新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年2月。スーパーやドラッグストアの店頭から、トイレットペーパーが消えるという現象が起きたのを覚えていますか? 原因は、SNSで拡散された「トイレットペーパーが不足する」という流言をワイドショーが取り上げ、扇動された人々が店に殺到したことにありました。「情報リテラシー」の大切さは、こんなところにも表れています! 「リテラシー」の意味を正しく理解して、誤った情報に踊らされない判断力を磨きましょう。
【目次】
【まずは「リテラシー」の「基礎知識」から】
■「リテラシー」は「知識」「能力」「教養」です!
「リテラシー」は、もともと「読み書き能力」を指していた言葉。現在ではそこから派生して、なんらかの分野に関する「知識」や「能力」、「教養」のことも「リテラシー」と呼ぶようになりました。由来となったのは英語の[literacy]です。
■ビジネスでは、情報を正しく読み取り、「使いこなす能力」が高評価!
ビジネスシーンにおいては、「リテラシー」はなんらかの分野で修得すべき知識・情報を正しく読み解き、活用する能力を指します。「○○のリテラシーが高い」と表現することもありますが、関連する言葉をつなげて「○○リテラシーを理解している」などと表現することが多いようです。知識や情報を「選んで、理解し、使いこなす」ことが大切なんですね!
【知っておきたい「リテラシー」の「関連用語」】
「情報リテラシー」が広く知られていますが、現在ではさまざまなリテラシーに関連する用語が生まれています。
■情報リテラシー
情報を読み解き、正しく活用する能力のこと。
■メディアリテラシー
インターネットやテレビなど、メディアに溢れる情報の中から、自分に必要な正しい情報を見つけて、活用する能力を意味します。情報リテラシーとほぼ同義で使われます。
■グローバルリテラシー
国際社会において互いの異文化を理解すること。国際対話能力とも訳されます。
■コンピューターリテラシー
コンピューター活用能力。タイピングスキルを含め、そのほかの知識や技術を目的達成のために活用できる能力のこと。
■経営リテラシー
経営に関する情報を正しく理解し、それを活用する能力。
■ヘルスリテラシー
健康情報やサービスに関して基本的な知識をもち、それを自分や他者のための有効に利用する能力のこと。
【別の言葉にすると?「言い換え」「類語」表現】
■読み書き能力 ■活用能力 ■知識 ■教養
NG■スキル
「リテラシー」と「スキル」は混同されることもありますが、例えば、パソコンを使って文字を打つのは「タイピングのスキル」であって、「コンピューターリテラシー」ではありません。スキルはリテラシーの一部です。
【ビジネスでの一般的な「使い方」がわかる「例文」5選】
■「読み書き能力」の意味で
・「日本はもともとリテラシーの高い国だ。ただし、活字が読めても読書をしない人が増えている」
■「活用能力」の意味で
・「彼女はメディアリテラシーが高いから、フェイクニュースには騙されない」
・「この会社はネットリテラシーが低すぎる」
・「これからはデジタルリテラシーが必要な時代だ」
・「Precious.jpの連載は、カタカナ語リテラシーの向上に役に立つ」
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ビジネスにおいて、新しい情報を幅広く取り入れるのは大切なことですが、玉石混交のSNSから正しい情報を取捨選択できる能力が、「情報リテラシー」です。つまり、「トイレットペーパーを買いにドラッグストアに走らない」ことも情報リテラシーの高さ故。メディアの信用度を判断することも含め、正しいを使いこなす能力を磨きたいものですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館)/『「知ったかぶり」を解消する! ビジネス用語図鑑(WAVE出版)/『これ1冊であとはいらない! 大人の語彙力大全』(中経の文庫)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP)/『カタカナ語 すぐ役に立つ辞典』(河出書房新社)/『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』(宝島社)/『わかりやすく伝える 外来語 言い換え手引き』(ぎょうせい) :