極上の湯に浸かり体はポカポカ温まりながら、目の前に広がる白銀の世界に見惚れる。このコントラストこそ冬の温泉旅の醍醐味ではないでしょうか。1年のうちの限られた時期、雪深い土地でしか叶えられない非日常体験は、日頃の心身の疲れをきっと癒してくれるはずです。

そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、日本全国に数ある温泉旅館のなかから、冬ならではの絶景に感動する湯宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、山形県西川町にある「変若水(おちみず)の湯 つたや」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の2500スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

日本有数の豪雪地帯で極上の雪見風呂を堪能

温かみがあり居心地のいいロビー
温かみがあり居心地のいいロビー

山形県西川町に位置する月山(がっさん)志津温泉。日本有数の豪雪地帯である月山の懐深くにある「変若水(おちみず)の湯 つたや」は、フロント以外に時計がなく時間を忘れて寛ぐことがコンセプトのお宿。ここでは、冬の絶景と温泉をセットでとことん堪能できます。

大浴場の内湯
大浴場の内湯
大浴場の露天風呂
大浴場の露天風呂

「こちらのお宿では露天風呂からも内湯からも眺めが圧巻。見渡す限り銀世界といいますか、もはや雪しか見えない状態で、これぞ雪国という旅情たっぷりです」(植竹さん)

一口酒のサービス ※コロナ禍のため現在は休止中
一口酒のサービス ※コロナ禍のため現在は休止中
露天風呂には笠をかぶって行くことも…
露天風呂には笠をかぶって行くことも…

「そして、個人的に刺さったのは、一口酒のサービス(※)。夕方くらいになると、大浴場に徳利とお猪口の入った木桶がそっと差し入れられます。雪だるまの形をしたかわいらしい徳利の中身は山形の地酒。お酒が苦手な人でも飲みやすそうな優しい味わいで、ほんの一口嗜んで湯浴みするとふんわりほろ酔い気分に。泉質がいわゆる“温まりの湯”である塩化物泉ということも相まって、目の前は雪景色、体はポカポカという至福の時間が叶いました」(植竹さん)

※2022年11月現在、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、一口酒のサービスは一時休止中です。今後の状況に応じてサービスを再開する予定です。
貸切風呂からの眺め。窓の向こうはまさしく白銀の世界!
貸切風呂からの眺め。窓の向こうはまさしく白銀の世界!

「また、つたやでは館内の居心地のよさも印象的です。囲炉裏のある吹き抜けのロビーや通路のちょっとした休憩所からの眺めも素敵。部屋の調度品などもさりげなくセンスがよく、月山の自然のなかでまったりとおこもりしたい人に最適のお宿ではないかと思います」(植竹さん)

欄間にも遊び心が感じられる客室
欄間にも遊び心が感じられる客室
もちろん客室からも雪見三昧!
もちろん客室からも雪見三昧!

氷点下なのに心温まる!「雪旅籠の灯り」の幻想的なシーンは必見

「変若水の湯 つたや」のある月山志津温泉では、毎年2月の週末に開催されるイベント「雪旅籠(ゆきはたご)の灯り」も見逃せません。

ろうそくを灯すとどこか温かみが感じられる。今シーズンの開催は2023年2月4日(土) ~ 2月26日(日)の予定。
ろうそくを灯すとどこか温かみが感じられる。今シーズンの開催は2023年2月4日(土) ~ 2月26日(日)の予定。

「月山志津地区は冬場の積雪が6メートルにも及ぶ豪雪地帯。その雪を利用して、江戸時代の旅籠を雪で再現するのが『雪旅籠の灯り』です。地元の方たちの手作業によるイベントで、雪旅籠が200メートルもの長きに渡って立ち並ぶさまは壮観。雪うさぎのモニュメントが配置されるなど手が込んでいて、期間限定なのがもったいない程です」(植竹さん)

LEDのブルーで幻想的な雰囲気に
LEDのブルーで幻想的な雰囲気に

「今シーズンは、コロナ禍の影響で例年よりも規模を縮小するそうですが、ホットワインなどが飲めるアイスバーはオープンするとのこと。LEDでライトアップされ、椅子も氷で造られた幻想的な空間での飲食というレアな体験は旅の気分を盛り上げてくれること間違いなし。ぜひ開催時期を狙って訪れてみてはいかがでしょうか」(植竹さん)


以上、「変若水の湯 つたや」をご紹介しました。雄大な自然に囲まれた環境で時間を忘れて雪見を堪能したい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

問い合わせ先

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生