あなたの身近に、「芯が強い」人はいますか? 「芯が強い」とは、メンタルの強さを指す言葉です。身体的な強さや体力とは別次元の話ですから、一見おっとり見える人を指して、「彼女、ああ見えて芯が強いから…」のように使われることもあります。「芯が強い人」が「気の強い人」とは限りません。今回は「芯が強い」の特徴や言い換え表現、「頑固」との違いについても解説します。
【目次】
【「芯が強い」ってどういう意味?】
「芯が強い」の「芯」とは「物の中心」のことです。古くは油を染み込ませ、灯火を点けるのに用いられた灯心草(とうしんぐさ)を指す言葉でした。「芯地」のように使われ、花の中心にある雄しべを指して「芯」とも言います。ビジネスにおける「芯が強い人」とは、メンタルが強い人のことを指します。腕力や体力、見た目などは関係なく、少々のことではへこたれない強さを備えた人のことです。即戦力となり得る、ひらめきや瞬発力とは、また違った個性・能力であると言っていいでしょう。一見おっとり見える人が実は「芯の強さ」を備えていることも珍しくありません。
【「芯が強い」人って「具体的」にどんな人?】
■周囲に惑わされない「自分」をもっている。
■行動に一貫性がある。
■少々の失敗では諦めない忍耐力がある。
■いざとなればひとりで行動・決断できる。
■簡単に弱音を吐かず、他人に愚痴をこぼさない。
【「芯が強い」と「頑固」はどう違う?】
■そもそも「頑固」ってどういうこと?
「頑固」とは「頑なで、なかなか自分の態度や考えを改めようとしないこと」。こびりついた汚れも「頑固」と表現しますね。周囲に惑わされないという意味合いでは「芯が強い」と似ていますが、「頑固親父」という言葉があるように、「頑固」には人の意見に耳を貸さず、自分の意見に固執する頑ななニュアンスが含まれています。意地を張るあまり、軌道修正ができない人、不器用な人といったイメージもありますね。一方、「芯が強い」人は自分の意見をしっかりもっているがゆえに、人の意見に耳を傾ける余裕を備え、ひとたび自分の非を認めれば軌道修正もできる人。ここが「頑固」との大きな違いです。
■「気が強い」とはどう違う?
「気が強い」とは「気性が激しく容易に屈しない性格のこと。勝ち気であること」。闘争心の強さがうかがえます。 内面の強さを表す言葉である「芯が強い」には、他者と争うニュアンスは含まれていません。
【「芯が強い」の使い方を理解できる「例文」5選】
■1:「彼女は一見、か弱そうに見えるが、実は誰にも負けない芯の強さをもっている」
■2:「芯の強さには気の強さも含まれるが、しなやかさを兼ね備えているのが特徴だ」
■3:「芯の強い人ほど、柔軟な思考ができるものだ」
■4:「彼には失敗を糧に変えられるだけの芯の強さがある」
■5:「芯が強い人は、揺るぎない価値観、ブレない自分をもっている」
【「芯が強い」の「言い換え」表現】
■メンタルが強い
■打たれ強い
■ストレスに強い
■ブレない
■タフ
「タフ」は「非常に体力・精神力があって、少しぐらいのことではへこたれない様子」を示す言葉です。「芯が強い」には体力的な強さは含まれていませんので、そこが「タフ」との違いです。
【英語で言うと?】
「芯が強い」に近い英語表現は[strong-willed](意志の強い、断固とした)でしょうか。ただし、これは「頑固な」という意味でも使われます。「芯の強さ」を「精神的な強さ」と解釈すれば[mentally tough]となります。
She is a mentally tough woman.(彼女は精神的にタフな女性だ)
***
「芯が強い」人とは精神的にタフな人を指す言葉です。ブレない自分をもつ人とも言えますが、それは「頑固さ」と表裏一体。緊迫した局面ほど、「自分は周囲の意見を聞けているだろうか?」「意地を張っていないだろうか?」と自問自答する余裕をもちたいものですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :