メールや電話、あるいは別れ際などに「お待ちしております」というフレーズを使うことは多いもの。ビジネスシーンだけでなく、レストランなどの予約時や、店を出る際などに「お待ちしております」と言われますよね。今回は、いろいろなシーンで気軽に使用している「お待ちしております」について、“大人の正しい敬語”という目線で解説します。

【目次】

「お待ちいたしております」は、より丁寧な敬語?
「お待ちいたしております」は、より丁寧な敬語?

【「お待ちしております」はどんな敬語? 感じよく使うための基礎知識】 

■ずばり! 「お待ちしております」の「意味」

「お待ちしております」は、「待っている」だけでなく、「望んでいる」「期待している」というニュアンスの強い表現です。「人が来る」ということだけではなく、「物品」「案内」「報告」「吉報」「近況」など、さまざまな事柄が届くことを期待しているときに使います。

■「お待ちしております」は敬語のなかでの「謙譲語」

「お待ちしております」は「待っている」の謙譲表現。相手に対してへりくだることで敬意を示しています。

敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」「美化語」があり、立場や関係性、状況などによって使い分けられます。この「お待ちしております」は、自分を低めることで敬意を表す謙譲語なのです。

■どんな時に? オールマイティな「お待ちしております」

話し言葉としても書き言葉としても、また別れ際の挨拶など、さまざまなシーンで使用可能です。

■上司など身内に対しても使いましょう

「お待ちしております」は、取引先の人やお客様をはじめ、目上の人に対してなど、相手を敬うべき状況で使用します。社内であっても、上司や役職者など立場が上位の相手には使ってくださいね。

■「お待ちしております」をもっと丁寧にすると…

さらにへりくだった表現を用いた「お待ち申し上げております」や、「心よりお待ちしております」も、相手や状況を鑑みて使うとさらに印象がアップするでしょう。

もっと丁寧に聞こえるかもしれませんが、お待ちいたしております」はNG! なぜなら、「する」の謙譲語「いたす」と、「いる」の謙譲語「おります」が重ねて使われていますね。「同じ種類の敬語は重ねない」というルールがあるので、二重敬語という誤用になるからです。


【いますぐ使える「ビジネス例文」10選】

では、「お待ちしております」の使い方を見てみましょう。感謝やねぎらいの言葉とセットで使われることも多いですね。

■1:「ご検討のうえご連絡くださいますよう、お待ちしております」

■2:「お返事(ご返信/ご返答)をお待ちしております」

■3:「皆様のお越しを、従業員一同心よりお待ちしております」

■4:「またのご利用を心よりお待ち申し上げております」

■5:「ご来社(ご来店)いただけますのをお待ちしております」

■6:「よい知らせをお聞かせいただけますのを、お待ちしております」

■7:「皆様からのご意見・ご感想をお待ちしております」

■8:「お買い上げいただき誠にありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」

■9:「本日はご苦労様でした。次回も楽しみにお待ちしております」

■10:「お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のうえご連絡いただけますのをお待ちしております」


【意味によって使い分けたい「言い換え」表現】

■「来てください」という意味で使う場合の言い換え

例   文:「〇日の□時にお待ちしております」

言い換え1:「〇日の□時にお越しください」

言い換え2:「〇日の□時においでください」

言い換え3:「〇日の□時にいらしてください」

■「依頼」や「期待」という意味で使う場合の言い換え

例   文:「ご多用のところ恐縮ですが、ご連絡をお持ちしております」

言い換え1: 「ご多用のところ恐縮ですが、ご連絡のほどよろしくお願いいたします

言い換え2:「 ご多用のところ恐縮ですが、ご連絡いただけますと幸いです


【メールでの「お待ちしております」にはすぐ返信を!】

メールの「お待ちしております」には、どう対処すべきでしょうか。

「来てください」という意味のメールへの返信は、「ご連絡ありがとうございます」などの前文に続き、「お伺いいたします」や「ご案内ありがとうございます」などと返信しましょう。

また、なんらかの「依頼」や「期待」のメールには、すぐに応えられない場合でも「検討いたします」などの返信を。

いずれの場合も、すぐに返信して「承知したと伝えること」が重要。これが大人のビジネスメールの基本マナーなのです。

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今回は、ビジネスシーン、特にメールで多用される「お待ちしております」について学びました。結び文として定型化している感はありますが、「あなたに期待していますよ」という意味を含んだフレーズです。面倒がらず、“承知しましたという返信”は忘れずに送信しましょう。

この記事の執筆者
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