【SDGsדやさしいファッション”】視点2「それは信用できる?」

「SNSの広がりで、“嘘がつけない”時代。社会的責任を果たしているかどうかも、ブランド評価の要になっています」(向さん)

背景にある理念や素材が生産される過程にも目を向けて、“本当に信用できるもの”を選び取る―私たちひとりひとりのそんな意識が、社会をよくしていくと心得たい。

インタビュー_1,サステナブル_1
 
向 千鶴さん
WWDJAPAN編集統括 サステナビリティ・ディレクター
(むこう ちづる)神奈川県横浜市出身。東京女子大学卒業後、エドウインに入社。4年半、営業職を務める。日本繊維新聞社記者を経て'00年にINFASパブリケーションズ入社。記者として主にデザイナーズブランドの取材を担当。『ファッションニュース』編集長、『WWDJAPAN』編集長などを経て'21年4月から現職。海外コレクション取材のキャリアは業界屈指。クリエイターへの愛に溢れた取材活動で知られ、多くのラグジュアリーブランドから厚い信頼を集めている。

Keyword「トレーサビリティ」:産地と製法を見える化する責任あるものづくり

近年、聞く機会が増えた言葉「トレーサビリティ」。製品がどのような過程で、誰によってつくられたのかを「見える化」し、追跡可能な状態にすることを指します。

「私たちは、自分の健康と直結する食品については産地や製法に敏感です。服やジュエリーだって同じこと。ファッションは私たちを輝かせるためのものなのに、実は誰かが貧困に苦しみながらつくっているものだとしたら…ちっともうれしくないですよね。

身につけるアイテムひとつひとつの生い立ちが、健全なものであってほしい。それを生み出した人たちも、笑顔であってほしい。そんな考え方が消費者のあいだでも、特に若い世代で広がっています」(向さん)

ジュエリー業界では、ダイヤモンドの原産地、採掘と加工の工程をブランド側が明らかにする動きが顕著。私たちを魅了するダイヤモンドは、責任をもって採掘された社会的な透明性があってこそ、未来に向けて美しく輝くのです。

ティファニーの『エルサ・ペレッティ(TM) ダイヤモンド バイ ザ ヤード(TM)』(上)、ブシュロンの『エトワール ドゥ パリ』(下)

社会貢献_1,サステナブル_3,ダイヤモンド_1,ネックレス_1,指輪_1
上/ネックレス『エルサ・ペレッティ(TM) ダイヤモンド バイ ザ ヤード(TM)』[ダイヤモンド×プラチナ]¥4,235,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)、下/リング『エトワール ドゥ パリ』[ダイヤモンド×プラチナ]¥968,000~(ブシュロン)

「ティファニー」のトレーサビリティへの取り組み

自社の個別登録ダイヤモンドの採掘地から研磨、セッティングまでの情報を開示している「ティファニー」。原石はオーストラリアやボツワナなどの信頼のおける供給先からのみ調達。

社会貢献_2,サステナブル_4,ダイヤモンド_2
(C)Tiffany & Co.

アントワープの自社工房で、熟練の職人が原石を選別している様子。ブルーボックスに収められるまでの一連の軌跡を写真で紹介する「ダイヤモンド クラフトマンシップ ジャーニー」は公式サイトで。

「ブシュロン」のトレーサビリティへの取り組み

「ブシュロン」では、新作リング『エトワール ドゥ パリ』の発表を機に、トレーサビリティへの取り組みをいっそう強化。最先端のアルゴリズム技術を導入し、より精度の高い原石の識別と、各工程の詳細な情報追跡が可能に。

社会貢献_3,サステナブル_5,ダイヤモンド_3
(C)Boucheron

ダイヤモンド技術の先進企業SARINEテクノロジー社との連携により、独自のデジタル証明書を発行。'25年までに、ダイヤモンド以外のすべての主要原材料のトレーサビリティを100%にする目標も。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

PHOTO :
小池紀行(パイルドライバー)
STYLIST :
金井あい
EDIT&WRITING :
三尋木奈保、池永裕子(Precious)