雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、カラーループCEO、内丸もと子さんの活動をご紹介します。

内丸 もと子さん
カラーループ CEO
京都女子大学卒業後、イギリスの大学でテキスタイルを学ぶ。帰国後、フリーランスのテキスタイルデザイナーとして活動するなかで繊維リサイクルに興味をもち、京都工芸繊維大学に入学、工学博士を取得。2019年より現職。

素材ではなく、色で分別、再生させる。不要な衣料品をカラフルなプロダクトに

うず高く積まれた廃棄繊維の山。ほとんどが古着や廃棄予定の衣料品だ。内丸さんは、こうした廃棄繊維のリサイクルに携わっているが、特徴的なのは「素材」ではなく「色」で仕分けを行うこと。テキスタイルデザイナーの経歴をもつ内丸さんが構築した「カラーリサイクルシステム」である。

「紙やペットボトルといった単一の素材と違って、繊維は、1枚の布や1本の糸にも複数の素材が混ざっているので、ややこしい。リサイクルのための分別がしにくいんです。

そのうえ、リサイクル法(※)がなく、ある意味無法地帯。リサイクル率は26%ほどで、残りは焼却されるなどしているのが現状です。デッドストックや工場内の廃材はそこに含まれず、産廃として処分。廃棄繊維のリサイクルは難しいとされてきました。

だからこそ、より魅力的な、興味をもってもらえる製品にする、アップサイクルの流れが必要だったんです」

廃棄繊維は、赤、青、黄、デニム系など、9種類ほどに分別。開繊後、繊維自体を色材としてフェルトや糸にしたり、樹脂と混ぜてFRPという繊維強化プラスチックのシートやブロックにし、ブックカバーやペンケース、バッグにしたり。繊維由来の独自の風合いがあり、注目を集めている。

【SDGsの現場から】

●家庭や中古衣料品店などから集めた廃棄繊維を色分け

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一般家庭から出た洋服などの廃棄繊維は、2020年には51万トンともいわれている。

●風合いを感じるブックカバーやペンケース

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廃棄繊維から生まれたオリジナル製品。繊維の風合いをもつニュアンスのある色味が魅力。

こだわるのは、「システム」として提示し、確立させていくこと。

「私自身はデザイナーなので、感覚的に色分けすることができますが、それでは意味がない。誰でもできるように、工学的なシステムを提示しなくては、と思っています。そして、やっぱり商品としてのデザインも。リサイクルだから買うのではなく、素敵だなと思ったら実はリサイクル製品だった、というのが、理想ですよね」

※リサイクル法とは…資源、廃棄物などの分別回収、再資源化や再利用に関する法律。日本では容器包装、家電、小型家電、建設、食品、自動車、パソコンが対象。

PHOTO :
香西ジュン
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT :
大庭典子、喜多容子(Precious)
EDIT&WRITING :
取材:木佐貫久代