何かを申請して叶った際に、「ご承認いただきありがとうございます」とメールや口頭で使うことがありますよね。今回はこの「ご承認」というワードについて解説します。特別難しそうな単語ではありませんが、申請する側、承認する側と、立場によって使い方が異なります。ビジネスで間違いなく使用するために、しっかり確認していきましょう。

【目次】

「承認」「承諾」「許可」の違いもしっかりと!
「承認」「承諾」「許可」の違いもしっかりと!

 

「ご承認」の「意味」とビジネスでの「使い方」 】

■正しい「意味」

「承認」は、動詞「承る(うけたまわる)」の連用形の名詞化と、動詞「認める」の連用形の名詞化したものからなる単語です。一般的な「承認」の意味は、「そのことが正当または事実であると認めること」、あるいは「よしとして認め許すこと、聞き入れること」。国際法上の地位・資格などを認めることも「承認」といいます。

この「承認」に接頭語の「ご」を付けた「ご承認」は、承認する側を高めた言葉というわけです。 

■正しい「使い方」と「使う相手」

ということから、「ご承認」を使用するのは「承認される側」だということがわかりますね。上司や取引先などに使うもので、同僚や部下などには使用しません。承認する側が相手を高めるつもりでも「ご承認します」とするのはNG! 上の立場の人が使用する場合は、「承認します」や「承認いたします」という言い方が適しています。


【「ご承認」を使った今すぐ使える「例文」】

■1:「申請させていただきました件、さっそくご承認いただきありがとうございます」

■2:「施設の利用につきまして申請書をお送りいたします。ご承認賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます」

■3:「休暇申請をいたしますので、ご承認のほど、よろしくお願いいたします」

■4:「ご承認いただきました内容について確認したいことがございます」

1は承認が得られた際に、2と3は申請時に使用します。


目上の人などに対して、もっと「丁寧」にしたいときには?

「ご承認」の前後の言葉を変えることで、相手との立場を鑑みた、もっと丁寧な言い方にすることができます。例えば、「恐れ入りますが」「恐縮ですが」「お手数をおかけしますが」「ご多用のところ申し訳ございませんが」などの“クッション言葉”をプラスすると、丁寧かつ印象がアップした表現になります。「ご承認」のあとの「~いただき」「~賜り(たまわり)」「~ください」などに続けて、「ますようお願いいたします」「ますようお願い申し上げます」「ますと幸いに存じます」などを用いれば完璧! ただし注意したいのは、「ご承認ください」「ご承認お願いします」といった言い方です。このフレーズに「承認を前提としている」「命令のニュアンスがある」と感じるケースも少なくないので、目上の人への使用は控えたほうが無難。信頼関係が構築されている親しい間柄の取引先などには、「ご承認ください」「ご承認お願いします」でもOKです。


「類語」や「言い換え」も駆使して語彙力アップ!

■類語

「ご承認」の類語には、下記の単語が当てはまります。

・ご承諾 ・ご了承 ・ご承引

「ご承引(ごしょういん)」は聞き慣れない言葉かもしれませんね。『日本国語大辞典』には「聞き入れること。引き受けること。承諾」とあるので、「承認」と同じように使えます。

■言い換え

最後に、先述した例文を「ご承認」や類語を使わずに言い換えてみます。

■1:「申請させていただきました件、さっそくご許可いただきありがとうございます」

■2:「施設の利用につきまして申請書をお送りいたします。ご配慮賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます」

***

「ご承認」は目上の人に使う言葉で、上の立場の人から目下の相手には「その件、確認しておいてください」などを用います。立場や関係性によって使用する単語や言い回しが変わる日本語は、難しいからこそおもしろい言語。“大人の語彙力”に磨きをかけましょう!

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『大人の語彙力大全』(KADOKAWA)/『使い方のわかる 類語例解辞典』小学館 :