アウディ本社が「A6アバントe-tronコンセプト」なるモデルを、2022年3月17日に公開した。アバントとは、ご存知のとおり、アウディならではのステーションワゴンの名称。このモデルも、とてもスタイリッシュで魅力的だ。
ひときわエレガントなロングツアラー
全長4.96メートル、全高1.44メートルというサイズは、アウディが「ラグジュアリークラス」とくくっているだけある。「エレガントなボディラインとプロポーションはこれからのアウディ車の方向性を指し示すもの」とはアウディが用意したプレスリリース内の文言。
「ピュアEV化されたラグジュアリークラスの車両がどれだけダイナミックで、同時にエレガントかを感じてもらえる」と、アウディではしている。
最高出力は270kWで、800ボルトテクノロジーという高性能規格の充電システムを使うことで、短いチャージタイムで700キロに達する巡航距離を実現すると説明されている。アウディによると、10分の充電で約300キロ走れることになるという。
じっさい、日本で発売されているe-tron GTの経験でいうと、東京から静岡県の日本平まで往復しても、あと200キロ走れると表示が出ていたぐらいで、ロングツアラーとしての性能は期待できそうだ。
このままのプロポーションで市販化に期待!
アウディがステーションワゴンに与えた名称、アバントとは、そもそもアバンギャルドから派生したもの。ステーションワゴンは四角い箱のような荷室で積載量の多さを競っていた1970年代にあって、アウディはテールゲートを大きく寝かせてスタリッシュさを追求したアバントでもって、自動車マーケットにおける新しい可能性を開拓した実績をもつ。
流れるようなラインと、長いルーフ長で、新しさを感じさせるボディは、審美性と同時に科学性も追求されている。これが長いこと、アウディのデザインテーマだった。今回は、空力抵抗を現すCd値はなんと0.22という低さ。燃費(電費)への貢献が大きいとアウディは胸を張る。
すこし専門的になってしまうけれど、使われているプラットフォームは「PPE」と呼ばれるEV専用のもの。アバントでは、100キロワット時という大容量のバッテリーを前後輪のあいだに搭載できる。車高が高いSUVにも対応するとのことで、ピュアEVにかけるアウディの意気込みを感じさせる。
このクルマがこのままのかたちで販売されることはないのではないかと思われるが、「近い将来の量産モデルのヒント」とアウディではしている。デザインはアウディの商品性にとって重要な要素なので、斬新なモデルの登場が期待できるかもしれない。
- TEXT :
- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト