雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動を連載でご紹介しています。
8月号では、「マティーナ・スペトラヴァ」デザイナー・クリエイティブディレクターのマティーナ・スペトラヴァさんの活動をご紹介します。
動物福祉にも環境保全にも配慮したエシカルなレザーアイテムを提供
自身の名を冠したブランドを象徴するのが、ハンドメイドで編み上げたレザーアイテム。バッグや小物をメインに、ビスポークでジャケットも製作している。
「レザーという素材は、もともとサステナブルではないんです。だからこそ、傷などがあったとしても廃棄しないし、どんな切れ端も再利用して、ゼロ・ウエイストを目指しています。食肉加工の過程で出る皮を使う、革へのなめしの過程の際にも環境に負荷のかかる薬品は使わない、工場で働くスタッフの健康にも留意する、と、幅広い観点で信頼できるサプライヤーを選んで、協働しています」
4年前からは、シーズンごとのコレクション発表も取り止めた。1点もののように、長く愛されるアイテムをつくることが、サステナブルだと考えたからだ。
「自分たちがつくるものに対して、透明性をもつことも、今の時代にはとても重要。私のブランドのすべての製品には、最新のブロックチェーン・テクノロジー(*)により、携帯電話でスキャンできるチップが搭載されていて、原産地、素材、加工業者、ロジスティックなどを確認することができます。顧客の信頼に足るブランドであろうとすることが、ファッション業界全体をエシカルな方向にシフトさせていくのだと思います」
シリア難民や、バングラデシュ移民の女性たちに手仕事の技術を教え、仕事の機会を提供するといった支援活動にも力を入れる。
「ポーランドの大学で、サステナビリティとファッションに関する講義も行っていますが、学生たちの関心の高さに驚かされます。彼らが生み出すイノベーションは、私にも大いに刺激になる。できることはまだまだあります」
*ブロックチェーン・テクノロジーとは・・・取引情報を記録するデータベースの一種。仮想通貨ビットコインの基盤として誕生したが、近年は社会課題の解決にも応用されている。
【SDGsの現場から】
仕事で女性と社会をつなぐ支援活動も展開
NGOと協同で、シリア難民の女性たちにレザーを編む技術を教え、経済的自立を支援。
製作だけでなく、アトリエから大学の授業も
ポーランドの大学でサステナビリティとファッションに関するレクチャーをリモートで。
- PHOTO :
- Sayaka Hirakawa
- WRITING :
- Sayaka Hirakawa
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)