男には何着の“遊び着”が必要だろうか。少なくとも、パーティで遊ぶためのタキシードやテールコートと、野外での趣味を楽しむ機能服は、ワードローブに絶対ほしい。クルマにはその両方を1台でこなしてくれるモデルもある。たとえば「レクサスNX」だ。
モーターだけで最大90キロ走れる
2021年10月7日にフルモデルチェンジしたSUVのNX。先代より20ミリ長くなったとはいえ4660ミリにとどまる全長と、15ミリ高くなった1660ミリの全高を持つボディに、4つのエンジンが用意された。とりわけ注目はレクサス初になるプラグインハイブリッドモデルの設定だ。
試乗したのは、秋が深まるリゾート、蓼科だ。美しい山々の光景とともに、交通がまばらになったワインディングロードという、私にとってはまたとない“もてなし”が嬉しかった。
新型NXは、「カーボンニュートラル社会の実現と、多様化するお客様のニーズやライフスタイルに寄り添うクルマづくりを推進する次世代LEXUSの第1弾モデル」とレクサスが定義する。
そのためNX450h+という、2487cc4気筒ガソリンエンジンに、大容量のバッテリーと組み合わせた電気モーターを搭載したプラグインハイブリッドを設定した。その先にあるのは、全モデル電動化のビジョンと、気合いが入ったモデルだ。
じっさいに、モーターだけでおよそ90キロ走ってしまう性能を持っている。走らせると、パワフル。ただしパワーが炸裂するような加速でなく、あくまで気持ちよさを感じさせてくれるスムーズな加速感が気持ちいい。
これは注目だと私が思ったのは、このNX450h+に用意されたドライブモード「AUTO EV/HVモード」だ。「先読みエコドライブ」なる機能があり、ナビで目的地を設定して走行している際、道路の属性・特性(と駆動用電池の残量)に応じて、車両が自動的にEV走行とエンジンを始動させるハイブリッド走行を切りかえる。
切り替えがスムーズに行われるため、ドライブしていても、まったく違和感がない。坂道でもアクセルペダルの踏み増しがなく走れてしまう。なのに、ドライバーはそれと気づかない。これで、ハイブリッド走行の究極の目標が達成できていると私は思ったほどだ。
開発の最後の最後まで走りの質を追求
もうひとつ、感心したのは、ドライブの楽しさだ。くいくいと、面白いようにカーブをこなしていく。ハンドリングというのだけれど、操舵しての操縦性の高さは、驚くべきものがある。
聞くところによると、開発陣は、最後の最後まで、より高い次元の走りを作りだしたいと懸命に努力を重ねていたんだとか。もうこれでおしまい、と言う段になって、もうひとつやれることがあるんじゃないかと、採用したのがボディ各所の補強だそうだ。
はたしてそれが効を奏して、まるでスポーツセダン、と感じられるぐらいの走りのよさが実現。私にとって驚きだったのは、NX450h+をはじめ、ハイブリッドのNX350h、2リッターターボのNX350、そしてベーシックグレードともいえるNX250にいたるまで、操縦感覚がかなり近いと感じられたことだ。
ハンドリングの面からみた最良車種は、自分ではNX250とNX350で、もし気軽にあたらしいNXを楽しみたいと思っているなら、もっとも買いやすいNX250の前輪駆動で充分、といえるほど、ドライビングが楽しい。で、車重が増すハイブリッドモデルでも、曲がりのよさと身のこなしぶりは、軽量車種と同様なのだ。
スタイリングは、張りのある面と、キャラクターラインを減らしたことで、適度にエレガントで、かつスポーティに仕上がっている。ホテル前とかが似合うと思いつつ、オフロードでも意外なほどサマになるのだ。男にとって、1台で何通りも楽しませてくれるクルマとして、評価したい。
価格は、NX250が¥4,550,000から、NX350がモノグレードで¥5,990,000、NX350hが¥5,200,000から、そしてNX450h+が¥7,140,000からとなる。
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- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト