【目次】

「お三方」とは?「読み方」「意味」

■読み方

「お三方」は「おさんかた」と読みます。

■意味

「お三方」は「3人」を敬って表した敬語表現です。「方」という漢字には「方向」や「場所」「方法」などさまざまな意味がありますが、接尾語としての用法のひとつとして人を数える場合にも用います。「方(かた)」は「人(ひと)」の丁寧語・尊敬語であるというわけです。尊敬の意を表わす接頭語「お(御)」とともに用いると「三人さま」より丁寧で改まった表現になります。話し言葉としても、メールや手紙で使う書き言葉としても使える便利な敬語です。

■使い方

目の前にいる人を指す場合も、そこにはいない人を指す場合にも使えます。いくつか例文を挙げてみましょう。

「今日はこうして私が尊敬するお三方にお目にかかることができて、本当にうれしく、光栄に存じます」

自分の目の前にいる3人を指して「お三方」と表現できます。

「○○部長、受け付けで△△株式会社開発部からお見えのお三方がお待ちです」

3名1組のお客さまを指して「お三方」という言葉が使われます。名前を把握していないときも、この言葉を使えば丁寧な印象になりますね。

「△△株式会社開発部といえば、まずはあのお三方のお顔とお名前が思い浮かぶほどの実績の持ち主だ」

会話のなかで話題として取り上げられた人物についても、「お三方」を使うことができます。


【「お三方」って上司にも使っていいの?】

尊敬表現ですから、上司など目上の人にも使えます。例えば、複数の上司を指して「○○部長、△△課長、□□係長のお席はこちらです」と言う代わりに「お三方のお席はこちらです」や、「お三方のご意見もうかがえますでしょうか」などのほうが言いやすいうえにスマートな印象を与え、会話もスムースに運ぶでしょう。


「三人さま」より「お三方」が上品な理由】

■「三人さま」と「お三方」どっちが上?

「お三方」は「三人さま」より丁寧で格式ばった上品な表現とされます。それは「方」の敬意の度合いが「人」より高いから。

「方」は「人」の丁寧語・尊敬語にあたるという説明をしましたが、そもそもは名前を呼んだり直接指し示したりすることがはばかられるような、尊い人物を指すときに使われる言葉でした。人数の単位としでだけでなく、相手への深い敬意を示す役割があります。

また、「三人さま」の「さま(さま)」は、相手の名前や役職などに付けて敬意を表す敬称です。丁寧語ではない「人」に「さま」をつけても、「方」を使った表現のほうが格上なのです。

■「お一方」「お二方」はあり?

「お一方(ひとかた)」や「お二方(ふたかた)」という表現も正しい尊敬語です。では4人以上は…? 次に、人数別の丁寧な敬語表現を見てみましょう。


【【保存版】人数別・上品な言い換え一覧

接尾語として人の数を表す際に使われる「方」は、尊敬の意を表わす接頭語「お」とともに用います。この法則を覚えておくと、ビジネスの現場でのとっさの会話に便利です。

■人数別表現

・1人は「お一方(おひとかた)」

・2人は「お二方(おふたかた)」

・3人は「お三方(おさんかた)」

・4人は「4名さま」

・5人「5名さま」

4名以上を言い表す場合は「方」を使わず「○名さま」で! 「お4方(およんかた)」とは言わないので覚えておいてくださいね。人数が多い場合は「皆さま」でOKです。

■シーン別の使い分けポイント

・ビジネスでの改まった場面:「名」または「名さま」が一般的です。

より丁寧に表したい格式張った場面:「方」を使うと、より相手を敬う気持ちが表せます。

・自分や自社の人数を伝える場面: 相手に伝える際は、へりくだって「人」を使って。たとえその中に上司など自分より目上の人が含まれていても、相手がある場合の上司は身内扱いです。「御社へは部長を含め3人でうかがいます」が正解!


「ビジネスシーンで使って浮かない」人数表現とは】

現代社会は「させていただく」の乱用を筆頭に、敬語の使い方が過多であるようです。そもそも敬語とは上位の人を敬って使うものですが、「使わないより使っておく方が無難」という風潮があるように思いませんか? ビジネスシーンはできるだけ丁寧にと、同じ種類の敬語を重ねる「二重敬語」はやってしまいがち。「おっしゃられました」や「拝見させていただきます」は二重敬語なのでNG! 正解は「おっしゃいました」「拝見します/拝見いたします」です。

メールでの連絡や、案内状などを作成する場合も、スマートで好印象を与える人数表現を心がけてくださいね。

■メールでの人数表現

誰に向けての連絡なのかはっきりしていて人数が少ない場合は、「明日お越しいただくのはお二方ですね」より「明日お越しいただくのは○○部長と△△さまですね」というように、氏名や役職などを明記したほうが好印象です。逆の立場では、「明日おうかがいしますのは○○部長と私の2名です」と、「誰が」と「人数」を示すといいでしょう。

人数が多い場合は、「明日お越しいただくのは5名さまでよろしいですか」や「明日は○○部長以下合計5名でうかがわせていただきます」などで。

■案内状や招待状などで人数を示す/問う場合の例

・ご参加は1社2名さままでとさせていただきます

・本状で2名さままでご参加いただけます

・受付ではお一方ずつご記帳願います

・何名さまでのご利用か(ご利用人数を)、前日までにご連絡いただけますようお願いいたします

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「お三方」は「3人」を丁寧に表した正しい敬語表現です。「3名さま」よりも丁寧な印象を与えるうえに、目の前の相手に対しても使える便利な言葉。名前を把握していないときも、この言葉を使えば丁寧な印象になります。ビジネスシーンで積極的に活用してみてください。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館)/『敬語マニュアル』(南雲堂) :