『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。今回は犬走さんが「つい毎シーズン購入してしまう」くらい愛してやまない、タータンチェックのキルトスカートコレクションを大公開! 成熟した大人の女性だからこそ着こなすことができる上質なキルトスカートと、洗練された印象に導く着こなしのポイントを伺いました。

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)本誌をはじめ数々の女性誌や女優のスタイリングを手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目を集める。

チェックのキルトスカートの名品、「オニール オブ ダブリン」

Preciousスタッフはじめ、普段の犬走さんの私服コーディネートを知る人たちはきっと「いかにも犬走さんらしい!」と思うに違いないのが下の写真のいでたち。主役は、鮮やかなライトグリーン&ネイビーのチェックが美しいドレープを描く「オニール オブ ダブリン」のキルトスカートです。

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ニットパーカーとライダースに合わせて完成させた、小粋な「犬走カジュアル」。

犬走さんと「オニール オブ ダブリン」の出合いは、数年前。「セレクトショップで目に入って、迷わず試着。シルエットも綺麗なので即、購入しました」とのこと。

「オニール オブ ダブリン」は、1850年代からアイルランドの首都ダブリンで、民族衣装であるキルト製品をつくり続けている名門ファクトリーブランドです。トレンドを超えたトラディショナルなデザイン、チェックの柄や色合わせ、シルエットはもちろん、その生地の上質さにも惹かれたそう。

「長い歴史のなかで大切に継承されてきた伝統の製法に基づいて、丁寧につくられていると伺い納得しました。例えばロケバスでの移動などで長時間座っていてもシワになりにくいし、なんといっても暖かい!

このマキシ丈のほかにミディ丈なども展開していますが、私はこの丈が気に入っています。厚底のブーツを履いてもくるぶしまでカバーするこの長さなら子供っぽくならないし、腰下を長く見せてくれるから。大人の女性にはマキシ丈をおすすめします」(犬走さん)

「ほっこり」させず、凛とスタイリッシュに着こなすのが「大人のタータンチェック」!

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犬走さんがこよなく愛するキルトスカートの数々。すべてアイルランドの名門ファクトリー「オニール オブ ダブリン」のマキシ丈のもの。

犬走流「キルトスカートのコーデポイント」は2点。ひとつは「トップスはなるべくコンパクトに!」

「今シーズンはボリュームのあるニットがトレンドのひとつですが、私はライダースやGジャンのようにコンパクトなものを合わせるのが好きです」(犬走さん)

ともすれば「ほっこり」し過ぎてしまう可能性もあるチェックのスカートを、あくまでもスタイリッシュに、凛と着こなす秘訣はここにありそうです! そしてもうひとつは「チェックのなかの1色を拾ってトップスのどこかにあしらう」こと。

「インナーのニットやシャツ、そしてアウターでその1色を取り入れるのがいちばん簡単ですが、例えば上のコーディネートのように、チェックのネイビーを首元のスカーフとリンクさせたりするのもおしゃれの楽しみですよね」(犬走さん)

それでは、犬走さんの「オニール オブ ダブリン」コレクション、お気に入りの4着をひとつずつ解説していただきましょう!

■1:フロントはライトグリーン×ネイビー、バックはブラックウォッチの最新アイテム

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フロントのアシメトリーなドレープによって、大人っぽくエレガントな表情に。

2022年に購入した最新アイテムは、フロントとバックで異なる柄&色のチェックが取り入れられているラップ風のデザイン。

「ひと目惚れして買って帰宅したら、なんとまったく同じ柄を使った型違いのスカートがあってびっくりしました(笑) 自分が選ぶもの、その根幹は変わらないんだと改めて認識させてくれたアイテムです」(犬走さん)

■2:サイドとバックのプリーツが、縦のラインを強調する型違い

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ライトグリーンとネイビーのチェックに、少量のグレーがシックなアクセントとなって。

1のスカートの前に買っていたという、同柄チェックが使われたスカートがこれ!

「確かベルトがホワイトのものもあったのですが、コントラストが強すぎるなと感じてブラックのベルトを選びました」(犬走さん)

■3:唯一の暖色系は、最愛カラーのネイビーと相性がいいオレンジベース

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フロントに使われた起毛素材のチェックによって、より暖かな印象を醸し出す。

同じオレンジのチェックでも、フロントとバックでは素材、柄、そして微妙に色合わせも異なるこのスカートは、犬走さんの「オニール オブ ダブリン」コレクションのなかで唯一の暖色系。

「ついグリーン系に手が伸びてしまうのですが、実はオレンジも嫌いではないんです。私の最愛カラーであるネイビーとも相性がいいし、程よい華やぎや女性らしさをさりげなく演出してくれます」(犬走さん)

■4:グレンチェックを少しだけ効かせた、個性的なプリーツスカート

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トレンドに左右されない「名品」の風格さえ漂う、正統派のキルトスカート。

犬走さんと「オニール オブ ダブリン」との出合いとなった記念すべき1着目は、ネイビー×グリーンのタータンチェックに、ほんの少しだけグレンチェックをあしらった瀟洒なプリーツスカートです。

「買ってから数年経ちましたが、まっったく飽きがこないし、まさに永遠のベーシックだと思います」(犬走さん)


犬走さんのファンでもあるPreciousスタッフから、しばしば「飽きたら譲ってください」と頼まれても、決して首を縦には振らず笑顔でかわし続けている「オニール オブ ダブリン」のスカート。さまざまなセレクトショップがシーズンごとに別注して製作しているスカートも多く、豊富なバリエーションを展開しています。犬走さんの選び方、着こなし方を参考にして、大人のチェックスカートコーデを楽しんでみてはいかがでしょうか?

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PHOTO :
黒石 あみ(小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生