「あの人、すぐにマウント取りたがるよね」。こんな会話を交わしたことはありますか? 「マウント」とは、「自分の優位性を示すため」に威圧的な言動を取ること。「マウント」を取りたがる人とは、できればあまり関わりをもちたくないものです。今回はカタカナ言葉「マウント」本来の意味や使い方を解説。ストレスを溜めない対処法もご紹介します!

【目次】

「マウント」はもともと動物行動学の専門用語でした。
「マウント」はもともと動物行動学の専門用語でした。

【「由来」は? 「基礎知識」】

■カタカナ語「マウント」の由来は 英語の[mount]

小学館『デジタル大辞泉』によると、カタカナ語の「マウント」は英語の[mount]を由来とした名詞で、複数の意味をもっています。
1.台座などに物を載せること。また、その台座。
2.レンズ交換のできるカメラの、レンズを固定する部分
3.写真などを貼る台紙やスライドの枠
4.コンピューターに周辺装置を認識させ、操作可能な状態にすること
5.多くの哺乳類の雄が、交尾のために雌に乗ること。マウンティングをすること
6.「マウンテン」に同じ。Mt.と略記する。

■ビジネスシーンで使われる「マウント」とは?

由来となった英語の[mount]は、「登る」「上がる」「乗る」「(攻撃を)仕掛ける」など、さまざまな意味をもっています。そのなかのひとつで、哺乳類の雄が交尾のために雌に乗ることを「マウント(あるいはマウンティング)」といいます。ここから派生した「マウンティング」という言葉は、20年ほど前までは、サル山のサルが自分の優位性を周囲に示す行動を表す、動物行動学の専門用語でした。

一方、格闘技の世界では、相手を床に押し倒し馬乗りになった体勢のことを「マウントポジション」と呼んでいます。これは、相手の身動きを封じ込めることになるため、圧倒的に有利なポジションです。このふたつの「マウント」から、インターネットの掲示板などで、自分の優位性を示したり、威圧的な態度を取って相手を威嚇したり、萎縮させたりすることを「マウントを取る」あるいは「マウンティング」と表現されるようになり、一般へと定着しました。

ビジネスシーンでマウントを取るポイントとなるのは、肩書きや収入、学歴、語学力、資格の有無、体力、見栄えなどでしょうか。こちらに競う気はまったくないのに、何かにつけて「私は」「私は」とマウントを取ってくる人が身近にいると、ウンザリしますよね。その人の目的は「自分の有能さを周囲にアピールすることで、あなたよりも優位な立場に立つこと」なのです。


【「マウント」の「使い方」がわかる「例文」5選】

■1:「傲慢で人を見下している人ほど、マウントを取ろうとすることが多いようだ」

■2:「同性ばかりの職場など、狭い範囲の人間関係ではマウント合戦が起こりやすい」

■3:「すぐにマウントを取りたがる人の心理には、実は『自分は本当はバカにされているのではないか』という猜疑心と自信のなさが働いている」

■4:「すぐにマウントを取りたがる○〇さんの口癖は、『あなたって本当に△△よね」という否定的なニュアンスを滲ませたレッテル貼りだ」

■5:「集団生活を送るニホンザルは、オス同士の優劣を確認するためにマウンティングを行うことで知られている」


【「マウント」の「類語」「言い換え」表現】

■やり込める ■ねじ伏せる 

「マウント」を取りがちな人は自慢話が多く、人よりも自分が優れているポイントを誇示する傾向にあるようです。実際には実力が拮抗していても、無理矢理相手をねじ伏せようとするのも特徴のひとつ。


【「マウント」を取る人への対応策は?】

「マウント」を取りたがる人は、いろいろな場面で周囲と揉めることも多く、正直に言ってあまり関わりをもちたくないタイプの人が多いですよね。どのように対処するのが正解なのでしょうか?

■認めてあげる

マウントを取る人のなかには、承認欲求が強く、実は自信のなさを隠している人も多いのです。そのため、自分が評価されているとわかれば安心します。「マウント」の兆しを感じたら、「素晴らしいですね!」などと、評価し受け止める対応を見せることで、波風を立たせずやり過ごすことができますよ。

■受け流す

真面目な人ほど、マウントを取られるたびに相手の言葉を深刻に受け止め、悔しさやイライラを感じてしまうものです。職場など、接する機会が多い相手ならば、そのストレスは相当なもの。メンタルに不調を来すことがないよう、「関わるだけ時間の無駄」と捉え、適当に聞き流しましょう。可能であれば、なるべく関わらないように距離を取ることが最善の対処法といえます。

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「マウンティング」は、もともとサル山におけるサルの行動を説明する、動物行動学の専門用語でした。すぐにマウントを取りたがる人が身近にいると少々うっとうしいものですが、多少の自慢話なら「すばらしいですね!」「さすがです!」と適当に聞き流しているのがいちばん。間違っても同じ土俵(この場合はサル山でしょうか?)には上がらないよう御用心ください!

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館)/『外来語新語辞典(成美堂出版) :