身だしなみ、立ち居振る舞いは完璧。しかし、若者言葉・流行り言葉を用いて話すため、あまりよい印象を受けなかった、ということはありませんか? 見た目だけでなく、話す言葉にまで気をつけなければ「上品でエレガント」な、ワンランク上の女性とは言えません。

とはいえ、「どうやって気をつければいいかわからない」という方も多いはず。そこで今回は、日常会話でよく使いがちで上品には聞こえないフレーズを5つ、取り上げます。また、その具体的な言い換え例文とワンポイントアドバイスを、『大人の言葉えらびが使える順でかんたんに身につく本』(かんき出版)の著者である吉田裕子さんに教えていただきました。

■1:「マジで」

「マジで」→「まったくもって」「誠に」「心より」に言い換えて

「本当に」「真剣に」という意味で使われる言葉。若者言葉の代表格のひとつではないでしょうか。もともとは「真面目に」が省略されたものと見られています。このように、言葉を縮める表現は、得てして軽薄に聞こえるので注意が必要です。上品な言い換え表現はこちら。

(言い換え1)「まったくもって」

「まったく、本当に」という意味に、強調として「もって」がつけられている言葉。少々古風な印象を与えますが、「マジで」を繰り返すよりも、言葉の重みが感じられる表現です。

例文:まったくもってあり得ない話です。

(言い換え2)「誠に」

「誠」は、嘘偽りがない真実を表します。相手に誠意を伝えたい感謝・謝罪の場面で使いたい表現ですね。

例文:この度は、うちの田中が誠にお世話になりました。

(言い換え3)「心より」

「心の底から、本心で」という意味で使われます。手紙といった改まった場では「衷心より」という言い方をすることも。

例文:10周年を迎えられたとのこと、心よりお祝い申し上げます。

「『マジで』は、『ヤバい』『半端ない』と並ぶ、軽薄に見られる言葉の代表格です。上記で紹介した言い換えも、何度も重ねてしまうと白々しく聞こえてしまうので注意してください。想いの深さ、感動や感激の大きさを表現したいときは、具体的に述べるようにしましょう」(吉田裕子さん)

ほかに、「マジで取り組む」という場合には、「真摯に」「腰を据えて」「本腰を入れて」と言い換えることができるそうです。


■2:「すごい」

こちらも思わず口にしてしまう言葉のひとつ。語源となる「凄し」は、背筋がゾッとするような恐ろしい様子のことで、そこから「戦慄を覚えるほど素晴らしい」という意味になったのだとか。もともとの意味は重みのある表現でしたが、現在は軽薄な印象を与える言葉となっています。以下のように言い換えましょう。

(言い換え1)「秀逸」

ほかのものと比較したときに、抜きんでて優れていること。古くは、詩歌などの選考でのよい評価として使われていたそうです。

例文:先日のプレゼンは秀逸でしたね。

(言い換え2)「卓越」

群を抜いて優れ、ずば抜けている様を表しています。周囲と比べ、桁違いで圧倒的な実力を誇っている人や実力に対し、使いたい言葉ですね。「抜群」や「傑出」は類義語。

例文:御社の卓越した技術で、ぜひお力添えいただきたいです。

(言い換え3)「感銘を受ける」

「銘」は金属や石に文章を刻み込むこと。感動し、忘れないように心に刻み込むという想いを表した言葉です。教訓や励ましの言葉をもらった際に使いたいフレーズです。

例文:熱のこもったお話、実に感銘を受けました。

「軽薄な印象を受ける『すごい』という言葉ですが、『すごぉ~い』と伸ばしてしまうと、さらに甘えたような、媚びた印象を与えてしまいます。これでは知的とは言えません。心の底から認めている、という重みを改まった言葉を使って表現したいですね」(吉田さん)


■3:「ウケる」

「ウケる」→「興味深い」「笑いを誘う」「反響がある」に言い換えて

もともとは、拍手喝采を受けるからできたと考えられている「ウケる」。評判だ、評価されているという意味に加えて、単純に面白い、愉快という意味で使われることも。「ウケる」のままでは、手を叩いて品なく笑う印象があるので、以下の表現に言い換えましょう。

(言い換え1)「興味深い」

英語で表現するならば、「ウケる」はバカバカしい面白さという意味を含んだ、funny。「興味深い」であれば知的好奇心が刺激される意味を含む、interesting。相手に高尚なイメージを与えることができます。

