雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は「Think Playgrounds!」CEO チュ・キム・ドゥックさんの活動をご紹介します。

チュ・キム・ドゥックさん
「Think Playgrounds!」CEO
ハノイ出身。ハノイ建築大学で都市計画を専攻。フランス・ヴェルサイユ建築国立学校でランドスケープガーデンデザインを学ぶ。2014年に共同で「Think Playgrounds!」を設立。オフィスに6名、工房に7名のスタッフをもつ。

都市部の子供たちにもっと遊びを!ベトナム初の遊び場事業を展開

ベトナム・ハノイで、子供のための遊び場づくりを提案している建築家のチュさん。古くからの友人で現在はライフパートナーであるグエンさんと共に、「Think Playgrounds!」を立ち上げたのは’14年のことだった。

「ハノイなどの都市部は人口密度も高く、もともと子供の遊び場が少ないのです。また、最近は急激に学歴重視の社会になってきていて、子供の遊びが軽視されている傾向もあります。空間としての遊び場をつくることと同時に、大人向けのセミナーやワークショップを開催して、遊びの重要性を伝えていくようにしています」

事業を展開するにあたり、東京で同様の活動を行っている団体を視察。廃材を使って遊び場をつくったり、子供たちが焚き火で料理をつくったりする様子に感銘を受けた。

その後、ハノイ郊外のエコをテーマにした都市計画エリア「エコパーク」に「冒険遊び場」(※)をつくることに。ベトナムでは初めての試みだったため、親たちは心配そうにしていたが、子供たちはとても楽しんでいるという。

「都会に住んでいる子供たちのなかには、木に登ったり、川で泳いだりしたことがない子も少なくありません。『冒険遊び場』のおもちゃは木を利用しているのですが、子供たちには『自然に触れているような感じがする』と好評です。また、廃材などをリサイクルしたもので遊ぶことで、子供たちにもアイディアやクリエイティビティが培われると思っています」

最近は、ホーチミン廟近くで地域の人たちが参加する共同ガーデン事業も展開。異なる世代が交流しながら自然を学ぶ場として人気を集める。遊びは、子供にも大人にも必要なアクションなのだ。

【SDGsの現場から】

●自然を感じることのできる遊び場づくり

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’19年6月にオープンした「冒険遊び場」。廃材を使った遊具や、焚き火体験も行っている。

 

●建築家としてデザイン案を考えるのも仕事

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過去のプロジェクトのデザイン案。オフィススタッフと共にアイディアを出し合う。

※冒険遊び場とは…1943年に「廃材遊び場」としてデンマークで生まれ、その後ヨーロッパへと広がっていった。日本では1973年から活動が行われている。

PHOTO :
Megumi Katsu
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
Kaori Soma
通訳 :
Hoang The Huynh