「レイヤー」と聞いて思い浮かべるのは、「レイヤーカット」でしょうか? 表面の髪を短めに、内側になるにつれて緩やかに段差をつけながら、徐々に長くカットしていくテクニックです。簡単にいえば段カットですね! 「地層」のように積み重なっているもの、それが「レイヤー」です。今回はさまざまなシーンで使われる「レイヤー」の意味について学びましょう!
【目次】
【「レイヤー」を深く理解するための「基礎知識」】
■「レイヤー」を簡単にいうと「階層」ってこと!
書類でも建築物でも肩書きでも、何かが何層かに積み重なった「階層構造」になっているとき、それぞれの階層を「レイヤー」といいます。「層や地層、階層」を表す英語の[layer]からきたカタカナ語です。
ファッションでは「重ね着」のことを「レイヤードスタイル」と呼びます。重ねられたそれぞれのアイテムが「レイヤー」となります。
■組織の階級も「レイヤー」です
ビジネスシーンでは、企業の組織構造、つまり「階級」や「階層」に関して「レイヤー」という言葉が使われることが多いようです。[係長-課長-部長]といった、それぞれの役職に就いている人たちをそれぞれ「部長レイヤー」「執行役員レイヤー」などと呼びます。
あるいは、例えば「物販」の仕組みについて。オンライン販売は[物づくり→販売→配送]といった段階に分かれていますね。このように、仕事(この場合は物販)を役割ごとに階層化し、次々と仕事を引き渡していく重なりを、「販売レイヤー」「配送レイヤー」などと表現することもあります。
■「IT用語」でも基本は同じ!
IT関連では、ソフトウエアやシステム、ネットワークの構造を説明する際、構成要素が階層構造に積み上がっている場合、それぞれの要素を「レイヤー」と呼びます。例としては、コンピュータのハードウエア上でオペレーティングシステム(OS)が動き、OS上でアプリケーションソフトが動いている〜といった構造について、それぞれが「ハードウエアレイヤー」、「OSレイヤー」、「アプリケーションレイヤー」と呼ばれます。
コンピュータグラフィックスにおいては、写真や絵が描かれている仮想上の透明なシートの層が「レイヤー」です。複数のレイヤーに異なる絵を描き、レイヤーをいくつも重ねて、ひとつの画像や絵に見せる方法です。「背景を描いたレイヤー」、「空模様を描いたレイヤー」「人間を描いたレイヤー」などを別々につくれば、さまざまなシチュエーションのビジュアルをつくることができる、というわけです。
【「レイヤー」の使い方がわかる「例文」4選】
■1:「アメリカの心理学者マズローは、人間の行動の動機を5つのレイヤーで表現した。これは“欲求五段階説”と呼ばれている」
■2:「わが社の経営企画部では、[マネージャー/部長レイヤー]の人員を募集中だ」
■3:「企業戦略は、経営戦略、事業戦略、製品戦略の3つのレイヤーで構成される」
■4「同じものを見ていても、彼と私は属する社会的レイヤーが違いすぎて、相互理解が難しい」
【「レイヤー」の「類語」表現は?】
■層 ■階層 ■段階
使われる状況や前後の意味で、「レイヤー」はさまざまなものを意味しますので、言い換えが難しい言葉です。
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「レイヤー」とは、「階層」のこと。そういえば、スポンジやクリーム、フルーツなどを層に重ねたケーキは「レイヤーケーキ」と呼ばれていますね! ちなみに、いわゆるオタク系趣味を愛する方々に使われている「レイヤー」は「コスチュームプレイヤー」の略で、「コスプレをしている人」のことです。「ビジュアル」を「ビジュ」、「イケてるボイス」は「イケボ」と、言葉をどんどん省略していくのも日本語の特徴。なかでもカナカナ語は、日々目まぐるしく進化しています。ついていくのは大変ですが、頭を柔軟にして、学んでいきましょう!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館) /『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『イミダス』(集英社)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP) :