そのうっかり発言、今の時代は要注意です!限りなくグレーだけど、でも…「もしかしたらハラスメント?」実例集

今、リーダー職に就いている人々が悶々と悩んでいるのが、あからさまなハラスメントはNGと理解したうえでの、「グレーゾーン」のやりとりについて。

どんなシーンにおける、どんな発言が、どう問題になる可能性があるのでしょうか。ハラスメント対策に詳しい新村響子弁護士に監修をお願いし、注意点から理解すべきことまで解説していただきます。

監修してくださったのは…

新村 響子さん
旬報法律事務所弁護士
日本労働弁護団常任理事。東京都労働相談情報センター民間労働相談員、東京都ウィメンズプラザ法律相談員。著書に『ブラック企業 セクハラ パワハラ対策』(旬報社、共著)、『トラブル回避のために知っておきたい ハラスメント言いかえ事典』(朝日新聞出版、共著)。

これってNG?実例集: 時短勤務の社員を励ますつもりで…「もう少し頑張れる?私のときは夜遅くまで見てもらえる保育園を探したよ」

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「仕事に、そして家事育児に奮闘してきた人が、心に留めておきたいのは『私のときは』というワードです。自分を例にとり、そのことを他人に強要する姿勢は、ともするとハラスメントにつながりかねません。実績を積んだ男性が『俺の時代は』と語り始める姿勢とよく似ていますね。

時短勤務社員に残業を命じるのは違法ではありませんが、それは本来の趣旨に反すること。お迎え、夜ごはん、お風呂から寝かしつけまで、家庭で家事育児の責任を負っていることに配慮してあげてください。

改めてですが、時短勤務は『育児・介護休業法』で認められている権利です。もし使わせないような言動にいたった場合は『制度利用の嫌がらせ』として法に触れる可能性があります」

これってNG?実例集: 期日を過ぎて、未熟なレポートを提出してきた部下に「お疲れ様。もういいわ。あとは私がやるから」

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「この場合は、将来に向けた教育的指導として、発言を見直してみるのはいかがでしょうか。『もういいわ』で終わらせてしまうと、部下はどうすべきなのか途方に暮れてしまうでしょう。『私がやるから』という言葉は、『やってもらう必要がない』と受け取られるかもしれません。

まずスケジュールについて、『遅れる場合は○日前までに知らせてほしい』と伝え、内容については『ここが未熟だから、次はこう改善してほしい』と具体的に指示を出すのです。ハラスメントを回避するためには『価値観を共有することが大切』といわれますが、そのためにすべきこと、それが『具体的なリクエスト』なのです。

自分が大事にしていることを部下に伝え、部下からも同様にすくい上げ、お互いに確認し合う。そのコミュニケーションの繰り返しが、チームの育成につながるのではないかと思います」

PHOTO :
Getty Images
ILLUSTRATION :
村田篤司
EDIT&WRITING :
本庄真穂、喜多容子(Precious)