上司の立場として、男性の部下のモチベーションが低く、なんとか上げたいと思うものの、どんな言葉をかければいいのか分からない、ということはありませんか?

ダイバーシティーが推進されるなか、今後はますます自分とは異なるタイプを理解する、つまり多様性を理解して仕事をしていく必要があります。そのひとつとして、男女の考え方の違いを理解することも大切ではないでしょうか。

そこで今回は、男女の脳の違いからモチベーションをコントロールする方法をご紹介します。

男女脳の違いからくるモチベーションの違い

男女脳の違いからくるモチベーションの違い

今回お話を伺ったのは、かつて神戸市内のホテル支配人や上場企業の社外取締役を務めたことのある永末春美さん。現在は、メンタルケア学術学会認定メンタルケアカウンセラーとして活躍されています。当然のことながら、かつては男性の部下もたくさん抱えていたそう。そうした経験と共に、研修でもお話されているという男女の脳の違いからくるモチベーションの違いを教えていただきました。

「男女の脳の構造はいくつかの違いがあるといわれますが、代表的なのは右脳と左脳をつなぐ『脳梁』の形と大きさの違いといわれます。

脳梁の太さは、男性より女性は20%太く、右脳と左脳が頻繁に連携するため、脳全体で物事を考える傾向があります。一方、男性は左脳を中心に物事を考える傾向があるといわれます。そのため、男性は理論的であり、女性は感情的になりやすいといわれるのです。もちろん、これはあくまで脳の構造的な違いであるため、個人差はあります。

また、女性は生理があるため、脳に周期性があり、妊娠、子育てをするための察する力や、過去を一瞬にして思い出す能力が発達しているともいわれます。脳の構造だけでなく、そうした特性の違いが、キャリア形成やモチベーションの違いになることがあります」

男性部下のモチベーションを上げる5つの方法

男性部下のモチベーションを上げる5つの方法

普段、男性部下と関わる中で、「どう声かけをすればいいかわからない」と思うシーンはありませんか? また、男性部下のモチベーションが低いと感じることもあるかもしれません。

そこで永末さんに、男女の考え方の違いを踏まえて、上司の立場の女性が、男性部下のモチベーションを上げるための言葉かけのポイントや対策を教えていただきました。

■1:「結論から言う・数字など明確な根拠を示す」など理論的な話し方をする

「女性は『共感力』、男性は『理解力』といわれますが、男性はとりとめのない話が苦手な傾向があるため、男性部下には『結論から言う、数字など明確な根拠を示す』ことが大切です」

■2:「相談型」で指示をする

「私がホテル支配人、上場企業の社外取締役を務めた際に気を付けていたのは『相談型』で話をするということです。なぜなら、男性は女性に上から指示されるのに抵抗があると考えられるためです。『~してください』ではなく『~したらどうでしょう?』などと相談するようなニュアンスで働きかけるとうまくいきました」

■3:部下の傾向に応じて対応する

「また、私が個人面談や研修活動で感じた傾向として、40代以上の男性社員と20~30代の男性社員では、またその傾向もモチベーションにも大きな違いが出てきたように思います。こうした傾向を読み取り、それに応じて対応することも大切です」

●40代以上の男性社員傾向

・組織やルールを尊重する

・長期の目標設定ができる

・会社の成長発展への貢献についての評価を求める

●20~30代の男性社員の傾向

・組織やルールより自分もしくは相手の気持ちを尊重する

・長期よりは短期の目標で素早く評価を得たい

■4:成果志向の強い男性部下には「頑張り」を褒める・認める

「成果志向の強い男性部下には、成果が上がったときはもちろん、上がらなかった際にも、そのプロセスで最も努力していた点については『褒める』『認める』ことで、今後のモチベーションになります。“才能”ではなく、“頑張り”を『褒める』『認める』ことで次のチャレンジへつながります」

■5:部下の成果や強みを明確に言葉にして伝える

「モチベーションは、その達成動機によっても人それぞれ異なります。自分から『やりたい』と思う『内発的動機づけ』を刺激するためにも、“察する力が高い”女性上司ならではの観察力で、成果はもちろん個々の強みを明確に言葉にして伝えることが部下に自信となり、モチベーションアップにつながるでしょう。男女関係なく、人のモチベーションが下がるのは『報われていない感』。積極的に部下に声がけすることにより軽減されるといわれます」

女性自身が仕事のモチベーションを高める4つのポイント

女性自身が仕事のモチベーションを高めるポイント

次に、働くひとりの女性として、自分のモチベーションを高めるポイントを永末さんに教えていただきました。

■1:自分でコントロールする

「自分のモチベーションは自分でコントロールすること。誰か、もしくは何かが自分のモチベーションを高めてくれると思わないことが大切です」

■2:口角を上げて笑顔をつくる

「セルフモチベーションをコントロールするためには笑顔から。口角を上げることで脳が反応します。笑顔の人には笑顔の人が、幸せな人には幸せが、ミラー効果が『幸せの連鎖』を生み出します」

■3:人生の残り時間を計算してみる

「人生は後、どれくらい時間があるのか計算してみてください。限りある時間をどう過ごすかは自分次第です。悩んだら、それは学べる機会。健やかに、朗らかに歳を重ねるために今を大切に過ごしたいですね」

■4:心から感謝する

「感謝できる人は幸せになれることが科学的にも実証されています。誰かに、何かに『ありがとう』と心の底から思えるとき、自分が変わり、未来が変わり、過去さえも変えられます。

思考が言葉に、言葉が行動に、行動が習慣に、習慣が運命になります」

男性部下へのモチベーション対策はもちろん、自分のモチベーションまで、それぞれの考え方の差を理解した上で、女性ならではの細かな配慮で取り組みたいですね。

永末春美さん
メンタルケア学術学会認定メンタルケアカウンセラー 
(ながすえ はるみ)兵庫県生まれ。1998年に神戸市内のホテル支配人に就任。2005年より講演活動も展開。2007年神戸北野ホテル支配人に就任。ホテル支配人の仕事に加え、ホテルコンサルティング業務を兼務。2010年、株式会社神鋼環境ソリューション社外取締役就任。同年8月に永末春美事務所を設立。「CS・ホスピタリティ」をキーワードとした人材育成・教育、コーポレートブランディング、商品開発など、クライアントにあった業務を請け負う。現在では、サービス業以外の様々な業種業界より「ホスピタリティ(おもてなし)」「ブランディング」「モチベーション」「リーダーシップ」など、年間契約も含め多くの講演・セミナーを請け負う。主な著書に『ホテルの仕事で学んだ 感性を成果に繋げる法則』『組織再生はモチベーションから』『小さなホテルの支配人が書いた 情熱と感動の仕事術』『ヒューマンサービスの基礎知識』(カナリア書房)。
CS・ホスピタリティラボ 永末春美事務所
この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利