「お客様をアテンドする」「現地調査にアテンド願います」など、ビジネスシーンでもよく使われる「アテンド」という単語、あなたも使ったことはありませんか? 実はこの「アテンド」は、想像以上に重宝するカタカナビジネス用語なのです。今回はそんな「アテンド」の使い方について説明します。

【目次】

「アテンドしていただくのを楽しみにしています」はOK?
「アテンドしていただくのを楽しみにしています」はOK?

【わかっているつもりの「アテンド」の「基礎知識」をおさらい】 

仕事の現場に限らず、さまざまな場面で見聞きする「アテンド」ですが、いま一度しっかり言葉としての意味や使い方を把握しておきましょう。

■英単語としての「アテンド」

「アテンド[attend]」という動詞は、下記のようにさまざまな意味があります。

・(会合などに)出席する ・(葬儀などに)参列する ・(学校などに)通う 

・世話をする ・奉仕する ・(怪我などの)手当てをする ・看護する ・看病する 

・注意する ・応じる ・処理する

■カタカナ語としての「アテンド」

次に、私たちがビジネスシーンで使う「カタカナ語としてのアテンド」の意味を見てみましょう。

・立ち合う ・接待する ・同行する ・案内する ・介助する

いずれも英単語の意味をビジネスシーンにふさわしいように置き換えたものです。このように多くのシーンで使えるカタカナ語は、便利な反面、相手に違った意味で受け取られる危険性もはらんでいます。そんなミスを防ぐためにも、使い方を正しく知っておくべき。次に正しい使用例をご紹介します。


【さまざまなシーンで使える「アテンド」の「例文」5選と「言い換え」】

■1:「来週のA社○○部長のアテンド(接待)はキミに頼んだよ」

■2:「新規クライアントへのプレゼンには、私もアテンド(同行)します」

■3:「お客様がいらっしゃるので、部長もアテンド(立ち合い)願えますか?」

■4:「ようこそお越しくださいました、アテンド(案内)させていただきます○○です」

■5:「あちらのお客様はアテンド(介助)が必要なので、十分な配慮をお願いします」

オフィス内でのやり取りや取引先との挨拶から、旅行業や飲食業などのサービス業、医療・介護の現場まで、幅広い業界・分野で使える「アテンド」というワード。自身の環境や、想定できる状況にあてはめて例文をつくってみると、その便利さが実感できるでしょう。

ただし、相手によっては( )内の単語に置き換えたほうが伝わりやすいことも。カタカナ語と日本語の単語やフレーズを、臨機応変に使いこなしたいものです。


【「アテンド」の「類似語」、似てる? 違う?】

日本語への置き換えを見てみると、「アテンド」に近いカタカナ語もいくつかあることがわかります。「アテンド」に置き換えても意味は同じなのか、微妙にニュアンスが違うのか、検証してみます。

■アサイン

ビジネスシーンでのカタカナ語としては、「役職や役割に任命する」「業務を割り当てる」「作業に参加する」という意味で使用されます。

「来週のA社○○部長のアテンド(接待)はキミに頼んだよ」を「アサイン」を使用して言い換えるなら、「来週のA社○○部長の接待はキミにアサインするよ」としたほうが自然です。

■エスコート

「付き添い」「案内」「世話」といった意味では「アテンド」に近いものがありますね。


【覚えておきたい「アテンド」の「関連用語」】

■アテンドサービス

ブライダル業界で、花嫁の身の回りの世話をするサービスのこと。

■アテンドスタッフ

「介添え人」を指します。ブライダル、ホテル、ショールームなど、お客様を迎えて案内する分野では、高い知識ともてなしの心をもつアテンドスタッフが求められます。

■ケアアテンドサービス

介助が必要な高齢者などにサービスを提供すること。結婚式に参列する高齢者に、終始付き添って介助するサービスを提供する専門の会社などもあります。

■フルアテンド

すべての工程をアテンドすること。「フルアテンドによる焼肉店」では、自分で肉を焼く必要はありません。


【「アテンド」使用上の「注意点」】

「アテンド」というワードは、自分に向けて使うと相手に失礼にあたります。

✕ 「来週の上京の際には、アテンドしていただくのを楽しみにしています」

○ 「来週の上京の際には、ご案内いただくのを楽しみにしています」

「アテンド=接待」の意味で使われることもあるため、本人は「案内」という意味で「アテンド」を使ったとしても、相手は「接待を期待しているのかな」と感じるかもしれませんね。

 

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これから迎える超高齢社会では、「アテンド」したりされたりということが頻繁に起こるはず。「アテンド」というカタカナ語を使う機会も増えそうですね。しっかり身につけておきましょう。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『情報・知識imdas』(集英社)/『現代ビジネス用語事典』(日本文芸社)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫)/『あの新語もわかる カタカナ語 すぐに役立つ辞典』(河出書房新社)/『知っているようで知らない ビジネス用語辞典』(水王舎) :