雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は「SOUJI」CMO カタリーナ・トゥルヒージョ・ビジャさんの活動をご紹介します。

カタリーナ・トゥルヒージョ・ビジャさん
「SOUJI」CMO
マドリッドのビジネススクールで経営とマーケティングを学ぶ。環境エンジニアの夫と共に家庭の廃棄油を洗剤にリサイクルするための研究をスタートし、’17年に『SOUJI』を発売。起業した現在も、大学で教鞭をとる。

家庭の廃油を混ぜて振るだけで洗剤にリサイクルするエコ製品

キッチンから出た油をその場でエコな洗剤に変える。そんな魔法のような液体『SOUJI』は、マーケティングとコミュニケーションの専門家であるカタリーナさんと、環境エンジニアの夫が3年の月日をかけて世に出した、今のところ世界で唯一の製品だ。

「1リットルの油はその100万倍の水を汚染するといわれています。水に油が混じっていれば、汚染浄化場での処理費用は7倍にも。環境汚染だけでなく、経済的なダメージも大きいのです。

しかしスペインでは、家庭の廃棄油(※)はためて処理場に持参するシステムで、面倒でそのまま流しに…という人が多い。私たち夫婦は起業家精神があって、いつも新しいことを考えていたので、『なんとかしたい』と。それが始まりでした」

スタンダードな製品は、100%リサイクル素材のプラスチックボトル入り。使用ずみの油を入れて1分間振ると、化学反応が起きて洗剤になる。

できた洗剤は、食器洗いや、掃除、洗濯にも使える。使用ずみの油と『SOUJI』を自動で混ぜ、できた洗剤が蛇口から出てくる機械も開発中で、一般家庭のみならず、ホテルや飲食店などへの普及を目指している。

「缶詰など、オイル漬けの商品がありますよね。あの油も使えます。私たちはエコ洗剤を売っているのではなく、あくまでも『使った油のリサイクル』が主旨。その副産物として、洗剤ができている」

ちなみに『SOUJI』という製品名は、「世界をきれいにしようというテーマで、いろんな言葉の可能性を探すうちに、日本語のこの響きが気に入った」のだそう。

「開発が進めば、香りなども変えていけると思います。より清潔で、持続可能な未来を実現できたら」

【SDGsの現場から】

●ボトルも100%リサイクル素材のプラスチックを使用

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デパートやスーパー、Amazonでの販売だけでなく、量り売りできるフォーマットも。

●環境エンジニアの夫と二人三脚で製品を開発

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消費者のルーティンを変えるには簡単な商品でなくてはならないと液状の製品が完成。

※廃棄油とは…日本においては、廃食用油は、事業系は飼料用などへのリサイクルが進んでいる一方、家庭系は可燃ゴミなどで廃棄されることが多い。

PHOTO :
Javier Peñas
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
Yuki Kobayashi