広告やCMでも、目にしたり聞いたりすることがある「ソリューション」。ビジネスの現場や顧客対応などでよく使われています。「問題点を見つけて最適なソリューションをご提案します」などと用いますが、あなたは自信をもって「ソリューション」を使いこなせているでしょうか? 今回は、近年頻繁に登場するようになった「ソリューション」について、わかりやすく解説します。

【目次】

「ソリューションカンパニー」って聞いたことありますか?
「ソリューションカンパニー」って聞いたことありますか?

【「ソリューション」の「基礎知識」】

■「ソリューション」をひと言で表すなら「解決」です

まずは単語としての意味を見てみましょう。英語の「ソリューション[solution]」とは、「解決法」や「解釈」、「溶液」を表す名詞です。「the solution for the problem」で「問題の解決法」となります。ラテン語で「解決」を意味する[solut]からきています。

■ビジネスシーンで使われるときの意味

私たちがビジネスシーンで使うときは、業務上の問題点や課題を解決するための「手段」や、そのために導入される「情報システム全般」を指します。「ビジネスソリューション」といえば、業務上の問題点や課題を解決するための方法や手段のことですね。IT業界で多用されるカタカナ語のひとつです。

■「カタカナ語」での意味と「英語」本来の意味

日本のビジネスシーンでは上記のような意味で浸透していますが、英語本来としては業界によってさまざまな意味も。化学や医学の専門用語としての「溶液」や「液剤」、法律の世界では「借金などの決済や免責」「責任などの解除」といった意味でも使われています。


一般的なビジネスユースがわかる「使用例」

一般的にビジネスの現場では「課題・問題を解決する方法」という意味で使われる「ソリューション」。課題や問題自体を見つけ出して解決に導く「ソリューション営業」は、コンサルティングに近い役割ともいえます。

■会社内での使用例

「他社との差別化を図るためには、独自のソリューションをいかに訴求していくかが重要だ」

「クライアントが気づいていない問題点は、ソリューションの提案と共に指摘すべきだ」

■顧客への使用例

「お困りのことにつきましては、当社が最適なソリューションをご提供いたします」

「創業以来の経験と実績、従業員ひとりひとりの能力を結集し、お客様に安心していただけるソリューションを見つけ出します

■IT業界では

IT(情報技術) を利用して、システム構築やビジネスモデルなどを提供するサービスを「ソリューション」と呼びます。課題解決のためのソフトウエアを組み合わせたシステム自体を「〇〇ソリューション」とネーミングして販売したり、より狭義に「情報システム(コンピューターシステム、ITシステム)」を指したりも。

■商品名や会社名にも!

・SHISEIDO フューチャーソリューション LX(資生堂インターナショナルの基礎化粧品ブランド)

・日立ソリューションズ(日立グループの情報通信分野の中核を担う企業)


【「ソリューション」の「類語」と「注意点」】

■解決策 ■解消法 ■解決手段 ■解明 ■回答 ■解答 

「ソリューション」は知らなくても「解決策」や「解消法」などの日本語ならわかりますよね。外国語からきているカタカナビジネス用語は、社会人生活が長い人ほど困惑する度合いが高くなります。「ソリューション」を当たり前に使う世代同士ならともかく、上司などの年長者には「解決策」などの日本語も挟みつつ会話する優しさももちたいものです。


【知っておきたい「ソリューション」の「関連用語」】

最後に関連用語を紹介しましょう。会話で聞くことは少なくても、文書で目にしてチンプンカンプン…という場合に役立ちます。

■「ソリューション事業(ビジネス)」とは

IT(情報技術) を利用して、企業内のシステム構築やビジネスモデルなどを提供するサービス。顧客の業務上の要求や課題を分析・把握し、それを解決するための取り組みを支援する業務。

■「ソリューション企業(カンパニー)」とは

顧客が抱えている問題に対して解決策を提案する企業。 問題の現状把握から解決策の提示までと、コンサルティングのような役割を果たします。

■「システムソリューション」とは

 業務上の問題点や課題を解決するための手段と、そのために導入される情報システム全般のこと。

■「ソリューションプロバイダー」とは

コンピューターシステムの構築などの、ソリューション業務を請け負う業者。「ソリューションベンダー」ともいいます。

■「提案型ソリューション」とは

顧客に課題を提示し、解決方法を提案すること。近年注目度の高いビジネスのひとつ。

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「ソリューション」というカタカナビジネス用語は、1987年にIBMが経営計画のなかの顧客サービスにおいて使用したのが最初という説があります。しかし、実感としてはこの20年、いや10年くらいで頻繁に使われるようになった比較的新しい用語ではないでしょうか。時代の速度についていけない…と嘆いても何も解決しません。現代社会を生き抜くためのひとつの「ソリューション」として、この「今さら聞けないカタカナ語」連載を活用してください。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫)/『ビジネス用語図鑑』(WAVE出版)/『情報・知識imdas』(集英社)/『いまさら聞けない ビジネス用語BOOK』(成美堂出版) :