依頼したことが実現したときや、共同で作業していた仕事が終わったとき、異動や退職などで別れを告げるときなど、日常的にもここぞというときにも使用する「お世話になりました」。今回は、この重宝なフレーズを十分に使いこなして“大人の語彙力”を高めるために、言い換え表現なども含めてサクッと学びましょう。

【目次】

「お世話になりました」にもうひと声プラスして“もっとデキるフレーズ”に!
「お世話になりました」にもうひと声プラスして“もっとデキるフレーズ”に!

「お世話になりました」をビジネスで使うための基礎知識】  

■「意味」

まずは「世話」という単語について。「今さら…」と思うことなかれ。意外にも「そんな意味も!」と驚くかもしれません。『デジタル大辞泉』によると、「世話」の意味は複数掲載されています。

1.面倒をみること。尽力すること。「子供の世話」や「大きなお世話」など、日常会話でも使いますね。

2.間に立って斡旋すること。取り持つこと。「就職先を世話する」「取り引き先を世話してほしい」など。

3.手数がかかってやっかいであること。面倒であること。「あの人は世話が焼ける」などと使います。

このほかにも「通俗的、庶民的であること」などの意味も。歌舞伎や人形浄瑠璃でいう「世話物」は、庶民の生活を題材にしたジャンルですね。「お世話になりました」というフレーズは、「面倒をみてくれてありがとう」「やっかいなことをしてくれてありがとう」と、相手を敬いつつ、その尽力に対して感謝するフレーズです。  

■ビジネスでどう使う?「使う場面」と「使い方」

では、ビジネスシーンではどのように使うのが正しいか見てみましょう。前述したように、「お世話になりました」は力を貸してくれた人や、面倒を見てくれた人に対して感謝の気持ちを伝える際に使えます。これきりではなく、今後も付き合いを継続したい場合は、「お世話になりました」のあとに「今後ともよろしくお願いいたします」や「引き続きよろしくお願いいたします」などをプラスしましょう。

メールや電話、対面での冒頭の挨拶として「お世話になっております」を使っていますよね。しかし、「お世話になっております」も「お世話になりました」同様、初対面の相手には不向きです。しかし、自分が初見だとしても、自分が属する会社がすでに関わりがある場合には、「お世話になっております」を使うのは正解。その上で、「初めてご連絡差し上げます」「初めてご連絡させていただきます」などと続けるとよいでしょう。


【異動・退職・取引先へのお礼など…「例文」7選

■1:「短い間でしたがお世話になりました。ありがとうございます」

■2:「大変お世話になりました。今後のご活躍をお祈り申し上げます」

■3:「このたびは大変お世話になりました。今後とも、何卒よろしくお願いいたします」

■4:「1年間お世話になりました。引き続き、新年もどうぞよろしくお願い申し上げます」

■5:「旧年中は大変お世話になりました。本年も何卒ご贔屓のほど、よろしくお願い申し上げます」

■6:「その節はお世話になりました。皆様お変わりありませんか?」

■7:「このたびは大変お世話になりました。またご一緒できましたら嬉しく存じます」

4と5は、年末の挨拶や年賀状などで使用できる例文なので、さっそく使ってみてくださいね。


「お世話になりました」の「敬語」「言い換え」「使い分け」

■上司や取引先など目上の相手に…

「お世話になりました」は礼儀正しい日本語なので、目上の人にも使える表現です。もっと謝意を込めたいなら、「大変」「長きにわたり」「入社以来」などを頭に付け加えるといいいでしょう。

■言い換え表現

「お世話になりました」は、すでに済んでいる(あるいは継続中の)事柄に対して謝意を表すフレーズです。顧客や取引先などには、「ご愛顧いただきありがとうございます」や「お引き立ていただきありがとうございましす」などに言い換えても。

■「お世話~」の使い分け

継続中であれば「お世話になっております」、これからのことに対して述べるなら「お世話になります」を。

気楽な相手なら「お世話さまです」でもOKですが、目上の相手には不向きです。

社内では、異動や退職などの別れの挨拶以外なら「お疲れさまです」が一般的です。

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「お世話になりました」が単なる別れの挨拶フレーズではないことを、理解していただけたでしょうか。相手との関係性や状況によって表現が変わる日本語は、難しいけれどおもしろい言語です。この連載で毎日ひとつずつ、あなたの語彙力を磨いてください。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社)/『ビジネスですぐ使える 語彙力が身につく本』(三笠書房) :