まだまだ暑い日が続くなか、パワーをチャージするなら、やっぱりお肉! 焼肉、ステーキ、すき焼き、とんかつ、焼鳥…などなど。

そこで、雑誌『Precious』9月号では、企画「『プレシャスなお肉』の新潮流」を展開。定番の楽しみ方はもちろん、素材や調理法、プレゼンテーションなど、多彩に、さらに美味しく進化する肉料理の“今”に迫りました。

今回は、薪焼のお肉と旬の食材を楽しむ自然派イタリアン「tacubo」をご紹介します。

「肉の楽しみ方も多様化する今、本能に訴える『肉』が気分」—森脇慶子さん

「数年前からお肉を薪火で焼く『薪焼』が注目されています。薪焼はスペイン・バスク地方の名店『アサドール・エチェバリ』の調理スタイルとして有名になり、一気に広がりました。

強い火力で焼き上げる炭火焼に比べて、水分を含んだ生木を使って熾火で焼く薪焼は、柔らかい火で肉を焼くためジューシーに仕上がります。

なにより、薪焼も炭火焼も、頭で考えて食べるような肉料理ではなく、もっと直球で原始的な料理。火の力をダイレクトに感じながらいただく、本能が喜ぶようなお肉の楽しみ方にシェフたちも注目しているのです。

また、『美味しいお肉を少しずつ食べたい』という欲求に応えるべく、肉割烹というスタイルも増えています。

焼く、煮る、揚げる。部位によってベストな調理法で、趣向を凝らして提供するコース仕立ては、懐石料理に通じる繊細さも人気で、今や牛肉だけでなく、焼鳥なども割烹化、高級化が進んでいます。

併せて、『いつ、どこで、誰によってつくられたのか』を明確にするトレーサビリティも肉業界ではすっかり浸透。シーンや気分に合わせて、肉の種類や食べ方を選べる多様化の流れ。肉好きにはたまらないこの潮流は、ますます進化するでしょう」(森脇さん)

森脇慶子さん
フードライター
(もりわき けいこ)料理専門誌から女性誌まで、幅広く活躍するフードライター。著書に『行列レストランのまかないレシピ』など。『東京最高のレストラン』採点者のひとりで、無類の肉好きとして有名。
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薪焼の肉がコースのメインに供されるイタリア料理店「tacubo」の開放暖炉。カウンター席からはパチパチと燃える薪火を眺められる。

【tacubo(タクボ)】熱と肉汁、音や香り。火の味をダイレクトに感じる「薪焼」の肉と旬の食材を楽しむ自然派イタリアン

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ストレスなく育った短角牛は脂肪少なめでヘルシー。にもかかわらず肉のうま味が口の中にじゅわっと広がるのは薪焼ならでは。

口の中で肉汁が躍る!薪焼ならではのレアな熱さ

パチパチと音を立てゆらめく炎をカウンターから眺めながら、コースは始まります。フレッシュモッツァレラの前菜、キャビアと白エビの冷製パスタ、アスパラのスープ、花ズッキーニのフリット…など、旬の食材を使った、目にも鮮やかな料理が次々と登場。

そして、満を持して登場するメインこそが、薪焼のステーキ。この日は、岩手県・田村牧場の短角牛。噛むほどに味わいが増す良質な赤身肉は「表面カリッと、中はジューシーに焼き上がる薪焼こそが魅力を引き立てる」と田窪大祐シェフ。

生木を使い薪から火を起こして熾火をつくり焼き台へ。水分を含んだ熾火の放射熱によってじっくり焼かれる肉は、表面はクリスピーに、内側は均等に火が入っていきます。

「薪焼は、強力なスチームで焼くイメージ。コースの仕上げに、火の味がする焼きたてのテンションと熱をストレートに味わってほしい」とシェフ。極限まで閉じ込められた肉汁はまさに極上のソース! 肉のうま味の余韻に浸りつつ、夜は更けていくのです。

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コース中盤に登場するサザエの香草バターソース
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コース前半のキャビアと白エビの冷製パスタは「もっと食べたい!」という声が続出する人気のひと皿。コースはデザート含めて11品(季節によって内容は変わる)
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田窪シェフが焼く姿と開放暖炉が眺められるカウンター席ほか、個室がふたつある。

問い合わせ先

PHOTO :
長谷川 潤、篠原宏明
EDIT&WRITING :
田中美保、安村 徹(Precious)