ここではあまり日本車が取り上げられないものの、スタイルとか走りという点でいい線いってる!と思う日産「オーラ」(ノート・オーラ)をあえて紹介しよう。2021年8月に発売された電気自動車で、魅力は、走りの気持ちよさと燃費と使い勝手にある。おとなが乗っても気に入る出来だ。

4WD版「G-FOUR」は特に完成度が高い!

全長4045×全幅1735×全高1525mmと扱いやすいサイズ。
全長4045×全幅1735×全高1525mmと扱いやすいサイズ。
車体色は豊富で、写真のような2トーンもあればボディとルーフ同色の仕様も。
車体色は豊富で、写真のような2トーンもあればボディとルーフ同色の仕様も。

オーラは、20年12月に登場した新型ノートの姉妹車というか、高性能版だ。「輸入車からの乗り換えもねらう」と日産自動車は謳う。1198 ccの3気筒ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたシリーズハイブリッドなので、駆動はモーターで。エンジンはモーターを駆動するバッテリーへの充電のために働く(のみ)。

このクルマがいいと思うのは、電気自動車ならではのダイレクトな加速感だ。オーラのばあい、最大出力はノートの85kWから100kWに、最大トルクは280Nmから300Nmに、あがっている。さらに、G-FOURという4WD 版では、後輪に100kW、50Nmの電気モーターが追加される。

G-FOURでは、リアのモーターでクルマとして完成度をあげている。雪道など摩擦係数の低い路面での走破性をはじめ、速いコーナリング、そして減速したときにノーズダイブ(車体の鼻先が沈むこと)で乗員が不快にならないよう、うまく制御しているのだ。前輪駆動仕様より120キロ重いので、最初に乗ったとき、加速時に重さを感じたものの、力がたっぷりあるので、苦にならない。

スタイリングはハッチバック。丸みを強調しており、ピュアEVの「日産アリア」などとのファミリーレゼンブランス(同族の顔つき)を感じさせる。「ここから新しい時代に入ります」と日産の担当デザイナーのひとの言葉を、あらためて思い出した次第だ。

全長4045ミリのボディに、2580ミリのホイールベースが組み合わされている。後席もおとなのためのスペースがしっかり確保されている。そのぶん、荷室容量が限られてしまうものの、つねに4人で乗るひとはそう多くないのでは。

娯楽や安全システムもぬかりなし

ボディの面作りは質感が高い。
ボディの面作りは質感が高い。
ドライブモードは3つあり、なかでも「スポーツ」が痛快。
ドライブモードは3つあり、なかでも「スポーツ」が痛快。

室内の作りもおとなの批評眼に耐える。試乗車はファブリックシート仕様であり、これが期待いじょうに質感が高く、オーラの雰囲気に合っていると思った。濃いグレーのツイード調の生地は、前後シートのみならず、アームレスト、ドア内張り、ダッシュボードにも使われて、室内の質感を高めている。

室内については、デジタライゼーション技術が多く使われている。最たるものは、9インチのモニターを使うインフォテイメントシステムで、ナビゲーションはいうにおよばず、ヘッドレストにスピーカーを埋め込んで立体感のある音場を特徴とするBOSEのサウンドシステムなどからなるセットオプションだ。

大きなセリングポイントは、ステアリングホイールに設けられたボタンひとつで起動する運転支援システム「プロパイロット」。先行車を追従走行、車線中央の走行ラインを維持、ナビゲーションシステムと連動しての車速コントロールなど、自動運転につながる技術が多い。

さらに今回は、標識認知、カーブ手前での減速、停止後の追従走行自動再開といった機能が追加された。じっさいに、よく働くのに感心する。自分だったら、オーラは運転が楽しいので、あまり使わない機能かもしれないが、遠くへ行くなんてときは役に立ちそうだ。

燃費は、実燃費に近いWLTCモードによると、4WD「G-FOUR」でリッターあたり22.7キロ。前輪駆動の「G」だとさらによくて27.2キロとなる。充電インフラに振り回されてしまうのが、残念ながらいまのピュアEVオーナーの抱える悩みだとしたら、エンジン載せていて、この燃費ならけっして悪くないと思う。

「G-FOUR」の価格は2,868,800円(革シート仕様は2,957,900円)。さきに触れたプロパイロットをはじめ、統合型インターフェースディスプレイ、NissanConnectナビゲーションシステム(地デジ内蔵)、BOSEパーソナルプラスサウンドシステムなどからなる「セットオプション」(401,500円)が用意されていて、少々値が張るものの、選んだほうがいいかもしれない。シートはファブリックで充分だろう。

ヘッドレストにスピーカーが埋め込まれ(オプション)広がりのある音場が楽しめる。
ヘッドレストにスピーカーが埋め込まれ(オプション)広がりのある音場が楽しめる。

問い合わせ先

日産自動車

TEL:0120-315-232

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。
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