晩夏の季語「晒井」ってなんと読む?「くちにしい」ではありません!

本日はまず「二十四節気」についておさらいします。

日本古来の暦「二十四節気」、本シリーズでもたびたび触れてまいりました。春夏秋冬の四季の区分を、季節ごとに6つの「節気」に分類したもので、その分類の基準となるのが天文学です。

わかりやすいところでは、「国民の祝日」の中でも、年によって微妙に日付が変化する「春分の日」に関連する二十四節気「春分」です。「春分」は太陽が「春分点」と呼ばれる位置を通過する日から始まり、昼と夜の長さがほぼ同じくらいになる日、という事になります。

こうした天文の動きとの関連で、夏では「夏至」が「その1年で昼が最も長い日」、

秋の「秋分」は、「昼と夜の長坂ほど同じくらいになる日」、

冬は「冬至」が「その1年で夜が最も長い日」になるのです。

現在は、夏の最後の節気となる「大暑」。季節は「晩夏(ばんか)」、夏の終わりのころ…ということになります。

本日は、晩夏季語から、日本語クイズをお送りします。

【問題1】「晒井」ってなんと読む?

晩夏の季語「晒井」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:1年に1度、井戸の水をくみ干し、掃除することを指します。

<使用例>

「天気のいい日が続きそうだから、そろそろ晒井をしましょうか。」

読み仮名4文字です。
読み仮名4文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 晒井(さらしい)です。

井戸も、からっぽにして日にさらすことがあるのですね。
井戸も、からっぽにして日にさらすことがあるのですね。

「晒す(さらす)」という言葉、現代は、ネットなどで「あばいて人目にさらす」というような意味で使用されていますが、「晒す(さらす)」は、もとは「日光や風雨にあてる」「薬品や日光にあてて白くする」という意味の言葉です。

晩夏の季語「晒井(さらしい)」は、文字通り「井戸を晒す」ことで、1年に1度、晩夏に行うならわしの、井戸のお掃除を意味します。

現代では、井戸そのものが珍しいので、なんとなく「井戸にはいつも水が溜まっている」というイメージがございますが、年に1度は抜本的に水を変えるものなのですね。

こうして日本古来の言葉を紐解くと、れんめんと続いてきた日本的な生活を知ることができ、興味深いですね。

さて、2問目にまいりましょう。

【問題2】「御来迎」ってなんと読む?

夏の季語「御来迎」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:「山頂で見る日の出、または日の出を迎えること。」などの意味をもつ言葉です。

<使用例>

「富士山とまではいかなくても、1度は御来迎を見てみたいわ。」

読み仮名5文字です。
読み仮名5文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 御来迎(ごらいごう/ごらいこう) です。

みなさま「御来光(ごらいこう)」という言葉はご存じですよね。

山頂で見る日の出、というと「光」の字の入った「御来光(ごらいこう)」という言葉がお馴染みかと思いますが、

これを「御来迎(ごらいごう/ごらいこう)」と同義語、としている辞書もございます。

正確には「御来迎(ごらいごう/ごらいこう)」は、もともと、阿弥陀如来の後光を指す言葉で、山頂で日の出や日没前に太陽を背にすると、前方の霧にうつる自分の影が虹色の光の輪に包まれ、神秘的に見える現象(ブロッケン現象)を、阿弥陀如来の後光になぞらえた言い回しです。

対して「御来光」は、「日の出の光を見る」ことを表現した表記ですが、「御来迎」「御来光」ともに、晩夏の季語となっています。

なんとなく、お正月のイメージがある言葉かもしれませんが、交通網の少なかった昔は、必要にかられて登山するときなど、寒さ厳しい冬よりも、山頂の涼しさが体にこたえにくい夏を選んだのかもしれませんね。

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本日は、晩夏の季語から、

・晒井(さらしい)

・御来迎(ごらいごう/ごらいこう)

という言葉の読み方や意味をおさらいいたしました。

この記事の執筆者
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Precious.jp編集部 
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参考資料:『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/国立天文台ウェブサイト/『きごさい歳時記』(NPO法人季語と歳時記の会)/『俳句季語よみかた辞典』(日外アソシエーツ株式会社)
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ILLUSTRATION :
小出 真朱