雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は「キッズコードクラブ」代表理事 石川麻衣子さんの活動をご紹介します。
無料のプログラミング学習を提供どんな家庭の子供も学べる社会へ
小中学生を対象にプログラミング学習の機会を無料で提供している「キッズコードクラブ」。コロナ禍での休校時期には、子供たちの学ぶ機会や居場所を守るべく、オンライン上で集まる「放課後プログラミングクラブ」(※)を立ち上げ、現在までに延べ3700人を超える子と親が参加している。
「バーチャル空間を会場にして、ゲームやアニメなどの作品づくりに挑戦しています。元気な子、シャイな子、不登校や病気の子など、さまざまな子供がいます。最初はカメラもマイクもオフで、すみっこにいた子が、回数を重ねるうちに少しずつ人の輪に近づいてきて、ある日、マイクをオンにして話しだしたこともありました。オンラインでも、人と人がコミュニケーションをとり続けることは、すごく力があるんです」
活動のきっかけは、石川さん自身が「家庭の貧困によって大学を中退した」という原体験にある。
「その後は、ひとり暮らしで日雇いのアルバイトを続ける日々。月給の仕事に就きたくても、数日先のお金にも困る状態で、どん底でした。どうにか生活を立て直すことができたのは、友人からもらった古いパソコンでウェブ制作を独学で懸命に習得したからです。ウェブ制作会社を立ち上げたのは、’08年、28歳のときでした」
プログラミング学習はあくまでも手段だと語る。身につけてほしいのは、生きる力なのだ、と。
「子供たちが、お金がなくても学べる『仕組み』をつくりたい。大人が子供に教えるだけでなく、子供同士で教え合う制度を導入しているのも、そのためです。私たち大人は、子供を信じて、任せていけばいい。子供の力で、社会を変えていきたいと思っています」
【SDGsの現場から】
●世界中から参加できるイベントを無料で開催中
●放課後プログラミングクラブの開催はバーチャル空間で
※放課後プログラミングクラブとは…毎週火・金曜日17~18時にオンライン上で開催。どこからでも参加でき、途中入退室もOK。バーチャル会場内で他の参加者との交流も。
- PHOTO :
- 石川浩太郎
- WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)
- EDIT :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- 佐々木恵美