スマイソンのダイアリーや便箋の紙は英ポンド紙幣に使われていたもので、羽根のように軽くて丈夫。ファンを自任する向きは、そこにボールペンではなく万年筆で字を書く。カード類は豊富な種類が揃っており、美しい。遊び心のある新作が出てくるのが楽しみでもある……。さて、ここからが本題。
ダイアリーと同様に人に寄り添うつくりを貫いたパナマコレクションの財布
1887年にロンドンのボンド・ストリートに店をオープンしたことから始まるスマイソンの歩み。日本では文房具のイメージが強いが、英国通たちには、洗練された高級皮革製品を手がけることでも知られている。公開されているヒストリーをのぞくと、1900年のところに「ボンドストリートバッグ」と名付けられた革製バッグの広告が載っている。便箋、ダイアリー、カード類などの文房具と並んで、革製品にも誇らしい歴史があることがわかる。
現在の革製品のラインナップには、ノートフォルダーやフォトアルバムといったステーショナリーに類するものから、スーツスタイルに相応しいタイムレスなバッグ、ウォッチボックスといった高級かつマニアックなアイテムまで、極めて広いヴァリエーションの品揃えがある。そんな中から、スマイソンの革製品の素晴らしさを感じとれるものとして、パナマコレクションの財布3点を紹介する。
■:2つ折り財布
■:コインパース
■:長財布
パナマコレクションの革製品に使われている素材は、小さなひし形の格子模様をプレスした上質なクロスグレインラムレザー。1900年代の初頭から、スマイソンのノートや手帳のカバーに用いられてきたスマイソンを象徴する素材だ。ここで紹介する3点の財布の場合は、このプレス加工の素材が表面に、内側にはスムーズなレザーが配されている。
パナマコレクションのレザーに施されたひし形模様のプレス加工は、細かいキズなどが目立ちにくいようにするための工夫。この他にも、スマイソンの財布には、日々使うことで気づかされる、使う人の身になって考えられた綿密な作りが細部にまで施されている。3つのロイヤルワラントを賜る誇り高きブランドが、それにふさわしい真摯な姿勢でものづくりを続けてきたことの証だ。その製品を一度手にした人が、やがて熱烈なスマイソン・ファンになっていく理由がよくわかる。
※価格はすべて税込です。
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- TEXT :
- 堀 けいこ ライター
- PHOTO :
- 島本一男(BAARL)