人生100年時代に突入した現在、いつまでも元気に若々しく過ごしたい。男性にとって男性ホルモンは、アンチエイジングに重要なホルモンである。今回は、男性ホルモンがメンズ美容に与える影響と、不足させないための日常生活の対策についてお伝えしたい。

男性の魅力にテストステロンは欠かせない

男性の健康と美容の鍵を握る「テストステロン」

人間の体は100種類以上のホルモンがあるが、男性の健康と美容の鍵を握っているのは「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンである。

「テストステロン」は精巣(睾丸)で作られ、筋肉や骨格を作り、生活に必要な活力を産み出し、性欲を高めるなどの働きをしている重要なホルモンだ。

40歳以降の男性の悩みの9割は、この「テストステロン」の不足から引き起こされているとの報告もある。

ただ長生きするだけではなく、健康的に美しく元気に過ごすために、30〜40代のうちから自分のホルモンに関心をもち、必要なケアをしていくことが大切だ。

「テストステロン」の減少が体に与える影響とは?

「テストステロン」の減少によって集中力の低下、無気力、不眠、性欲低下などの症状が現れる。

「テストステロン」の減少は、体にどのような影響を与えるのだろうか。もちろん、人によって様々ではあるが、「身体」「メンタル」「性機能」の問題が組み合わさって男性を悩ませ、特に若い男性ほど心の症状が出やすい傾向がある。

よく見られる症状としては、集中力の低下、無気力、不眠、性欲低下などである。本稿では美容の観点から、特に3つの点に注目してお伝えしたい。

「テストステロン」の低下が美容に及ぼす影響

1.睡眠障害による肌ダメージの蓄積
2.血管の老化による肌のエイジングサイン
3.メタボリックシンドロームの進行

ひとつずつ深掘りすると長くなってしまうので、まずは1の「睡眠障害による肌ダメージの蓄積」についてお伝えしよう。

心理的ストレスと睡眠障害が肌のダメージを蓄積させる

30代後半から40代にかけて「テストステロン」の分泌量が減少しはじめるのだが、仕事や家庭内でのストレスを抱えるタイミングと重なることが多い。さらに男性は自分に対して無頓着で、困ったことがあっても誰にも相談せずにひとりで抱え込んでしまう傾向があり、ストレスフルな状態に気づかない人が多いのが実情だ。

ストレスと「テストステロン」には密接な関係があり、ストレスが多いと、脳からの性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)が抑制され、睾丸から分泌されるテストステロンの量がさらに低下してしまう。辛抱強い、休みを惜しんで仕事を優先する、責任の重いポジションにある人など、自分に負荷をかけがちな人ほど、「テストステロン」の分泌量が低下するリスクが高いといわれている。

もうひとつ覚えておきたいのが、「テストステロン」と睡眠の関係だ。「テストステロン」が減少すると、メラトニンとセロトニンの切り替えや調整がうまくいかなくなり、睡眠リズムが崩れ、睡眠障害を引き起こす。

また、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」には、体内の活性酸素を除去する抗酸化作用があり、日中に紫外線から受けた肌細胞のダメージを修復する働きがある。

ところが、「テストステロン」が減少するとメラトニンの分泌が乱れ、結果的に肌トラブルにつながるのである。メラトニンの分泌が乱れ、抗酸化力が弱まった細胞は、活性酸素からのダメージを受けやすく、老化が進行しやすくなるのだ。

男性ホルモン(テストステロン)の減少が睡眠に影響を与え、さらにエイジングを加速させてしまうという事実を覚えておいてほしい。

「テストステロン」の減少による「血管の老化による肌のエイジングサイン」と「メタボリックシンドロームの進行」については、4月下旬を予定。その時に、「テストステロン」を不足させないための日常生活の対策についても詳しくお伝えしたいと思う。

西嶌暁生(にしじま あきお)さん
医学博士、形成外科専門医
筑波大学大学院卒業。2児の父。『恵比寿形成外科・美容クリニック』のメディカル・ディレクターおよびメンズ美容医療の担当医。形成外科・美容医療の専門医として、10年以上にわたり肌のダメージに向き合い、肌細胞の再生(cell repair)をキーワードにアンチエイジングに取り組む。メンズ美容においては、男性特有の悩みや肌の特徴を踏まえ、自身の細胞を最大限に活性化するため、内・外・心からのアプローチを提唱する。
この記事の執筆者
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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