雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は、カラーループCEO、内丸もと子さんの活動をご紹介します。
素材ではなく、色で分別、再生させる。不要な衣料品をカラフルなプロダクトに
うず高く積まれた廃棄繊維の山。ほとんどが古着や廃棄予定の衣料品だ。内丸さんは、こうした廃棄繊維のリサイクルに携わっているが、特徴的なのは「素材」ではなく「色」で仕分けを行うこと。テキスタイルデザイナーの経歴をもつ内丸さんが構築した「カラーリサイクルシステム」である。
「紙やペットボトルといった単一の素材と違って、繊維は、1枚の布や1本の糸にも複数の素材が混ざっているので、ややこしい。リサイクルのための分別がしにくいんです。
そのうえ、リサイクル法(※)がなく、ある意味無法地帯。リサイクル率は26%ほどで、残りは焼却されるなどしているのが現状です。デッドストックや工場内の廃材はそこに含まれず、産廃として処分。廃棄繊維のリサイクルは難しいとされてきました。
だからこそ、より魅力的な、興味をもってもらえる製品にする、アップサイクルの流れが必要だったんです」
廃棄繊維は、赤、青、黄、デニム系など、9種類ほどに分別。開繊後、繊維自体を色材としてフェルトや糸にしたり、樹脂と混ぜてFRPという繊維強化プラスチックのシートやブロックにし、ブックカバーやペンケース、バッグにしたり。繊維由来の独自の風合いがあり、注目を集めている。
【SDGsの現場から】
●家庭や中古衣料品店などから集めた廃棄繊維を色分け
●風合いを感じるブックカバーやペンケース
こだわるのは、「システム」として提示し、確立させていくこと。
「私自身はデザイナーなので、感覚的に色分けすることができますが、それでは意味がない。誰でもできるように、工学的なシステムを提示しなくては、と思っています。そして、やっぱり商品としてのデザインも。リサイクルだから買うのではなく、素敵だなと思ったら実はリサイクル製品だった、というのが、理想ですよね」
※リサイクル法とは…資源、廃棄物などの分別回収、再資源化や再利用に関する法律。日本では容器包装、家電、小型家電、建設、食品、自動車、パソコンが対象。
- PHOTO :
- 香西ジュン
- WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)
- EDIT :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)
- EDIT&WRITING :
- 取材:木佐貫久代