「坂東太郎」「筑紫次郎」…人物名ではありません。なんのことでしょう?
明日・7月28日は、2021年の『土用丑の日』ですね。鰻をいただく日、と楽しみにしていらっしゃる方も多いのでは?
とこで皆さま「土用」とは何でしょうか?
「土用」とは、中国の五行思想にのっとった「春夏秋冬の変わり目の18日間」を指します。新たな季節を芽吹かせる「土のような作用をする期間=土用」です。ですので、夏だけでなく、春秋冬にも「土用」はあります。
夏の土用は、特に体力を消耗しやすい時期、という季節柄とあいまって、滋養のつく鰻をいただく風習ができたようです。「丑の日」は、十二支の中で2番目にあり、ものごとを行うサイクルの中でも「芽吹いた種を養う時期」というような意味があります。そこで、「来たる酷暑にそなえて、精をつけておく日」には「丑の日」がぴったり、というイメージでしょう。
…というところで、本日1問目の日本語クイズです。
【問題1】「坂東太郎」「筑紫次郎」「四国三郎」って何?
鰻のブランド名としても有名な『坂東太郎(ばんどうたろう)』とは、もともと、何の呼び名でしょう?以下の選択肢の中から、正しいものを選んでください。
ヒント:「坂東太郎」の仲間に「筑紫次郎」「四国三郎」があります。
1:山
2:川
3:料理人
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 2:川 です。
「坂東太郎(ばんどうたろう)」とは、利根川(とねがわ)の異称で、「関東にある一番の川」という意味を込めた愛称のようです。
同じ発想で、
・筑紫次郎(つくしじろう)…筑後川(ちくごがわ)の異称
・四国三郎(しこくさぶろう)…吉野川(よしのがわ)の異称
があります。
この3つの川がセットにされた背景には「日本の河川の中でも、急流を含む『暴れ川』だから」という説や、
「江戸時代、本州、九州、四国それぞれの最も大きな川をピックアップして呼んだ」という説などがあります。
ちなみにブランド鰻の『坂東太郎』は、おいしさで名高い利根川産鰻を養殖で再現すべく、餌や水質、環境等を利根川と限りなく近づけた環境で育てられている高級品です。
さて「太郎」という呼称、夏の積乱雲(いわゆる入道雲)についても使われており、江戸で見る積乱雲の名も、よく「坂東(関東の、という意味) 太郎」と呼ばれたそう。積乱雲を「太郎」と呼ぶのは各地共通で、川と違って「次郎」「三郎」などとセットにされることはなく、
大阪で見た積乱雲なら「丹羽太郎」、九州で見れば「比古太郎」など、土地土地での愛称があったようです。
というところで、2問目に参りましょう。
【問題2】「雲脂」ってなんと読む?
「雲脂」の読み方をお答えください。
ヒント:「頭皮の分泌物が乾いてうろこ状にはがれ落ちたもの」を指す言葉です。
<使用例>
「紫外線の影響で雲脂が落ちやすくなることもあるらしいから、気をつけないとね。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 雲脂(ふけ) です。
洗髪のしすぎなどで出てしまう乾性の雲脂(ふけ)は、確かに、黒髪の間にたゆたう雲のよう?…老廃物にまで詩的な表記が用いられている日本語、面白いですね。
本日は、『土用丑』にちなんで、
・坂東太郎(ばんどうたろう)
という日本古来の愛称に関するトリビアや、
・雲脂(ふけ)
という熟語の読み方などをおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』(株式会社小学館)/『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/『百科事典マイベディア』(株式会社平凡社)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