雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、車椅子インフルエンサー、中嶋涼子さんの活動をご紹介します。

中嶋 涼子さん
車椅子インフルエンサー
(なかじま りょうこ)9歳のときに原因不明の病により車椅子生活に。映画『タイタニック』に人生を救われ、映像の仕事を志す。高校卒業後は渡米し7年を過ごす。帰国後は「FOX」にて映像編集に携わり、長年の夢を叶える。’18年より現職。

障がい者だって人生を目一杯謳歌できると発信し続けたい!

東京パラリンピックの閉会式の舞台。さまざまな個性や障がいをもつパフォーマーが躍動するなかに中嶋さんの姿もあった。

車椅子インフルエンサーとして「障がい者と社会の間にある壁を壊したい」と発信活動を行う彼女は、9歳のとき原因不明の病で突然歩けなくなった。「今までかわいそうな人と思っていた障がい者に自分がなったことが辛くて」引きこもった時期もあったが、大学時代のL.A.留学が転機に。

「街に車椅子の人がたくさんいて、彼らが皆いきいきとしているんですよね。健常者も、気軽に話しかけてきて、当たり前のように助けてくれて。そんな自然なふるまいが心地よかったんです。スロープなどを整えるより、人の心がバリアフリー(※)であることが生きやすい社会に必要だと、このときに感じた思いが活動の原点です」

帰国後は障がいをもつ女性たちでユニットを結成。「ちがいをたのしむ」をコンセプトにファッションショーに出演したり、イベントで歌やダンスなどのパフォーマンスを行うなど積極的に人前に出ている。先日のTV番組では、自身の排泄障害についてユーモアを交えて語り、話題に。

「排泄障害については、今まで恥ずかしいことだと隠していました。ですが、こういうことこそ知ってもらいたいと勇気を出して話したんです。放送後は同じ悩みをもつ人から『言ってくれてありがとう』と思いがけない反応があってうれしかったですね。

今、私は心底、この体でよかったと思えるんです。車椅子だから出会えた人や経験があって、ようやく障がいを受け入れられました。これからも『障がい者もカッコよく、人生を素敵に楽しめるよ!』と発信し続けます」

【SDGsの現場から】

●最高に楽しかったパラリンピック閉会式の舞台!

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弾ける笑顔で、車椅子ドラムを叩く中嶋さん。どう叩けばカッコよく映るかを研究し猛特訓。

●同じ感覚を共有できる障がい者同士の出会いが人生の転機に

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おしゃれもキャリアもあきらめない同志と出会い、発信活動に誘われたことで人生が激変。

※バリアフリーとは…多様な人が社会に参加する際の障壁をなくすこと。建物など物理的なバリアだけでなく、偏見や差別など心のバリアも障壁をつくる。

PHOTO :
望月みちか
EDIT :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材・文 :
大庭典子