雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は「テンセンス」代表取締役 林真智子さんの活動をご紹介します。

林 真智子さん
「テンセンス」代表取締役
(はやし まちこ)35歳からアナウンサーとして活動。’12年に大阪・天満橋に「R・J cafe」をオープン。’16年に食べられるカップ『エコプレッソ』を開発。以後、可食容器の企画や普及に力を注ぐ。’22年、おおさか環境賞大賞を受賞した。

食べられるカップを世界へ、1軒のカフェから発信するSDGs

林さんが手にしているエスプレッソ用カップ『エコプレッソ』(※)。実はこれ、クッキー生地でできていて、食べられる。内側が砂糖でコーティングされており、エスプレッソを飲むうちに少しずつ砂糖が溶けていくという仕掛けだ。

「エスプレッソ専門のカフェをオープンしたのが’12年。でも、当時はまだエスプレッソ自体それほど認知されておらず、なかなか飲んでもらえなくて。それで考えついたのが『エコプレッソ』でした。’16年のことです。『洗わなくていいし、ゴミも出ないからエコだよね』くらいの気持ちでした」

この一歩が、林さんをSDGs活動へと導く。SNSをきっかけに大ヒットした『エコプレッソ』を、アメリカでプロモーションした際、非常に高い評価を受けたのだ。

「日本では『インスタ映え』だった『エコプレッソ』が、アメリカでは『SDGsだ!』と。その意識の違いに驚きました。そこから私もSDGsを学び、活動を始めたんです。

海外でも受け入れられるよう、バターや砂糖を使用せず、グルテンフリーで、イスラム法上で合法のハラールにも対応した『ニューエコプレッソ』をつくり、安価で生産できるようにしました。ホットケーキミックスを使って家庭や屋外でもつくれるエコプレッソベーカーもこの夏、生産予定です」

自社で出たコーヒー殻と生ゴミを堆肥させて肥料にする取り組みは、他店へも広げたいと考えている。前職がアナウンサーだったこともあり、学校などでSDGsについて伝えていくことも、自分にできることのひとつだと語る。

「以前は、私が考えることはほかの人も考えている、と思っていました。でもそうじゃない。私がやらないと。それが今の気持ちです」

【SDGsの現場から】

●コーヒー殻を発酵させてつくった肥料も販売

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店で出るコーヒー殻を使った肥料。袋代50円のみで発売する。今後は他店へも広げたい。

●飲み終わったら食べられるカップ『エコプレッソ』

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食べ応えのあるクッキータイプのほか、グルテンフリーのものも発売。広く普及を目指す。

※エコプレッソとは…海外に向けても『ECOPRESSO』として商標登録されている。’20年にソーシャルプロダクツ賞、グッドデザイン賞を受賞。

PHOTO :
香西ジュン
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
木佐貫久代