宮崎県が生産量日本一。科目はマメ科。原産地はイタリアのシチリア島。さて、これはいったい……? 答えはスイートピー」。ひらひらとした蝶のような軽やかな花びらをつけた姿が印象的な春の花で、花言葉は「門出」。門出を祝うことの多い春の花束によく使われる。

17世紀後期に温暖な地中海気候のシチリア島で発見された「スイートピー」は、18世紀後半からイギリスなどで園芸用に品種改良が進み、イギリス王室が愛した花のひとつにもなった。日本での切り花の栽培明治末期からという説がある。産地の多くは太平洋側。生育に光と温度が必要な花だから、というのがその理由だ。日本一の生産量を誇るのは宮崎県。同地での栽培が本格的に始まったのは1984年と、意外なほど近年だ。ちなみに、年間を通して日照時間に恵まれた宮崎県は、「日本のひなた」と呼ばれている。

この冬はラニーニャ現象の影響で、日本でも雪が多く、寒い日々が続いた。それだけに待ち遠しかった春の訪れを、「スイートピー」のスマートなアレンジで楽しみたい。

「スイートピー」と「ヒヤシンス」香りで春を感じる二種類の花のアレンジ

「スイートピー」を使ったアレンジ
「スイートピー」を使ったアレンジ

「スイートピー」は名前の通り「甘い(sweet)」香りがする春の花。そこにもう一種、目だけでなく香りでも春を感じさせてくれる花として、恵比寿「GINKGO」のオーナー・フローリスト山岡まりさんが選んでくれたのが、ヒヤシンス。球根花のため、庭植えや水栽培のイメージが強いが、切り花としても冬から5月くらいまで流通している。

価格の目安 スイートピー¥200〜、ヒヤシンス¥650〜800(GINKGO調べ)。

可憐な「スイートピー」と対照的に、たっぷり付いた花も葉も多肉質で、存在感のあるヒヤシンス。「個性の異なる2種類の花をスマートにアレンジするなら、左は「スイートピー」の束、右にヒヤシンスの束、といったように2つのかたまりに分けて生けるのがおすすめ」と山岡さん。逆に、柔らかくファンシーなイメージに仕上げるなら、2種類を混ぜてアレンジするといい。

「スイートピー」のつぼみを開花させるには光が必要なため、日中は窓際に。また、ヒヤシンスの茎は水に浸かった部分が痛みやすいため、浅めの水に生け、水替えもこまめに。アレンジした花をできるだけ長く美しい姿でキープするための手入れのひと手間。それもまた、リモートワークの気分転換になるに違いない。

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GINKGO

この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。
PHOTO :
島本一男(BAARL)
COOPERATION :
GINGO
参考書籍 :
「花屋さんに並ぶ植物がよくわかる 「花」の便利帖(KADOKAWA)」