近年、宝飾の聖地といわれるヴァンドーム広場とその周辺では、トップジュエラーの旗艦店が相次いでリニューアルオープンしています。建物の多くは歴史的建造物のため、外観を変えることはできませんが、メゾンのこだわりが詰まった店内は、実に個性豊か。珠玉のハイジュエリーが待つ、4大ジュエラーの本店をご案内しましょう!

今回ご紹介するのは、大改修のすえ従来の常識を打ち破るブティックに生まれ変わった「ブシュロン ヴァンドーム広場本店」です。

【ブシュロン】前代未聞の大改修によって誕生した「貴族の邸宅」のようなブティック

ショップ_1,フランス_1,パリ_1
「ブシュロン ヴァンドーム広場本店」から見えるヴァンドーム広場の円柱とナポレオン像

創業160周年を機に、ヴァンドーム広場本店の大規模改修を2年以上の歳月をかけて行ったブシュロン。当初は一部だけのリノベーションを予定していましたが、建物の調査を進めるうちに、多くの増改築がなされていることが発覚。ブシュロンはルーブル宮の修復を手掛けた名建築家に依頼し、建物を300年前の本来の姿に戻すことを決意します。

2019年、大改修を終えた館内には、「ブシュロンの家」をコンセプトにした、前代未聞のブティックが誕生しました。寛いでショッピングが楽しめるよう、接客テーブルは対面式ではなく円形に。サロンの内装も統一せず、貴族の邸宅のように部屋ごとにテーマを設けました。さらに、3階には顧客が宿泊できるアパルトマンも完備。あらゆる意味で、従来の宝飾メゾンの常識を打ち破ったブティックだといえます。

メゾンの重要な創作テーマ「自然」を讃えた空間

ショップ_2,フランス_2,パリ_2
ブシュロンの美意識が集約された「ジャルダン・ディヴェール」

創業者の時代から、「自然」を創作の重要なテーマとしてきたブシュロン。1階にある「ジャルダン・ディヴェール」には、そんなメゾンの美意識が集約されている。冬の庭園を意味する空間には、落葉の絨毯を思わせるカーペット、珪化木のローテーブルなどが置かれ、室内装飾のすべてにこだわりが宿る。

このブティックならではのアパルトマンは3階に

3階にあるアパルトマン「ル・ヴァンシス」は、友人の家のように寛げる空間。このブティックが重視する、おもてなしのスピリットが最も感じられる場所でもある。

ショップ_3,フランス_3,パリ_3
アパルトマンの寝室

開閉式のベッドを備えた寝室。隣接するバスルームからはヴァンドーム広場を見渡すことができる。宿泊時のサービスは「オテル・リッツ・パリ」によるもの。

ショップ_4,フランス_4,パリ_4
アパルトマンのサロン

サロンは「水」をイメージし、ブルーを効かせたデザイン。スペシャルオーダーのために滞在した顧客は、ここでデザイナーや職人と直接対話することもできる。

ショップ_5,フランス_5,パリ_5
アパルトマンのライブラリー

アーカイブの蔵書が並ぶライブラリー。壁を飾るのは、18世紀に中国でつくられたオリエンタルな壁紙。

ヴァンドーム広場に残るマハラジャの伝説を現代へ

ネックレス_1,ダイヤモンド_1
『プラストロン エメロード ネックレス』[プラチナ×ホワイトゴールド×エメラルド×ダイヤモンド×オニキス×ブラックラッカー]※日本円での税込み参考価格は¥792,000,000

アーカイブの歴史的名品をモダンデザインに昇華させて

ヴァンドーム広場に語り継がれる、夢のような実話がある。1928年、「オテル・リッツ・パリ」に滞在していたパティアラのマハラジャは、従者を引き連れて広場を横切り、山のような宝石と共にブシュロンのブティックへ。膨大な数のスペシャルオーダーをしたという。

これは、そのときに制作されたネックレスにインスピレーションを得たデザイン。アールデコ様式を取り入れたことでモダンな印象に仕上げられている。

〈ブシュロン ヴァンドーム広場本店〉

  • Adress/ 26 place Vendôme 75001 Paris
  • URL/www.boucheron.com
  • ●公式ホームページの「サービス」から「ブティックの検索」へ。営業時間、電話番号、地図が確認できる。訪店予約も同ホームページより可能。
    ●3階のアパルトマンは通常非公開。

関連記事

PHOTO :
武田正彦
EDIT :
福田詞子(英国宝石学協会 FGA)、喜多容子(Precious)
コーディネート :
鈴木春恵