雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回はサステイナブル・フラワー・デリバリー「マリー・ポピーズ」代表 マリー・ルボーさんの活動をご紹介します。
花の世界をサステイナブルに…生産と流通の仕組みを変える
「加工食品やフードロスに対する人々の意識はこの10年ほどでずいぶん啓蒙されてきましたが、花については気付いてすらいない人がまだまだ多いと思います」
食品と違って、花の生産現場(※)は、農薬などの安全基準の網の目からこぼれ落ちてしまいがちだ。売れ残って枯れた花は一般ごみとして捨てられ、大部分が焼却される。温室栽培や電気照明などで生産に多くのエネルギーが消費されているし、年中手に入るバラは基本的に輸入で、10本のバラの花束はロンドン〜パリ間のフライトと同量の温室効果ガスを生み出している―。こうした現実を知ったマリーさんが立ち上げたのが、サステイナブル・フラワー・ビジネス「マリー・ポピーズ」だ。
「問題意識を共有する生産者たちと共に、花の販売を始めました。生産のために暖房や照明を使うことをせず、季節の花でブーケをつくります。一部はドライフラワーにして、花が咲かない晩秋から冬の間は、リースやアレンジメントなどにして提供しています」
オンラインで注文を受けてから花を摘んでブーケに。商品はサイズ違いの2種類のみで、配達は週に2日。コロナ禍以降は、配達も地産地消でいいんじゃないか、ということで、近くの生産者がお客さんに直接届けることも。ホテルやレストラン、オフィスのほか、個人向けにサブスクリプションサービスも行っている。’20年には、「マリーポピーズ」の花を選ぶことで、590トンの二酸化炭素削減を達成したという。
「冬は花がないから一般の花屋で温室ものを、という固定概念を変えたい。春夏の花のドライフラワーが、冬ならではの季節感になっていくといいなと思います」
【SDGsの現場から】
●プロデューサーとして関わる生産者のもとへ
●手渡して届くサステイナブルなブーケ
※EUのフラワービジネスとは…EUには食品に関する厳しい安全基準があるが、花卉生産業は農薬や殺虫剤などの規制がまだ整っておらず、業界の対策も遅れている。
- PHOTO :
- Johannes Vande Voorde
- WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- Mariko Matsue