそうですので、ご注意ください。

さて、2問目に参りましょう。

【問題2】「済し崩し」ってなんと読む?

「済し崩し」の読み方をお答えください。

ヒント:「少しずつ片付けていくこと。特に、借金を少しずつ返すこと」という意味を持つ言葉です。

<使用例>

「お貸ししたお金、全額一斉で返金していただきたいところですが、現実的には済し崩ししかない、という現状ですね。」

「済し」の読み方がポイントです。
「済し」の読み方がポイントです。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 済し崩し(なしくずし) です。

正解できましたか?

「済し崩し(なしくずし)」の「済(な)す」には「義務を果たす。整えてなしとげる。」という意味の他「借りた金品を返す」という意味があります。「済し崩し」は両方のニュアンスが含まれた言葉です。ですので、「崩す」が意味する「少しずつ(行う)」という意味合いに加え、「片付ける/借金を返す」というニュアンスを持つのです。

借金を分割返済中に、返済が遅れてうやむやになる…という事例があるからか、だんだんと「済し崩し」という言葉を本来の意味でなく「少しずつものごとを変化させ、うやむやにする」という、誤った意味で使用する例が増えました。現在では後者の意味あいを採用している辞書も複数出てきておりますので、「いいかげんにする」「うやむやにする」という意味で使用しても間違いではなくなりましたが、

本来「済し崩し」は「少しづつ済(な)す」過程を表現した言葉で、マイナスイメージの言葉ではなかったのです。

本日は、7月8日、国際的経済新聞『The Wall Street Journal』の創刊された日にちなんで、「」という字の入った難読クイズで、

・済済(〇せいせい/△さいさい)

・済し崩し(なしくずし)

などの言葉について、言葉の変遷の背景トリビアとともにおさらいいたしました。

この記事の執筆者
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Precious.jp編集部 
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参考資料:『The Wall Street Journal 日本語版』ウェブサイト/NHK放送文化研究所ウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
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小出 真朱