例文:これはなかなか興味深い指摘です。

(言い換え2)「笑いを誘う」

この表現の「誘う」は人の気持ちを惹き、ある一定の感情になびくようにする、という意味合い。笑い以外にも「~を誘う」という言い方はオシャレな印象を与えるので、ぜひ覚えておきたいフレーズです。

例文:いま人気の若手のコントは、客の笑いを誘った。

(言い換え3)「反響がある」

「反響」とは山彦やこだまのように、山や壁で音が反射し、何度も聞こえるという現象のこと。そこから、周囲から反応が返ってくることを意味しています。

例文:ターゲット層の憧れのモデルを起用すれば、反響があるはずです。

「一様にウケると言っても『笑えること』、『反応が大きいこと』のふたつの意味があります。そのため、文脈に合わせて適切な言葉を選ぶことにも、気をつけてみてください」(吉田さん)


■4:「超」

若者が使いがちな言葉ですが、大人が使ってしまうと途端に幼稚な印象を与えてしまいます。職場で用いても問題ない、以下の言い換え表現を覚えたいところです。

(言い換え1)「実に」

仮定の話ではなく、れっきとした事実であることを伝える言葉です。「実に見事だった」「実に助かる」などのように、感嘆の意を込める際にも使えます。

例文:臨機応変に動いてくださって、実に助かりました。

(言い換え2)「並外れた」

通常のレベルを逸脱している様子。「並外れた能力」のように肯定的な意味合いで使われます。ほかには「並々でない」「非凡だ」という類義語もチェックしましょう。

例文:彼の成功を支えているのは、並外れた努力です。

(言い換え3)「はなはだ」

「甚だしい」の語尾がなくなり、副詞の役割となった形。文語的な表現のため、重みが出る表現です。

例文:光栄なお言葉、はなはだ恐縮です。

「『超』は、大人として封印したい言葉のひとつですね。どうしても軽い印象を与える表現なので、事態の深刻さなども伝わりません。上記以外にも『甚(いた)く』『ひとかたならぬ』などの古風な言い回しも覚えておきたいところです」(吉田さん)

また、数値などで示せるのであれば、「超」や副詞を使わず、伝えたい程度を具体的に述べるのも吉。意識して使い分けたいですね。


■5:「かわいい」

「かわいい」→「愛らしい」「チャーミング」「お茶目な」に言い換えて

海外の国でも「kawaii」という言葉が浸透している「かわいい」という表現は、愛することができるという意味。ファッションやキャラクター、立ち居振る舞いなど、どんなものにも使われる言葉ですが、ワンランク上の上品さを醸し出すため、言い換えフレーズで細かく区別しましょう。

(言い換え1)「愛らしい」

見た目がいじらしく、周囲の人から愛おしむ気持ちを引き出すような様子を表す、子どもや若い女性に対して使われる言葉です。類義語には「かわいらしい」「可憐な」などがあります。

例文:部長の娘さん、とても愛らしいですね。

(言い換え2)「チャーミング」

「愛らしい」よりも少し強い、魅力的な様子を表すフレーズ。強烈に周囲を惹きつけ、虜にさせる魅力がある、魅惑的である、といった意味合いがあります。

例文:彼女はチャーミングな笑顔で、世渡りが上手い。

(言い換え3)「お茶目な」

特に性格面のかわいらしさに注目した表現です。無邪気で天真爛漫な、どこか憎めない人に対して使います。

例文:硬派な外見とは裏腹の、お茶目さが人気の秘訣だ。

「小さく、守ってあげたい対象に向けて使われる『かわいい』。見た目だけでなく、性格・性質についても使われます。言い換え表現を使う際には、どの点が『かわいい』のか、考えて使ってください。さらに、魅力を端的に述べてあげるのもよいでしょう」(吉田さん)

会社で昇進する。あるいは、職場でベテランとして活躍するポジションになると、上司だけでなく、部下からも良くも悪くも注目されるようになります。まずは、上記で紹介した表現をひとつ使ってみましょう。そういった意識改革が、周囲から一目置かれる“上品さ”につながるはずです。

吉田 裕子さん
国語教師
(よしだ ゆうこ)大学受験塾やカルチャースクールで指導を行う国語講師。わかりやすく納得できる教え方で幅広い世代から支持される。NHK Eテレ「Rの法則」に敬語講師として出演するなど、テレビや雑誌などで活躍。著書・監修に『美しい女性をつくる 言葉のお作法』『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など多数。
『大人の言葉えらびが使える順でかんたんに身につく本』吉田裕子・著 かんき出版刊
この記事の執筆者
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WRITING :
冴島友貴