清野恵理子さん好みに倣う、夏らしい贅沢な遊び心が冴える「きものと帯、帯揚げ、帯締めの “取り合わせ”」

本特集のスタイリストを手掛けた清野恵理子さんの着物選びには、上質で美しい布地から、力強く華のある文様、洗練された配色にいたるまで、清野さんならではの美意識が貫かれています。写真を見ているだけでも、ワクワクするほど素敵な清野さんの着物の「取り合わせ」。

まずは基本となる着物と帯を選び、そこに帯揚げを添え、最後に帯締めで仕上げる。そんな4つのアイテムにクローズアップしながら、夏着物ならではのおしゃれの極意に触れます。

清野恵里子さん
文筆家
(せいの・えりこ)雑誌を中心に、企画、構成、執筆活動を行い、幅広いジャンルで、美意識を貫く独自の視点が大人の女性に支持されている。著書に『樋口可南子のきものまわり』『きもの熱』(集英社刊)ほか、最新刊『時のあわいに』(文化出版局刊)はベストセラーに。

「美しい絣が並ぶ越後上布、芭蕉布に染めた藍型の帯で極上の夏をまとう」───清野恵里子さん

ため息がもれるほど美しい伝統の布で涼を楽しむ夏きものの至福

越後上布の着尺・芭蕉布の布に染めた藍型の帯(玉那覇有公作)
越後上布の着尺・芭蕉布の布に染めた藍型の帯(玉那覇有公作)/共に価格問い合わせ(太田和)

「着物好き垂涎の的といわれる、越後上布。とりわけこの藍地に並ぶ細かな絣の魅力に圧倒されます」と清野さん。合わせた帯は、着物地と見まがうほど細い糸で織られた芭蕉布の地に、デイゴの花を藍の濃淡で型染したもの。清野さんの審美眼が選び抜いた、贅沢な夏のきものならではの取り合わせの妙味を。

黄色みと赤紫の調和。秋の文様が夏着物に優しい表情を添えて

スタイリスト清野恵美子さんによる着物、帯、帯揚げ、帯締めの取り合わせ
夏紅花の着物・白萩にすすき、月の文様のすくい織の袋帯/共に価格問い合わせ(丹後きものゑん)、赤味の灰白色(かいはいしょく)無地絽縮緬の帯揚げ¥5,500(三浦清商店)、栗梅(くりうめ)無地高麗組帯締め¥37,400(道明)

くすんだ黄色とグレーの細かな二重格子の着物。帯には着物の色目と相性のいい、すくい織の帯の暗い赤紫の地色を。

「帯前に織り出された秋草の文様が優しく、一枝に慎ましく咲く白萩、その純白が鮮烈な印象を与えます」と清野さん。

数十年を経た美しい組紐の帯締めが鍵。優しい赤みを繊細に重ねて

スタイリスト清野恵美子さんによる着物、帯、帯揚げ、帯締めの取り合わせ
経縞の絹紗着尺¥330,000・正倉院文様の経絽八寸帯地¥71,500(丹後きものゑん)、帯揚げ¥5,500(三浦清商店)帯締め/価格問い合わせ(道明)

絹紗の縞の着尺の中にある赤みのベージュを受け、絽縮緬の帯揚げを淡い枇び杷わ色に染めて。

「帯締めは数十年前の作品と思われる一枚高麗組。帯や着物、帯揚げの色も皆、美しく組まれた紐に使われたさまざまな色の中に見えて、調和しています」と清野さん。

清々しい着物の中のかすかな黄みになじませながら、効かせる夏の洗練配色

スタイリスト清野恵美子さんによる着物、帯、帯揚げ、帯締めの取り合わせ
縞の宮古上布の着尺/価格問い合わせ(太田和)、黄色地 芭蕉布八寸帯/価格問い合わせ(シルクラブ〈芭蕉布織物工房〉)、練色無地絽縮緬の帯揚げ¥5,500(三浦清商店)、無地高麗組の帯締め¥37,400(道明)

雪国の越後上布と双璧をなす、琉球の宮古上布。清野さんが選ぶのは「かすかに黄みを感じさせる縞のひと色に合わせた、黄地の芭蕉布の八寸帯。帯締めに鶸萌葱(ひわもえぎ)を差し色に加えることで、個性的な趣に」。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

PHOTO :
浅井佳代子
STYLIST :
清野恵里子
EDIT&WRITING :
藤田由美、古里典子(Precious)