雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は「SOUJI」CMO カタリーナ・トゥルヒージョ・ビジャさんの活動をご紹介します。
家庭の廃油を混ぜて振るだけで洗剤にリサイクルするエコ製品
キッチンから出た油をその場でエコな洗剤に変える。そんな魔法のような液体『SOUJI』は、マーケティングとコミュニケーションの専門家であるカタリーナさんと、環境エンジニアの夫が3年の月日をかけて世に出した、今のところ世界で唯一の製品だ。
「1リットルの油はその100万倍の水を汚染するといわれています。水に油が混じっていれば、汚染浄化場での処理費用は7倍にも。環境汚染だけでなく、経済的なダメージも大きいのです。
しかしスペインでは、家庭の廃棄油(※)はためて処理場に持参するシステムで、面倒でそのまま流しに…という人が多い。私たち夫婦は起業家精神があって、いつも新しいことを考えていたので、『なんとかしたい』と。それが始まりでした」
スタンダードな製品は、100%リサイクル素材のプラスチックボトル入り。使用ずみの油を入れて1分間振ると、化学反応が起きて洗剤になる。
できた洗剤は、食器洗いや、掃除、洗濯にも使える。使用ずみの油と『SOUJI』を自動で混ぜ、できた洗剤が蛇口から出てくる機械も開発中で、一般家庭のみならず、ホテルや飲食店などへの普及を目指している。
「缶詰など、オイル漬けの商品がありますよね。あの油も使えます。私たちはエコ洗剤を売っているのではなく、あくまでも『使った油のリサイクル』が主旨。その副産物として、洗剤ができている」
ちなみに『SOUJI』という製品名は、「世界をきれいにしようというテーマで、いろんな言葉の可能性を探すうちに、日本語のこの響きが気に入った」のだそう。
「開発が進めば、香りなども変えていけると思います。より清潔で、持続可能な未来を実現できたら」
【SDGsの現場から】
●ボトルも100%リサイクル素材のプラスチックを使用
●環境エンジニアの夫と二人三脚で製品を開発
※廃棄油とは…日本においては、廃食用油は、事業系は飼料用などへのリサイクルが進んでいる一方、家庭系は可燃ゴミなどで廃棄されることが多い。
- PHOTO :
- Javier Peñas
- WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- Yuki Kobayashi