「わが社は何より礼節を重んじます」といったような文言を聞いたこと、見たことがあるでしょうか。今回の“大人の語彙力”は、この「礼節」について。「なんとなくわかっている」「礼儀とは違う?」「マナー? ルール?」など、ちょっと不安に感じている人もいるのでは? しっかり確認していきましょう。

【目次】

礼節
「衣食足りて礼節を知る」も覚えておきたいフレーズです。

「礼節」とはどんな言葉?「読み方」「意味」「使い方】

■読み方

「礼節」と書いて「れいせつ」と読みます。

■意味

『日本国語大辞典』(小学館)によると、「礼儀と節度。礼儀の作法。礼法。また、礼儀。礼」とのこと。「礼儀」は「人間関係や社会生活の秩序を維持するために人が守るべき行動様式。特に敬意を表す作法」、「節度」は「行き過ぎのない適当な程度、ほどあい」です。わかりやすく言うと「その場に応じた常識的な行動」や、「人と接するときには当然守るべきだとされている決まり」ということです。

■「衣食足りて礼節を知る」って?

「衣食足りて礼節を知る」とは、着るものや食べるものが十分にあってこそ、人は礼儀や節度をわきまえるようになる、ということ。中国の思想書『管子』に書かれた一節で、「物質的に不自由がなくなって、初めて礼儀に心を向ける余裕が出てくることを」を意味しますが、転じて「礼節をもって接するために、常に余裕ある行動を」という意味などで使われることも。


【使い方がよくわかる「例文」4選】

■1:「子供に礼節の大切さを学ばせるには、武道を習わせるのが早道だ」

■2:「年々、礼節を欠く若者が増えている」

■3:「仕事はよくできても、礼節を軽んじるような態度では困る」

■4:「お客さまを身なりで判断してはいけない。誰に対しても礼節をもって接するように」

「礼節」は熟語として使うことが多い単語。普段の会話では使用頻度は高くありませんが、フレーズで覚えておきたいものです。

・礼節を重んじる(重んずる) ・礼節を軽んじる ・礼節を欠く ・礼節をわきまえる 

・礼節にのっとる ・礼節をもって接する

「礼節を重んじる(重んずる)」はちょっと硬い表現ですね。柔らかく「礼節を大切にする」と言っても同様の意味になります。


【「礼節」の「類語」「言い換え」表現】

「礼節」の類語にはどんなものがあるでしょうか。シーンによっては「礼節」より相応しい場合もあるので、さまざまな表現を身に付けておきたいものです。

■作法

物事を行う方法や決まったやり方。決まり、しきたりのこと。「作法にのっとる」

■行儀

礼儀の面からみた立ち居振る舞い。また、その作法や規則。「行儀が悪い」「行儀よく座る」

■折り屈み

「おりかがみ」と読み、立ち居振る舞いや行儀作法のことを表します。腰やひざを折って屈むことから生まれました。「折り屈みが身に付いている」

■エチケット

礼儀作法のこと。「エチケットに欠く」


「礼節」と「礼儀」「儀礼」の違い

■「礼儀」とは

「礼儀」は一般的な作法やマナーのことなので、形としてできていれば「礼儀は尽くした」といえます。

■「儀礼」とは

「儀礼」は、慣習によってその形式が整えられている礼法や礼式、宗教上の行為のことを指します。いずれも「礼節」との違いは、相手や周囲を気遣う心が伴っているか否かという点。「礼節」は敬う気持ちをもって「状況や相手に応じて、程よい礼儀を示すこと」なのです。


【「礼節」の「対義語」もあわせてチェック!】

「礼節」や「礼儀」「作法」といった言葉の対義語には、「無礼」「虚礼」「不躾(不躾)」などがあります。使い方も含めてェックしておきましょう。

・クライアントとはいえ、あまりにも無礼な態度には我慢ならない。

・うわべだけで誠実さを感じない彼の態度は虚礼といえるだろう。

・不躾なお願いで大変恐縮です。

***

大人同士の人間関係、とくにビジネスシーンでは、さまざまな礼儀や習慣を鑑みる必要があります。そこに心が伴っているか、敬意をもって接しているか…礼節ある態度はとても重要なことですね。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『故事成語を知る事典』小学館 :