百貨店などでショールーミングストアが続々登場!ショッピングの未来が変わる!?

「売らない店」をキャッチコピーとした「ショールーミングストア」が、プレシャス世代になじみ深い百貨店などで登場しています。その魅力とこれからについて目を向けてみました。

お話をうかがったのは・・・

五十君 花実さん
『WWDJAPAN』副編集長
(いそぎみ・はなみ)同紙で、百貨店、女性アパレルなどを担当。「百貨店のショールーミングストアは、さすがに接客がすごく上手」と称賛。

未知なる良いものとの出合いが楽しみ

店内で商品を見て、試して、話を聞くものの、レジはなく、ものを買う必要はない。欲しいものは、別途オンラインで購入──そんなショールーミングストアが少しずつ増え、百貨店にも登場し始めています。百貨店の動向に詳しい『WWDJAPAN』の副編集長・五十君さんは、

「デパートでは、今後の成長が楽しみな小規模ブランドをショールーミング型売り場で展開していることが多いですね。これらを定期的に中身の入れ替えをしながら紹介していくのは、客には楽しく、百貨店にとってはブランドの発掘につながるはず。これからもショールーミング型は増えるのではないでしょうか」と分析。

実際、「大丸東京店」の『明日見世(あすみせ)』も、「新宿髙島屋」の『ミーツストア』も、扱うインテリア雑貨、コスメ、食品などの商品は、すべて小売店を通さず直接商品を売るD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)ブランドから選ばれたもの。知る人ぞ知るアイテムは、宝探し感覚で魅力的。しかも、店に滞在したら買わなくてはならないというプレッシャーや、商品を持ち帰る手間がないことが、メリットとして歓迎されています。

「大丸東京店」の『明日見世(あすみせ)』は鮮度の高いラインナップが醍醐味

 

3か月という短いタームでキュレーションテーマからブランド、レイアウトまで刷新し、何度も訪れたくなるように工夫。ショップスタッフは、ブランドのアンバサダーとして商品の魅力を伝えられるよう、ストーリーテリングに注力も。店内のコミュニケーションスペースでイベントも積極的に行い、つくり手との出合いの楽しさも提案している。

問い合わせ先

  • 明日見世
  • 住所/東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店4階
  • TEL:03-6895-8960

「新宿高島屋」に今春オープンした『ミーツストア』

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2階JR口に近い、気軽に訪れやすいスペースで、60に及ぶブランドの商品を紹介。ジャンルの違う5人のキュレーターを据え、各人がセレクトしたブランドストーリーのある商品を展開しているのが魅力。

ギフトに適したものが多く、専用のオンラインサイトではギフト発送や複数商品の同送などの機能も。ソーシャルギフトの仕組みも用意。

問い合わせ先

  • ミーツストア

アメリカでは「Amazon」も参入

「米国の話になりますが、今春、『Amazon』がファッションのショールーミングストアをオープンしました。そちらでは、店内で試着したい服のQRコードをアプリで読み込むと、数分後に『あなたの希望のものは◯番試着室に用意できました』といった通知がくるそう。実験段階だと思いますが、これからより発展していくと思います。

また、電化製品を中心に既に展開しているショールーミングストア『ベータ』の最新店では、店内で調理家電を試せるなど工夫が凝らされています。これから店を出すショールーミングストアは、どこも研究を進め、個性を追求してくるはず。どんどんおもしろくなりそう」

一方、ショールーミングと対をなす、「ウェブルーミング」の進化と拡大も目覚ましい。こちらはウェブでものを探し、見定めてから店頭で買うという購買方法。

「多くのブランドが、ECサイトが客との最初の接点になるとして、販売員スナップや読み物など、中身を充実させているので、ますます広がっていくでしょう」。

また、ラグジュアリーブランドでも、定番商品を購入する際、オンラインのチャットで商品を絞ってから店頭に足を運ぶ人が増えているそう。

「どちらの店やブランドも、ものを売るだけでなく、客が楽しめることを多くつくるようになっているのが今の流れ。これまでとは違った買い物体験をしたり、ブランドとの密な接点をもてたりして、より関係が豊かになっていくのではないでしょうか」

ショールーミングストアの先駆け「サードマガジン」も好調

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大人の女性に向けた感度の高いワードローブを展開するショールーミング型セレクトショップ。店内では大きなソファでリラックスしながら全アイテムの試着が可能。

買うプレッシャーがないことに加え、自宅に帰ってから手持ちとの相性を検討し、落ち着いて購入できる点などが支持されている。来店しセレクトしたアイテムの購入は送料無料というサービスも。

問い合わせ先

  • THIRD MAGAZINE 
  • 住所/東京都渋谷区鉢山町13-16 THIRD MAGAZINE 代官山
  • TEL:03-5784-2588
EDIT&WRITING :
長瀬裕起子、池永裕子(Precious)
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