「鐚一文」ってなんと読む?「かねあくいちぶん」?…いえいえ!

明日・9月8日は、ユネスコによって宣言された記念日『国際識字デー』です。この日に掲げられた目的は「個人とコミュニティ、そして社会にとっての識字の重要性を強調すること」。世界にはまだまだ、読み書きができず、最低限の識字スキルを持たない成人が多く存在します。本シリーズのような「日本語クイズ」が成立するのは、先人たちの努力により、日本では高い識字率が、当たり前のように整備されているから…ということかもしれません。改めて先人に感謝し、私たちが世界中の隣人のためにできることを考える…そんな、きっかけの1日にしてみてはいかがでしょうか?

本日は「文」「字」という字の入った日本語クイズをお送りします。

【問題1】「杓文字」ってなんと読む?

「杓文字」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:どこかの国の文字…ではなく、キッチンツールのひとつです。

<使用例>

「幼稚園児の甥が、うちに来て杓文字を初めて見たらしくて、なんの道具かわからなかったのよ!」

読み仮名3文字です。
読み仮名3文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 杓文字(しゃもじ)です。

※「さもじ」という読み方も併せて採用している辞書もございます。
※「さもじ」という読み方も併せて採用している辞書もございます。

「杓文字(しゃもじ)」は、「ご飯をすくう道具」ですが、昨今は「米ばなれ」もあり、炊飯器のないご家庭もあるようです。例文のような事も現実に起きているようですね。「杓文字(しゃもじ)」という言葉の成り立ちですが、もともと「杓子(しゃくし)」と呼ばれていたアイテムが、室町時代に宮中に仕えていた女房たちにより「杓文字(しゃもじ)」と言い換えられ、それが一般化した…と言われています。こうした成り立ちの言葉を「女房詞(にょうぼうことば)」といい、田楽を指す「おでん」や、お水を指す「おひや」も、これにあたります。

さて、2問目にまいりましょう。

【問題2】「鐚一文」ってなんと読む?

「鐚一文」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:「ほんのわずかなお金」という意味の言葉です。

<使用例>

「このお品については、ご提示価格に見合った価値を感じておりますので、鐚一文まけられません」

読み仮名5文字です。
読み仮名5文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 鐚一文(びたいちもん)です。

耳で聞く言葉としては、みなさまご存じだったかと思いますが、読めたでしょうか?

例文のように「鐚一文(びたいちもん)まけられない」や、「鐚一文(びたいちもん)渡したくない」など、「いかにわずかなお金であっても、やりとりに影響させたくない」というような時に使用する、激しいニュアンスを表現する言葉です。ちなみに、「鐚(びた)」とは、室町時代末期ごろに急増した「私鋳の粗悪な銭貨」のことをさします。

*** 

本日は、9月8日『国際識字デー』にちなんで、「文」「字」という字の入った日本語から、 

・杓文字(しゃもじ)

・鐚一文(びたいちもん)

などの読み方や背景についておさらいいたしました。

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Precious.jp編集部 
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参考資料:『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト
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小出 真朱