そのうっかり発言、今の時代は要注意です!限りなくグレーだけど、でも…「もしかしたらハラスメント?」実例集

今、リーダー職に就いている人々が悶々と悩んでいるのが、あからさまなハラスメントはNGと理解したうえでの「グレーゾーン」のやりとりについて。

どんなシーンにおける、どんな発言が、どう問題になる可能性があるのでしょうか。ハラスメント対策に詳しい新村響子弁護士に監修をお願いし、注意点から理解すべきことまで解説していただきます。

監修してくださったのは…

新村 響子さん
旬報法律事務所弁護士
日本労働弁護団常任理事。東京都労働相談情報センター民間労働相談員、東京都ウィメンズプラザ法律相談員。著書に『ブラック企業 セクハラ パワハラ対策』(旬報社、共著)、『トラブル回避のために知っておきたい ハラスメント言いかえ事典』(朝日新聞出版、共著)。

これってNG?実例集:長く勤める年上の社員に対して「もうキャリア長いから、大丈夫ですよね?」

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「実務年数が自分より長い社員に対して、『できて当たり前』という態度で接してしまう例ですね。これまで懸命にキャリアを積み上げてきた人ほど、周囲への要求も高く、『ここまで理解しているだろう』『このレベルまでできて当然だろう』という感覚に陥りやすいのかもしれません。

ただ、このような言い回しは、相手から反感を買ってしまう可能性があることを理解しておくことが大切です。例えば『○○さんの経験を頼りにしています』などと言い換えてみてはいかがでしょうか。また、もし実績ある社員がミスをした場合は『○○さんらしくないですね』という、配慮の言葉を添えてみても。

一人ひとりとオーダーメイドな関係性を築く。そんなマネジメントが、ハラスメントを回避することにつながると思います」

これってNG?実例集:ミスを連発する社員を個室に呼んで、30分のつもりが2時間ヒアリング「どうして失敗ばかりするの?経緯を聞かせてくれる?」

 

「注意指導をする際は、人前ではなく、1対1で、が鉄則。なので、個室で行うことは正しいアプローチです。ただ、2時間は少し長すぎると考えられます。『長時間にわたり責め立てた』ことでパワーハラスメントが認められた裁判事例は、女性管理職が加害側であることが少なくありません。そこに陥らないよう、意識的になることも必要でしょう。

また、『どうして?』とミスを責めることは、あまり意味をなさないことが多いもの。視点を未来に向け、次の具体策を立てていきましょう。もし解決策が見つかっているのであれば、『次はこうしてほしい』と、整理したものをリクエストするのが有効です。

人は“人格”に触れられるとハラスメントと感じる傾向あり。ミスに関する話し合いは特に、“ヒト”ではなく“コト”にフォーカスすると、前向きなヒアリングになるでしょう」

PHOTO :
Getty Images
ILLUSTRATION :
村田篤司
EDIT&WRITING :
本庄真穂、喜多容子(Precious)