近年、宝飾の聖地といわれるヴァンドーム広場とその周辺では、トップジュエラーの旗艦店が相次いでリニューアルオープンしています。建物の多くは歴史的建造物のため、外観を変えることはできませんが、メゾンのこだわりが詰まった店内は、実に個性豊か。珠玉のハイジュエリーが待つ、4大ジュエラーの本店をご案内しましょう!
今回ご紹介するのは、2020年2月にリニューアルオープンしたショーメの旗艦店「ショーメ ヴァンドーム本店」です。
【Chaumet(ショーメ)】3年前改装のヴァンドーム本店はモダンで崇高な美しさに溢れて
ジョセフ・ショーメがヴァンドーム広場12番地の由緒ある邸宅をメゾンの拠点としたのは、1907年のことでした。ここはショパンが晩年を過ごした館としても知られ、歴史的建造物に指定されています。このブティックの改装は、創業240周年を記念し、約1年をかけて行われました。2020年2月にリニューアルオープンしたブティックは、伝統に敬意を払いながらも、モダンで洗練された内装に。
ブティックは1階と2階で、ハイジュエリーの取り扱いは2階で行っています。2階には個室と半個室があり、スペシャルオーダーの相談もこのフロアで。上階にハイジュエリーの工房があるため、希望すれば職人と直接対話することも可能。3階にはアーカイブやティアラの雛型を保管する部屋や、メゾンの歴史を伝える「ル・グラン・サロン」があります。
●ティアラの注文もできるハイジュエリーのフロア
ハイジュエリーを中心にディスプレイした2階のフロア。その壁面には、メゾンがこれまでに制作してきたティアラのマイヨショール(雛型)を展示したコーナーも。マイヨショールはティアラのフィット感やバランスなどを実際に着用して確認するために、銅、亜鉛、ニッケルの合金でつくられている。
●各フロアの役割を明確にすることで伝統の設えとモダンな内装が共存
ドレスを着てティアラやハイジュエリーを試着できる「サロン・マルメゾン」。花嫁のためにつくられた部屋だが、予約をすれば誰でも利用できる。ゴールドの天井のレリーフは太陽を表現。
3階にある「サロン・デ・ペルル」は、かつて邸宅のダイニングルームだったという。メゾンの歴史を伝える「ル・グラン・サロン」のひとつ。
モダンで上品な内装が施された1階。壁に描かれた金色の麦の穂を、クリスタルの原石を使ったシャンデリアが照らし出す。
モダンな「レース」がパリで注目されているティアラ
伝統の宝飾技巧を使って「透かし」 を現代的にアレンジ
パリのヴァンドーム本店には、ティアラのように特別なハイジュエリーを求める顧客が集まる。これは、「レース」を現代的に再解釈したティアラで、メゾンに継承される「フィル・クトー」技法を駆使して生み出された。
ダイヤモンドをつなぐゴールドの台は、正面から見える部分は細く、底面に向かって太くなっている。そのためゴールドが目立たず、ダイヤモンドだけが浮かび上がって見える。
「ショーメ」ヴァンドーム本店 詳細
- Adress/12 place Vendôme 75001 Paris
- URL/www.chaumet.com
- ●公式ホームページの「ブティック検索」にて、営業時間、電話番号、地図が確認できる。訪店予約も可能。
●3階の「ル・グラン・サロン」は通常非公開。
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- PHOTO :
- 武田正彦
- EDIT :
- 福田詞子(英国宝石学協会 FGA)、喜多容子(Precious)
- コーディネート :
- 鈴木春恵