普段はなかなか交流できない社内の別部署の人や、社外の取引先の方々が集まるパーティーシーン。仕事にすぐ直結しなくても、さまざまな分野の人々と気軽に会話し、人脈を広げる絶好のチャンスです。

そんなとき、言葉の使い方を誤り、実はとても失礼な言い方をして「マナーがいまいち」な人と思われたら…? せっかくの機会をもったいないものにしてしまわないよう、極力、信頼感を与えられるような言動を心がけたいものです。

そこで今回は、「パーティー」におけるさまざまな場面で、ふさわしい敬語の使い方をビジネスマナー・敬語講師の井上明美さんに解説していただきます。好印象を保ち、かつ知的に見える表現テクニックを習得して、積極的に会話を楽しみましょう。

■1:「どうも……」は×

どうも…
どうも…

取引先主催のパーティーなど、会社関係の行事で会社の代表としてパーティーに参加する場合、会場の受付では「私、○○社の山田花子と申しますが……」と、必ず会社名と自分の名を伝えます。「山田ですが……」というだけでも不十分です。

また、「お世話になっております」「いつもお世話になりましてありがとうございます」と丁寧にあいさつをします。祝賀パーティーなどでは、「本日はおめでとうございます」といったお祝いの言葉も、忘れずに主催者側に伝えましょう。

×:「どうも…」
○:「私、○○社の山田花子と申しますが…」

■2:「飲み物は自由に頼んでください」も×

主催者側のあいさつでは、「お飲み物はどうぞご自由にお選びください」が適切な言い方です。「飲み物」は、相手が飲む物ですから「お飲み物」とし、「自由に」は「ご自由に」とします。

「頼んでください」は、そのままだと「お頼みください」になりますが、この場合「お選びください」の方が収まりがよいでしょう。あるいは注文するものであったら、「ご注文ください」「ご注文なさってください」でもよいです。「お(ご)~ください」の形で「お選び・ご注文ください」がより一般的です。

×:「飲み物は自由に頼んでください」
○:「お飲み物はどうぞご自由にお選びください」

■3:「ご職業はなんですか?」は△

ご職業はなんですか?
ご職業はなんですか?

来客同士の会話では、「どのようなお仕事をなさっていらっしゃるのですか?」と聞くのがスマート。

異業種間のパーティーなどでは、それぞれの仕事についての話題から、会話が広がることが多いものです。初対面の相手の職業を聞きたいときには「ご職業は何」と直接的な表現を使うのではなく、「どのようなお仕事を~」などの、婉曲的な言い回しをするほうが好ましいでしょう。

仕事を「する」「している」の尊敬語は「なさる」「なさっていらっしゃる」なので、「なさっていらっしゃるのですか」とします。または「どのような関係のお仕事ですか」と言うのもよいでしょう。

△:「ご職業はなんですか?」
○:「どのようなお仕事をなさっていらっしゃるのですか?」

■4:「ご趣味はなんですか?」も△

来客同士での会話で、相手の趣味を聞くときには、「お休みの日は、どのようなことをなさっていらっしゃるのですか?」が正解。

「休みの日はなにをしているのですか」を敬語に言いかえ、「何を」は「どのようなことを」、「している」は「なさっていらっしゃる」にします。また、「休日はどのようにお過ごしですか」といった言い方もできます。

初対面の人に「ご趣味は~」といきなり聞いてもとまどってしまう方が多いかもしれませんので、できるだけ相手が答えやすいような形で質問をするのが、会話を盛り上げるコツといえるでしょう。

×:「ご趣味はなんですか?」
○:「お休みの日はどのようなことをなさっていらっしゃるのですか?」

■5:「あの方のご職業はなんですか?」も△

あの方のご職業はなんですか?
あの方のご職業はなんですか?

来客同士での会話では、「あの方はどのようなご職業なのでしょう?」が適切です。この場合、来客同士の立場にもよっても違ってくるかと思います。「あの方」が相手にも関係する人かどうかでも、変わってくるでしょう。

いずれにしても、「あの方のご職業は何」という言い方は、ちょっとストレート過ぎる感もありますので、「あの方はどのようなご職業なのでしょう?」や、「あちらの方はどのようなご職業でいらっしゃるのでしょう?」などが、好ましい表現です。

△:「あの方のご職業はなんですか?」
○:「あの方はどのようなご職業なのでしょう?」

■6:「どういう付き合いがあるのですか?」は×

来客同士の会話で、主催者側とどんな付き合いがあるのかを相手に聞きたいときには、「どのようなお知り合いでいらっしゃるのですか?」が正解です。

「付き合いがあるのですか?」を尊敬語にすると、「お付き合いがおありになるのですか?」となり、また、「どんなご関係で……」というのも適切ではありません。ここは「どのような」「お知り合い」などの言葉を用いて、「どのようなお知り合いでいらっしゃるのですか?」などと言い換えたほうが、やわらかでより適切でしょう。

×:「どういう付き合いがあるのですか?」
○:「どのようなお知り合いでいらっしゃるのですか?」

■7:「名刺がなくなってしまったので、SNSのアカウントを教えてください」も△

SNSのアカウントを教えてください
SNSのアカウントを教えてください

正しくは、「名刺を切らしてしまったものですから、もしよろしければSNSのアカウントを教えていただけますか?」か「名刺を切らしてしまったものですから、お差し仕えなければSNSのアカウントを教えていただけますか?」になります。

やむを得ず名刺がなくなってしまった場合は、まずはひとことお詫びをしましょう。「教えてください」は「教えていただけますか?」と相手にお伺いをたてる言い方がスマートです。

さらに、「もしよろしければ」「お差し仕えなければ」などのフレーズを入れた方が、強制的ではなく、その方がよければ……といった、相手の都合や意思を伺う気持ちが込められるでしょう。

△:「名刺がなくなってしまったので、SNSのアカウントを教えてください」
○:「名刺を切らしてしまったものですから、もしよろしければSNSのアカウントを教えていただけますか?」

■8:「先に帰らせていただきます」も△

主催者側に、「お先に失礼させていただきます」とあいさつをします。「先に帰らせていただきます」は決して間違いではありませんが、少し言葉を変えるとより丁寧です。

「先に」は「お先に」、「帰らせていただきます」は「失礼させていただきます」とすると主催者側への配慮の気持ちが伝わります。先に帰るときによく使うフレーズですね。

節度を保ちながらも、相手との距離を縮めたいパーティーシーンで、こなれた敬語をさらりと使えると信頼感もアップします。言いかえ例を参考に、敬語の表現レベルをどんどん引き上げていきましょう。

△:「先に帰らせていただきます」
○:「お先に失礼させていただきます」

井上明美さん
ビジネスマナー・敬語講師
(いのうえ あけみ)国語学者、故金田一春彦氏の元秘書。言葉の使い方や敬語の講師として、企業・学校などの教育研修の場で講義・指導を行う。長年の秘書経験に基づく、心くばりに重きを置いた実践的な指導内容には定評があり、話し方のほか、手紙の書き方に関する講演や執筆も多い。著書に『敬語使いこなしパーフェクトマニュアル』『最新 手紙・メールのマナーQ&A 事典』(ともに小学館)、『知らずにまちがえている敬語』(祥伝社新書)、『大和ことばで書く短い手紙・はがき・一筆箋』(日本文芸社)、『一生使える「敬語の基本」が身につく本』(大和出版)など多数。Webサイト「ALL About」では、「手紙の書き方」のガイドを務めている。
『敬語使いこなしパーフェクトマニュアル』井上明美・著 小学館刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
小野寺るりこ