雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回はサステイナブル・フラワー・デリバリー「マリー・ポピーズ」代表 マリー・ルボーさんの活動をご紹介します。

マリー・ルボーさん
サステイナブル・フラワー・デリバリー「マリー・ポピーズ」代表
大学で経済学とマーケティングを専攻。卒業後は北欧系大手食品メーカーでベルギー国内マーケティングを担当した。第一子出産を機に退職し、育児をしながら、目標でもあった起業に挑戦。現在4歳と2歳の子供がいる。

花の世界をサステイナブルに…生産と流通の仕組みを変える

「加工食品やフードロスに対する人々の意識はこの10年ほどでずいぶん啓蒙されてきましたが、花については気付いてすらいない人がまだまだ多いと思います」

食品と違って、花の生産現場(※)は、農薬などの安全基準の網の目からこぼれ落ちてしまいがちだ。売れ残って枯れた花は一般ごみとして捨てられ、大部分が焼却される。温室栽培や電気照明などで生産に多くのエネルギーが消費されているし、年中手に入るバラは基本的に輸入で、10本のバラの花束はロンドン〜パリ間のフライトと同量の温室効果ガスを生み出している―。こうした現実を知ったマリーさんが立ち上げたのが、サステイナブル・フラワー・ビジネス「マリー・ポピーズ」だ。

「問題意識を共有する生産者たちと共に、花の販売を始めました。生産のために暖房や照明を使うことをせず、季節の花でブーケをつくります。一部はドライフラワーにして、花が咲かない晩秋から冬の間は、リースやアレンジメントなどにして提供しています」

オンラインで注文を受けてから花を摘んでブーケに。商品はサイズ違いの2種類のみで、配達は週に2日。コロナ禍以降は、配達も地産地消でいいんじゃないか、ということで、近くの生産者がお客さんに直接届けることも。ホテルやレストラン、オフィスのほか、個人向けにサブスクリプションサービスも行っている。’20年には、「マリーポピーズ」の花を選ぶことで、590トンの二酸化炭素削減を達成したという。

「冬は花がないから一般の花屋で温室ものを、という固定概念を変えたい。春夏の花のドライフラワーが、冬ならではの季節感になっていくといいなと思います」

【SDGsの現場から】

●プロデューサーとして関わる生産者のもとへ

サステナブル_1
月に2回は志を同じくする生産者を訪れる。ブリュッセル郊外の農園ではダリアが育つ。

●手渡して届くサステイナブルなブーケ

サステナブル_2
季節の花を使ったブーケは、配達時の梱包や包装は最小限で。サステイナブルが徹底。

※EUのフラワービジネスとは…EUには食品に関する厳しい安全基準があるが、花卉生産業は農薬や殺虫剤などの規制がまだ整っておらず、業界の対策も遅れている。

PHOTO :
Johannes Vande Voorde
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
Mariko Matsue