クルマの世界でも、いまは超がつくぐらいの限定車がトレンドなになっている感がある。ランボルギーニが、サーキット走行を趣味とするアマチュアドライバーのために作りあげたような「エセンツァSCV12」は、その好例。

東京・新宿に姿を現したハイパースポーツ

「ランボルギーニデイ2021」でお披露目されたEssenza SCV12。
「ランボルギーニデイ2021」でお披露目されたEssenza SCV12。
スタイリングを手がけたのは、ランボルギーニのチェントロ・ スティーレ(デザイン部門)。
スタイリングを手がけたのは、ランボルギーニのチェントロ・ スティーレ(デザイン部門)。

これで公道も走れるの?というぐらい、凝りまくったモデルだ。21年11月に東京で開催された「ランボルギーニデイ2021」のために日本に持ちこまれて、新宿の会場に展示され大いなる話題を呼んだ。

このイベントは、クンタッチ(カウンタック)50周年を記念してファンのために企画されたもの。「ランボルギーニ・クンタッチ・コンテストジャパン」で選出された10台のクンタッチを展示。そのあと一般道での走行パレードも開催された。

わずか40台の限定生産となるエセンツァSCV12は、カーボンファイバー製のシャシーに6498ccV12気筒エンジンをミドシップ。830馬力(CV)をパワーでもって、6段のシークエンシャルギアボックスを介して後輪を駆動する。

車体の製作を手がけたのは、ランボルギーニCFKデパートメント。CFKとは、カーボンケブラー素材で、軽量で高剛性のため、レース車両ではおなじみの素材だ。

「エセンツァSCV12は、こういうクルマを作ったらどうだろうというアイディアを集めて開発されました。レーシングプロトタイプのようなモデルで、たとえばリアサスペンションはギアボックスに取り付けるなど、GTレースマシンのアイディアそのものです」

ランボルギーニのレーシング部門をひきいるジョルジョ・サンナ氏は上記のコメントを発表している。

ウラカンGT3Evoより車体のねじれ剛性は20パーセントも高いという。
ウラカンGT3Evoより車体のねじれ剛性は20パーセントも高いという。
レースカーのようなコクピットだが快適性は犠牲にしていないという。
レースカーのようなコクピットだが快適性は犠牲にしていないという。

ロールケージのない軽量で快適な設計

ボディはカーボンファイバーのモノコックで、V12をミドシップし、サスペンションはギアボックスに取り付けられる。
ボディはカーボンファイバーのモノコックで、V12をミドシップし、サスペンションはギアボックスに取り付けられる。
「ランボルギーニ・クンタッチ・コンテストジャパン」で選出された10台のクンタッチが新宿の会場に並べられた。
「ランボルギーニ・クンタッチ・コンテストジャパン」で選出された10台のクンタッチが新宿の会場に並べられた。

今回のエセンツァSCV12では、シャシーを高強度のカーボンファイバー製にし、スチールのロールケージを排するのに成功している。レースの規則を定めている世界自動車連盟(FIA)のために徹底的にテストした結果、ロールケージなしで許可が下りたというのも注目点だ。

まさに檻のようなロールケージは通常ドライバーの安全のために必要なものであるいっぽう、窮屈で快適とは言いがたい。それをなくしてしまった画期的なボディ構造ゆえ「軽量で、かつ快適なクルマになりました」とランボルギーニは表明。

すこし前にアストンマーティンが、12気筒をミドシップしたハイパースポーツ「ヴァルキリー」を150台限定で生産するプログラムをスタートさせ、最初の1台がラインから離れたのがニュースになった。ランボルギーニも負けていない。

話を冒頭で紹介したイベントに戻すと、このとき、アウトモビリ・ランボルギーニにおける、ヘッドオブジャパンの肩書きを持つダビデ・スフレコラ氏も参加。下記のように謝辞を述べていた。

「日本全国からお集まりくださったお客様の皆様に感謝申し上げます。ランボルギーニ、そして Countach を愛し続けてくださる皆様とのつながりを大切に、今後もさまざまな形でオンライン、オフラインで お会いできる機会を創出、ランボルギーニの DNA を発信してまいります」

エセンツァSCV12と、もはや伝説的なクンタッチを新宿で見られたひとたちは、幸運だったといえる。この限定生産のハイパースポーツの世界は、イタリアと英国を中心に、これからも過熱しそうな気配がある。

問い合わせ先

ランボルギーニ

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。