コスメ開発に生涯を捧げた青年と花隈芸妓、二人の主人公がひたむきに生きる物語

書籍『コスメの王様』
書籍『コスメの王様』。中央には、クラブコスメチックスのシンボルマークである「双美人」を彷彿とさせる、双子の女性のイラストも。

“東洋の化粧品王”と呼ばれた男、中山 太一を知っていますか。彼は、大阪で120年もの歴史を刻み続けている「クラブコスメチックス(旧:中山太陽堂)」の創業者で、明治の大ヒット商品となった「クラブ洗粉」や「英国式クラブ美身クリーム」を誕生させた人物。

品質へのこだわりはもちろんのこと、彼が手掛ける斬新で先進的な宣伝手法は、クラブコスメチックスの名を世に知らしめただけでなく、世界に誇る日本の化粧品産業創成期に大きな影響を与えました。

TVドラマ化された『トッカン-特別国税徴収官』や『上流階級 富久丸百貨店外商部』シリーズなどで知られる小説家の高殿 円氏の最新作『コスメの王様』は、その実在の人物、中山氏をモデルにしたフィクション小説。昨年2021年に産経新聞で連載されていた本作は大きな反響を呼び、待望の単行本化を果たしました。

「故郷の神戸をがっつり舞台にした、華やかな物語を書きたいとずっと思っていた」という高殿氏。(本書『コスメの王様』について著書のコラムより)明治大正期の神戸花隈を舞台とした本作は、コスメ開発や斬新な宣伝手法に生涯を捧げた青年「利一」と花隈芸妓「ハナ」の出会いをはじまりに、さまざまな人間模様を大胆かつ繊細に綴った物語です。

「真心」を信条に、利一が商売にかけた熱い情熱や、喜び、苦しみ、素晴らしい仲間との出会い。そしてハナとの行方は?  “東洋の化粧品王”と呼ばれた男が、いかにして誕生したのかを描き、変化の激しい時代をひたむきに生き抜いた二人の物語は、恋愛小説にとどまらないビジネス書でもあり、じわじわと心に響く言葉も多数。

ハナという一人の女性が、当時の男女格差に苦悩し、それでも激動の時代を強く自立しようと踏ん張り前へ進む姿は、凛と美しく、真の強さ、やさしさとは何かを改めて感じさせてくれます。前進する力が欲しいとき、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。

<書籍情報>

『コスメの王様』
著:高殿 円
定価:¥1,760(税込)
発行元:株式会社小学館
ページ数:四六判344頁
ストーリー:「ほんまに、きみが愛おし!」時は明治の世。秀才ながらも山口の家族を支えるため、進学をあきらめ単身神戸に出てきた少年と、牛より安い値段で花街に売られてきた少女。その二人の出会いは、やがて日本の生活をも一変させる発明、大ヒット商品誕生へとつながっていく。激動の明治・大正・昭和を「真心」をもって駆け抜け、大阪で100年を超える会社を創業した「東洋の化粧品王」の一代記!


まるでコスメのパッケージを彷彿とさせる、レトロでキュートなイラストの表紙も印象的。書店でもひと際存在感を放っています。電子書籍でもお楽しみいただける本作品、詳細は下記ボタンよりご確認ください。

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高殿 円さん
(たかどの まどか)神戸市生まれ。2000年『マグダミリア 三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞し、デビュー。2013年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞受賞。「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズがテレビドラマ化され、ベストセラーに。同じく2019年産経新聞で連載された『グランドシャトー』は、大阪を舞台に、たくましく生きた女性の物語として大きな話題となる。
この記事の執筆者
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WRITING :
池尾園子
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