身長156cmのインテリアエディターDが、おすすめのアイテムを実際に体験しながらレポートする本連載。2回目の登場となるイタリアン家具ブランド「デパドヴァ(De padova)」から、ほどよくクラシックで日本のインテリアに取り入れやすいソファを前後編でご紹介します。

【関連記事:コンパクトなのに包まれてる感がスゴイ!ひとりがけソファ「デパドヴァのトンド」でリラックス】

【前編】となる今回は、ふかふかでたっぷりとした王道のクラシックなソファ「ラッフルズ」をピックアップ。インテリアコーディネーターやスタイリストから「やっぱり好き!」と長年愛され続ける名品です。

際立ったデザインのアイテムがあるわけではなく静かで全てに調和がとれている、どこか懐かしささえ感じさせてくれる居心地のいい空間…。そんな時空を超えた品のよいインテリアを作り出す美しい佇まいの主役級ソファ、それが「ラッフルズ」の特徴です。

「たっぷりとポットにお茶を淹れて映画を観る休日」にも「クタクタに疲れて家に帰る平日」にも、悠然とした姿で迎え入れてくれる理想のソファと一緒に歳を重ねてみたいと思いませんか?

今すでにあるインテリアにすんなりと溶け込みつつ暮らしの空間を格上げしてくれる…そんな控えめで麗しい、まるで“大和撫子”みたいなソファ。頭に描いた理想が現実となった「ラッフルズ」の魅力を、さまざまな角度からレポートします。

クラシックなイングリッシュスタイルのソファ「ラッフルズ」

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クラシカルでありながらリラックスしたムードを作りだすバランスが秀逸。確かな職人技でシワの様子も美しく、こなれ感をインテリアに添えてくれます

「ラッフルズ」は、イギリスのムードをまとったオーソドックスなソファです。深くてクッタリと心地よく体になじんでくれる座面クッション、ゆったりと水平にのびるラインの優美さ。よく見ると側面のステッチやのクラシカルなモチーフのキャスター付き木脚など凝ったディテールが美しく、おおらかさと細やかさのバランスに見れば見るほど心を奪われます。

現代の暮らしにマッチする程よいヌケ感があるのは、イタリアのブランドならでは絶妙なさじ加減でしょうか。

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【ブランド】デパドヴァ 【商品名】ラッフルズ 【写真の仕様の価格】¥1.101.100 【サイズ】幅2100×奥行き1120 × 高さ830、座面高450(mm) 【材質】シート:フェザーまたは形状記憶ウレタン、ファブリック 脚:アッシュ材、キャスター付き

クラシックな家具のディテールに用いられる旋盤加工(こけしを作るように木を回転させて造形する加工方法)が施された回転式キャスター脚もデザインのポイントです。

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「ラッフルズ」は横顔も美しい。アーム部分に装飾的にステッチがかけられてアクセントになっています
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後ろ脚は普通の木脚なので地震等でも安心な仕様

普段使いの「白」を選ぶ勇気を後押し!全てがカバー式という機能性

白い布ソファを日常生活空間に取り入れるライフスタイルに憧れていても、なかなか決断するのは難しいもの。その点「ラッフルズ」はクッションだけでなく本体を含めたカバー式ソファなので取り外して交換が可能です。経年や汚れを気にすることなく、憧れの白いソファで心置きなくくつろげるのは嬉しいですよね!

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カバーは自分で取り外せます

潔い真っ白なリネンのソファはリビングを広く感じさせてくれますし、室内のグリーンがよく映える色味でもあります。また座る人の顔を明るく見せてくれる効果もあります。くつろぐ姿が美しいことは、自分のためにも一緒に時間を過ごす相手のためにも毎日が特別な日になる近道です。

しっとりとした感触で体になじむ、好みで選べる2つの座り心地

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写真左側の座面クッションが「フェザー」、右側が「形状記憶ウレタン」タイプ

「ラッフルズ」はお好みで座面クッションの仕様を「フェザー」と「形状記憶ウレタン」の2種類から同額で選ぶことができます。見た目では違いがわかりにくいのですが、形状記憶のクッションは座って立ち上がった後の「もどり」が早く、深く腰かけた際の座り心地には微妙に差があります。

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「フェザー」を使用したものは、しっとりと体にまとわりつくようなかけ心地
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「形状記憶ウレタン」のものもしっとりと体にまとわりついてくれますが、ややお尻に反発が感じられます

ラッフルズに座ると体のラインに沿ってクッションがほどよくなじみ、「しっとり」とした感覚があります。「しっとり」というのは干したばかりの羽毛布団をふんわり畳んで手で押したときに感じる、優しく沈み込むような感触と似ています。疲れた体だけでなく、気持ちまでもふんわりとほぐしてくれる座り心地です。

深く腰かけた際、足は床にはつきません。むしろ両足をあげてあぐらをかいたり長座の姿勢をとったりコンパクトなソファでは得られないくつろぎの時間を過ごしたくなるソファです。

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寝そべっても低めのアームが心地よく受け止めてくれます

インテリアの中心地・ミラノでは絶対に外せないハイセンスなブランド「デパドヴァ」

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ミラノ市内にあるショールームは、ストーリー性のある世界観を体感できる場所

デパドヴァは1956年にデ・パドヴァ夫妻によって設立されました。特定の地域や様式にとらわれず個性的で洗練されたコーディネーションを展開し、そのタイムレスで洗練された空間は、「ボルゲーゼ」と呼ばれる北イタリアの上流階級の人々に圧倒的な人気を得ました。

その後、著名デザイナーとのコラボレーションにより家具メーカーとして成長、2015年にキッチン・ バスルームコレクションのハイエンドブランドであるBoffi(ボッフィ)社にジョイントします。アートディレクターを務めるピエロ リッソーニによる本社ショールームのスタイリングは、世界中の建築家やインテリアデザイナーがミラノを訪れる目的地の一つとなっています。

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根津美術館の斜め向かいにある東京のショールーム

南青山の東京ショールームも、「ボッフィ」のキッチンとつながる「デパドヴァ」のリビングダイニングの作り込みなど、まるでとびっきりセンスのいい友人の家に招かれたような心地よい空間になっています。

「ラッフルズ」をデザインしたのは、巨匠・ヴィコ・マジストレッティ

ヴィコ・マジストレッティは、1920年イタリア・ミラノ生まれ。ミラノ工科大学で建築を学び、卒業後父親のデザイン事務所でデザイナーとしての仕事を始めます。間もなく、デパドヴァ、カッシーナ、アルテミデといった超一流のインテリアブランドでデザインを手がけるように。 以前ご紹介したカッシーナの「マラルンガ」も彼が手がけたものです。

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個性的な「マラルンガ」と王道の「ラッフルズ」は、見た目も座り心地も全く異なるのですが、「ふっかふかのソファに身を沈めて、たっぷりと抱かれるようにくつろぎたい」ときにぴったり!という点が共通しています。同じデザイナーでも、ブランドによってデザインが異なるというのは面白いですよね。


以上、イタリアの家具ブランド「デパドヴァ」から、愛され続ける名品ソファ「ラッフルズ」をご紹介しました。

お家作りを計画されてる方や、心地よいインテリアを体感したい方は、ぜひショールームを訪れることをおすすめします。ご自身で好みのソファのかけ心地と、作りたいインテリアの世界観を体感してみてください。予約制なので、ゆったりと吟味して選ぶことができますよ。また、360度バーチャルショールームもあり、事前に見たいアイテムがあるかどうか調べることも可能です。

※掲載した商品の価格は、税込です。

※新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下では一部情報が変更となる可能性があります。公式HPなどでご確認ください。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM