旅先では日常の喧騒を離れて、静かなおこもり時間を過ごしたい。そんな人におすすめなのは秘湯の宿です。自然のなかにひっそりと佇む湯宿は、大地からの贈り物である温泉の恩恵をダイレクトに浴びられるスポット。それに加えて、息を呑むような日本の原風景、地元の食材を生かした心づくしの料理など、秘湯の宿はアクセスの不便さを補ってあまりまる魅力にあふれています。
行けば必ず感動する。わざわざ足を運びたくなる。そんな名宿を温泉ジャーナリストの植竹深雪さんにピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、長野県松本市にある「渓流荘しおり絵」です。
公式サイト
洞窟の奥に露天風呂が…遊び心ある湯殿で心身の疲れをリフレッシュ
長野県・上高地の玄関口、さわんど温泉に佇む「渓流荘しおり絵」。宿名の由来は“旅という本を読み返したときにふと心に留まるしおりのような思い出を作っていただきたい”との願いで、その名に恥じず、きめ細やかなおもてなしやサービスに感動すると評判です。
「渓流荘しおり絵は、1階と2階のお部屋を合わせてわずか8室というこぢんまりした宿。静かにのんびりとリフレッシュがしたいときにおすすめです。
まず、ここは大浴場の造りがユニーク。内湯と露天風呂の間が岩のトンネル状で洞窟風呂のようになっています。内湯から薄暗い洞窟風呂へと進み、ガラス戸を開けた先に露天風呂が広がる…。この温泉を魅せる演出がたまりません」(植竹さん)
「露天風呂は湯の流れる音しか聞こえないほどの静寂な環境で自然情緒たっぷり。寝湯のスペースもあり、空を眺めながらの湯浴みも格別です。私が訪れたのは秋の紅葉シーズンでしたが、友人によれば春の花見風呂も最高とのこと。冬場ならば心に染み入るような幻想的な雪景色を堪能できるのではないでしょうか」(植竹さん)
「大浴場以外に貸切風呂もあって、個人的にはここが特に湯のよさを感じました。泉質はアルカリ性単純温泉。デリケートな肌の人でも安心して入ることのできる万人受けする湯質です。アルカリ性が肌表面の汚れを乳化してくれて、湯上りはツルスベ肌になったのを実感できました」(植竹さん)
露天風呂付きor絶景、どちらがお好み?客室で極上の寛ぎ時間を過ごす
「客室は1階の4室のみ露天風呂付き。2階の4室は部屋風呂はありませんが、窓から眺める桂川と対岸の山が眼福です。ちなみに、私は2階の部屋をセレクトしましたが、こぢんまりした宿であるためか大浴場で他の客とバッティングしにくく、また貸切風呂にすっかりハマって頻繁に入っていたので、部屋にお風呂がないことはそれほど気になりませんでした。
景色を眺めながらマッサージチェアで寛ぐのは至福のひととき。いつまでもここにいたい気分に誘われるほどでした」(植竹さん)
懐石料理も絶品!温かいおもてなしに心もお腹も満たされる…
「渓流荘しおり絵」では、一品一品丹精に手をかけた料理も自慢です。
「彩の美しい前菜からはじまり、岩魚に信州牛、お造りや旬の野菜など、地元の素材をふんだんに使ったお料理はどれも美味。私は信州のキノコ狙いで秋に訪問したのですが、松茸の土瓶蒸しが期待以上のお味でした。ほかにも信州サーモンやそばなどご当地グルメが目白押し。シメの大根ごはんも大根の甘みと食感が絶妙でした。
それから、夜食としておにぎりのサービスがあり、客室にお持ち帰りすることができます。小食の人は小さめ1つ、たくさん食べたい人は好きなだけ…というふうにお客ごとの要望に合わせた個数を握ってくれるきめ細やかな配慮がうれしいです」(植竹さん)
「お夜食の件もそうなのですが、お客ひとりひとりに応じた心温まるおもてなしは、しおり絵ならでは。客室のお茶菓子や夕食、そして夕食から部屋に戻るとお布団にも手書きのメッセージやイラストが添えられていて、ほっこりさせられます。
それでいて、ベタベタした接客ではなく、たとえば、朝の牛乳の配達サービスでは、わざわざ声をかけるのではなく、さりげなく置き配してくれるなど、ほどよい距離感が心地いいです。心静かに別荘感覚でおこもりステイを叶えたい人にぴったりのお宿といえるのではないでしょうか」(植竹さん)
以上、「渓流荘しおり絵」をご紹介しました。温泉も料理もサービスが行き届いた名宿でまったり寛ぎたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?
※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。
問い合わせ先
- 渓流荘しおり絵
- 住所/長野県松本市安曇4170-4
客室数/全8室
料金/1名 ¥23,650~(税込) - TEL:0263-93-2642
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生